逆子出産とは?

通常、子宮内で赤ちゃんの頭は下を向いていますが、間違った方向を向くことがあります。赤ちゃんが逆子になる理由と、それに対してできることを説明します。
赤ちゃんは子宮がだんだん窮屈になっても、妊娠の最後の数週間(妊娠32週目から通常36週目頃)に著しく動き、頭が下になります。この出産に理想的な位置では、赤ちゃんの頭は子宮頸部の近くにあり、母親の背中の方を向いています。しかし、約3〜4%の赤ちゃんは臨月になるまで頭が上にあり、次のいずれかのタイプの逆子になっています。
単殿位:最も多いタイプで、お尻が下にあり、足は上を指し、足先が頭の近くにあります。
複臀位:頭が上、お尻が下で、体育座りのような状態です。
足位:頭が上で、片足か両足を伸ばしています。(経膣分娩で生まれる場合、最初に足が出てくることになります。)
出産予定日の数週間前に赤ちゃんのお尻が下になっているからといって、出産のとき逆子になっているとは限りません。最終的に生まれる数日前に、逆子が治ることもあります。しかし、臨月の赤ちゃんが逆子のまま、出産予定日を迎えると、経膣分娩は困難になり、時には不可能になることもあります。幸運にも、医者とあなたは、陣痛が始まる前に赤ちゃんの頭の方向を変えるいくつかの対策をとることができます。
逆子の診断
出産予定日の数週間前に、医者または助産師は、腹部および子宮の外側を触って赤ちゃんの状態を確認します。逆子の場合、丸くて固い頭が子宮の上部にあり、柔らかくそれほど丸みのないお尻が下にあります。医者は、逆子の可能性があると思ったら、確認のために超音波検査を行うでしょう。
原因
医者は、赤ちゃんが逆子になる理由を特定できないこともありますが、次のような理由が考えられます。
子宮の異常。通常、子宮は西洋ナシが逆さまになったような形をしていますが、一部の女性では、妊娠前または妊娠中に骨盤内診察や超音波検査で検出されるように、子宮が異なった形に発達します。異常は先天性のものが多いですが、外科手術(帝王切開を含む)、重度の子宮内感染症または子宮筋腫に起因する瘢痕組織が原因となって、後天的に発生することがあります。その結果、赤ちゃんが動くための十分なスペースがなくなることがあります。
胎盤の位置。胎盤の位置が低過ぎて子宮頸部をふさいでいたり、子宮壁の上部付近にあって赤ちゃんの頭の近くのスペースをふさいでいる場合、赤ちゃんは下向きの姿勢になるために動くことができません。
羊水の量。羊水があまりにも少な過ぎたり、多過ぎたりするのが原因で、赤ちゃんが逆子になることがあります。十分な羊水がないと、赤ちゃんは動くのが難しくなりますが、羊水が多過ぎるとスペースがあり過ぎて、出産まで、逆子になったり頭が下になったりします。
胎児の異常。非常にまれに、赤ちゃんの筋肉や中枢神経系に関する問題が、逆子の原因となることがあります。また、臍帯が短いと、赤ちゃんの動きが制限されることがあります。
多胎妊娠。多胎児を妊娠している場合、動き回るスペースが少ないため、赤ちゃんの1人以上が頭を下にできないことがあります。
危険因子
次のいずれかの条件を満たしているからといって、赤ちゃんが逆子になるというわけではありません。そして、次のリスク要因がまったくなくても、逆子になる可能性はあります。
以前に逆子を出産した。以前に逆子を出産した経験がある場合、それを引き起こした要因がまだ残っている可能性があるため、次の赤ちゃんも逆子になる可能性が高くなります。
早産。赤ちゃんが生まれる時期が早ければ早いほど、逆子になる可能性が高くなります。28週目には、赤ちゃんの約25%が逆子の状態ですが、34週目までにその数は7%にまで減ります。
あなたやパートナーが逆子だった。研究によると、あなたやパートナーが逆子で生まれた場合、自分たちの赤ちゃんが逆子になる可能性が高くなります。
喫煙。研究によると、妊娠中の喫煙は逆子の可能性を高めることがわかっています。
体重。妊娠中に推奨体重増加量以上に体重が増えたり、BMIが高くなると、逆子を産む確率が上がります。
医者にできること
37週目までに、赤ちゃんの頭の向きが自然に変わらない場合、医者は外回転術を行おうとするかもしれません。外回転術では、医者または助産師はお腹に手を置き、力を入れて赤ちゃんを回転させます。そして、子宮を緩める薬を渡されます。(赤ちゃんに影響を与えるものではないので、心配しないでください。)外回転術は不快ですが、苦みを伴うことはなく、行った人の半分以上が成功しています。しかし、時々、赤ちゃんがうまく回転した後に逆子に戻ることがあります。この場合、医者は再び赤ちゃんを回転させることができますが、予定日が近づくほど赤ちゃんが動ける場所が少なくなるので、難しくなります。
代替医療
赤ちゃんを回転させるための、次のような代替医療について聞いたことがあるかもしれません。
催眠療法のようなリラクゼーション療法
鍼灸では、鍼灸師が足の小指の近くでオオヨモギを燃やし、経穴を刺激します。(胎動が増え、赤ちゃんの頭が下になる可能性が高くなると言われています。)
この方法が効果的であることを証明する有力な研究はなく、積極的に勧めている医者はほとんどいません。そのため、害になることはありませんが、費用に見合う価値はないでしょう。
出産前に赤ちゃんを回転させるためにできること
妊娠37週目までに赤ちゃんが逆子の場合、赤ちゃんの頭が下になるように誘導することもできます。繰り返しますが、以下の方法に効果があることを証明する研究はありませんが、害を及ぼすことはないので、努力する価値があります。
・四つんばいになってお尻を頭より高くし、やさしく前後に揺れます。
・1日に数回、5分間のペルビックティルト(骨盤を傾けるエクササイズ)を行います。
・良い姿勢を保ってください。(バランスボールに背筋を伸ばして座ると良いです。)そうすると、骨盤が開き、赤ちゃんが動きやすくなります。
・音楽を演奏するか、パートナーに下腹部に向かって話しかけてもらい、赤ちゃんが動くのを待ってください。
・上腹部のあたりに凍った野菜の袋を置いてください。(専門家や母親の中には、不快な冷たさで赤ちゃんが回転すると考える人もいます。)
・赤ちゃんの頭が下に向くのをイメージしてください。
おそらく、これらの方法に赤ちゃんの向きを変える効果はないでしょう。赤ちゃんの頭を下にするための唯一の実証済みの方法は、外回転術です。
出産日になっても逆子の場合、どんなことが起こりますか?
卵膜が破れていない場合、医者は出産前に外回転術を試みることがあります。しかし、正産期で、破水していて、陣痛がきている場合、外回転術をするには遅過ぎます。
研究によると、逆子のほぼ90%が帝王切開で生まれたということがわかっていますが、一部の医者や助産師は、場合によっては経膣分娩を試みることが妥当であると感じています。以下の場合には、経膣分娩が可能になりやすいです。
・臨月で、赤ちゃんが単殿位の状態で大き過ぎない。
・骨盤が赤ちゃんが安全に通れるほど十分広い。
・妊娠糖尿病または子癇前症を含む、妊娠合併症になっていない。
・赤ちゃんが苦痛の兆候を示していない。
・双子を妊娠していて、1人は頭が下に向いていて、もう1人は逆子。(最初の赤ちゃんの頭が、逆子が通り抜けられるように子宮を開いてくれます。)
とは言っても、経膣分娩は、大部分の合併症(臍帯脱出、赤ちゃんの頭蓋骨や脳または手足の損傷、赤ちゃんの頭部が産道にはまり込む、難産、会陰裂傷や会陰切開のリスク増加)を伴います。そのため、経膣分娩を望んでも、医者は正当な理由から帝王切開が必要だと言います。
出産の日が来るまでに、赤ちゃんの頭が下に向く可能性は大いにありますが、お尻が下のままの場合、出産計画に柔軟に対応する必要があります。そして、医者が経膣分娩を試すことを許可したとしても、どうなるかはわかりません。子宮口が開くのが遅過ぎたり、赤ちゃんが順調に産道を通れなかったり、他の問題が発生した場合は、帝王切開になる可能性があります。自分の選択について医者に相談し、出産日に起こる可能性のあることに対して準備してください。
最も重要なのは、出産が想像したとおりにならなくてがっかりするかもしれませんが、赤ちゃんが無事に生まれたら、その気持ちは消えることを覚えておいてください。