強い骨を維持するための運動

強い骨を作って維持するために最も効果的な運動は、体重負荷運動と筋力トレーニングです。
体重負荷運動とは、ウォーキング、ランニング、ダンスなど、立って行うほぼ全ての運動を指します。脚で体重を支えると、骨に適度な負荷がかかり、骨が鍛えられます。
筋力トレーニングとは、ウエイトリフティングなど、通常よりもたくさん筋肉を使う全ての運動を指します。このようなタイプの抵抗運動は、筋肉と骨をつなぐ腱に働きかけ、結果として骨を強くしてくれます。
さまざまな身体活動が骨を強くし、転倒のリスクを減らします。バランス感覚がよく、筋肉がよく動き、スタミナがあり、日常的に活動していることからくる自信があれば、そのすべてが転倒する機会を減らすでしょう。
身体活動は、健康な骨を維持するための根幹となるものです。これに付随して、健康で栄養バランスの良い食事をとることと、特定の危険を避けることが必要です。
丈夫な骨を作る上で鍵となる年代
強い骨を作るために最も重要な年代は、骨格が成長する20代前半までです。この時期は、一生分の骨をできる限り多く作るのに最適な年代です。
若い頃に骨が多く作られると、加齢による骨量の減少を最小限に抑えることができます。35歳以降になると、自然な老化現象の一つとして次第に骨量が減少していきます。
しかし、骨の強化によいとされる定期的な運動を心がけていれば、骨粗しょう症の人であっても、丈夫な骨をつくり、骨量の減少を抑えることができます。日ごろから運動していると、特に腰の骨を折るリスクが半減されるといわれています。
体に負荷をかける運動
骨を丈夫にするためには、必ずしも長時間の運動は必要ありません。少ない時間で体に負荷をかける運動をすることで十分効果があります。体に負荷をかける運動とは、走ったり、ジャンプしたり、骨に刺激を与えることなどがあります。
「骨に刺激を与えることを数回繰り返すだけで、骨を強化するためには十分です」と、英国骨粗しょう症学会のサラ・レイランドさんは言います。例えば、10段の階段を走って往復すると、上りで10回、下りで10回、骨に刺激を与えたことになります。これを一日に5回繰り返せば、100回骨に刺激を与えたことになり、骨を強くするために十分な効果が得られます。
特定の骨を強化することもできます。研究によると、テニス選手の利き手の骨の方がもう一方の腕の骨よりも強いといいます。バランスよく骨を鍛えることも忘れないでください。
「30歳を過ぎると、以前と比べると運動が骨の強化に与える影響は減ってしまいますが、年齢と共に骨の量が減ってしまうのを食い止めるのには有効です」とレイランドさんは言います。
重いものを持ち上げながら骨を刺激したりしゃがむ運動は、脊椎に大きな負荷をかけてしまうため、骨折のリスクが高い人にはおすすめできません。
ウォーキングやランニングマシーンでの運動などのあまり体に負荷のかからない運動は、骨量の減少を抑え、バランス感覚や筋肉を鍛えるため、転倒のリスクを減らすことにつながります。
年齢、運動のレベル、骨の強度に応じて、自分に最適な活動や運動を見つけ、骨の健康を維持しましょう。
骨が成長する年代
骨格が形成される幼少期、思春期、20代前半までの時期が、丈夫な骨を作るのに最も重要な年代です。
5歳から18歳までの子どもは、最低でも週に3回は筋肉や骨を丈夫にするために効果的な運動をすることが推奨されています。
筋肉や骨を丈夫にするための運動の例は、以下のとおりです。
歩くようになる前の赤ちゃん
・ずりばい
・活動的な遊び
・ハイハイ
一人で歩ける5歳以下の子ども
・登る
・歩く
・ジャンプする
・かけっこ
子どもと若者
・走る
・サッカー、バスケなどの球技
・トランポリン
・バドミントン、テニスなどのラケット競技
・新体操
・空手やテコンドーなどの護身術
・スキップやジャンプ
・腕立て伏せやスクワットなどの体重を利用した運動
・エアロビクスなどの音楽に合わせて体を動かす運動
・ロッククライミング
・ダンス
骨量が少なくなる年代
35歳以降に始まるといわれている骨量減少を抑えるためには、最低週に2回以上の筋力強化トレーニングをするようにしましょう。
大人に有効な活動には、例えば以下のようなものがあります。
・ウォーキング
・ウエイトリフティング
・階段の上り下り
・重い荷物を持ち歩く
・エクササイズバンドを使った体操
・穴を掘るなどのガーデニング
骨粗しょう症の人にできること
骨粗しょう症の人、あるいは骨が弱い人は、定期的な運動を心がけることで骨を強くし、将来骨折するリスクを減らすことができます。
骨の状況によっては、骨に強い負荷のかかる運動は避けたほうがよい場合もあります。しかし、日ごろから運動している習慣のある人は、それを続けるようにしてください。
骨折のリスクが高い、もしくは現在骨折している人
骨折のリスクが高い、もしくはすでに骨折を経験した人は、活発でいることで転倒や骨折のリスクを減らし、バランス感覚、体力、持久力を鍛え、痛みの軽減につながります。
転倒しないか心配になるかもしれませんが、動くことをやめてしまったら、徐々に体力やバランス感覚が衰え、かえって転倒や骨折のリスクを高めてしまいます。
ジャンプやランニングなどの骨に大きな負荷のかかる運動はしないようにしてください。また、腹筋、ゴルフ、テニス、ボーリング、特定のヨガのポーズなど、前かがみになったり、腰をひねる動きを伴う運動も避けてください。
転倒のリスクを減らすほか、体力、バランス感覚、持久力を鍛える運動で推奨されているものは、以下のとおりです。
・体重を利用した体力トレーニング
・柔軟体操
・太極拳
・ウォーキング
・軽いダンス
・軽いエアロビクス
・階段の上り下り