70歳以上の3分の1は「頻繁に性的活動を行っている」

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「年金受給者の3分の1は少なくとも月に2回セックスしている」とDaily Mailは報道しています。英国の新しい研究は、シルバーパスを取得した後でもセックスは自動的には終わらないという点を強調しています。
この研究では、50歳から90歳までの6,000人以上の男女の性的活動と性的健康を調べました。年齢を重ねるとセックスは少なくなっていくものですが、この研究では活発な性生活を続けている高齢者が少数ながらも(この中には80歳以上の人も含まれます)見受けられました。
年齢を重ねるにつれ、女性は性的健康への悩みが少なくなるのに対し、特に男性は性的健康の悩みが増えることがわかりました。男性は勃起について、女性は性欲減退で悩んでいました。
これは高齢者の性的活動に関する興味深い研究です。このような敏感なトピックについて正直に答えるのは難しい場合もあり、自己報告に依存して信頼性が損なわれる可能性があります。
最終的に重要なポイントは、引退後には性感染症が問題にならなくなるというわけではないということです。最近のデータによると、ここ10年で65歳以上の一般的な性感染症罹患率が上昇しています。年齢に関わらずいつでも安全なセックスをすべきです。

高齢者のための性的活動のアドバイス

勃起不全や性欲減退などの性的問題は、老化の自然な結果であるとは絶対に考えるべきではありません。身体的または心理的な問題が原因で、治せるかもしれません。
性生活に影響が出る問題がある場合は、主治医に相談しましょう。

この論文は誰が執筆しましたか?

この研究は、マンチェスター大学、リーズ大学、ナッチェンソーシャルリサーチの研究者によって行われました。National Institute on Agingと英国政府部門協会からの資金提供を受けました。査読された上でジャーナルArchives of Sexual Behaviorに掲載されました。
年金受給者の3分の1が少なくとも月に2回セックスするというDaily Mailの報道は正確ではありましたが、この調査の結果はDaily Mailの報道よりも複雑であり、よい結果だけではありませんでした。
多くの回答者は性的活動の頻度だけでなく、セックスの悩みも回答しました。また、この研究は「年金受給者」だけでなく50歳以上の人々も対象としています。

これはどんな研究でしたか?

これは、イギリスの6,201人の高齢者の性的活動、性機能の問題、性的健康の悩みに関する観察研究でした。研究者は、高齢者のステレオタイプは性的活動の重要性を無視することが多いと指摘しています。具体的にどのような性的活動をするのかしないのかは、生活の質やメンタル面での幸福感がらみの達成感に影響を与える可能性があります。性的活動が一般的にどのようにして老化プロセスに関わっているのかについてもほとんど知られていません。

回答者はどのような人でしたか?

研究者は、継続的な老化調査(英国長期老化調査)に参加していたイギリスの50歳以上の男女の全国調査からのデータを使用しました。参加者は全員地域社会や各々の家で暮らしていたため、この研究には老人ホームに住む高齢者は対象に含まれていません。
2012年から2013年にかけて、7,079人の回答者に対面インタビューを行い、性的関係や性的活動に関する総合的なアンケートをしました。 50歳未満のパートナーは除外されたため、最終サンプルには6,201名(そのうち女性は56%)になりました。
アンケートでは、セックスに対する態度、性的活動の頻度、性的活動や性機能の問題、セックスに関する不安や悩み、現在の性的人間関係など細かい質問をしました。
回答者には、対面インタビュー中に現在の生活や全般的な健康状態や生活習慣についても質問しました。高血圧、関節炎、循環器系疾患、糖尿病、喘息などの一般的な病気だと診断されたことがあるかどうかも質問しました。
回答者には以下の項目についても自己判断してもらいました。
・健康(5点刻みで、「とても良い」から「とても悪い」まで)
・喫煙状況(喫煙しているか、していないか)
・過去1年のアルコール消費の頻度(全くあるいはほとんど飲まない、あるいは週3日~ほぼ毎日など頻繁に飲む)
有効なうつ病スケールを使って抑うつ症状も評価しました。
研究者は、性的活動、慢性疾患、健康状態全般の自己評価との関連性がないかを特に見て、その結果を分析しました。また、年齢、パートナーの状態、喫煙状況、アルコール消費の頻度によって結果を調整しました。

主な研究結果はどのようなものでしたか?

以下が研究で判明した主な事柄です。
・全ての年齢層で、性的活動をする頻度やセックスについて考える頻度を、男性は女性より多く回答しました。同様に全ての年齢層で、性的健康や性的不満の悩みは、性的に活発な男性が性的に活発な女性よりも多く回答しました。
・80代や90代になっても性的に活発な男女が少数ながらいましたが、性的活動は年齢が高くなるとともに減少していました。
・健康状態が悪いほど性的活動のレベルが低く、特に男性だと性機能に問題がある傾向が高くなりました。
・性機能の問題として多く回答されたものは、性的に活発な男性では主に勃起関連(39%)だったのに対し、性的に活発な女性では性的興奮関連(32%)、オルガズム関連(27%)でした。
・性的活動の問題として多く回答されたものは、女性では性欲(11%)と性的活動の頻度(8%)でした。男性では性欲(15%)と勃起不全(14%)でした。
・性的健康関連の問題を回答する割合は女性は年齢とともに減少する傾向がありましたが、男性には逆の傾向が見られました。
・性機能不全や、セックスについてパートナーとの間で一致せず、セックスすることを指示したり義務のように感じることが、全体的な性生活への悩みと不満を大きくすることと関連していました。

研究者はどのように結果を解釈しましたか?

性的活動の頻度は年齢に伴って低下するものの、80歳以上の高齢者を含む多くの高齢者が性的活動を続けていることを研究結果は示していると研究者は述べています。
全体的な性生活に女性は男性よりも不満が少ない傾向があり、また年齢に伴い不満が減ると報告されています。
研究者は、高齢者の性的健康は、年齢、性別、全般的な健康だけでなく、今ある性的人間関係の中でも「調整」するべきだと述べています。

結論

この研究では、多くの高齢者がまだ性的に活発なだけでなく、他の全ての年齢層の人と同様に、セックスや人間関係についての心配や悩みがあることを示唆しています。当たり前ながら、老化と健康状態の悪化が性的活動に影響します。
高齢男性は勃起について、女性は性欲減退について悩んでいます。この研究はまた、性的活動の問題は人間関係を考慮して見なければならないことを気づかせます。
そもそもこの研究は性に関する自己報告に依存しており、信頼性に難がある可能性があります。機密性の高いアンケートであっても、このような敏感なトピックについて正直に答えるのは難しい場合もあります。

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