癒着胎盤について

ますます一般的になってきているこの深刻な、ただし治療可能な妊娠症状の原因、症状、対処法について紹介します。
癒着胎盤とは、世界中で起こっている深刻かつ致死的な妊娠合併症で、特にここ数十年で帝王切開が普及したことで、この症状も増加しています。ただし早いうちに対処すれば、健康な赤ちゃんを産むことも不可能ではありません。では、この癒着胎盤とは実際何なのでしょうか、そして私たちは何を知っていれば良いのでしょうか。誰が癒着胎盤のリスクを負っているのか、なぜ迅速な医師の対処がそれほど重要なのか、この先を読んでください。
胎盤癒着とは何か
これは胎盤が子宮壁にあまりにもしっかりとくっつきすぎてしまったときに起こります。通常、胎盤は妊娠中は子宮にくっついているものの、出産時には簡単に剥落します。しかし癒着が起こるとき、胎盤の血管やその他の組織が子宮の組織の奥深くまで育ってしまい、結果として妊娠第三期における出血と、分娩時におそらく危険となる大量出血(と失血)を引き起こします。もし胎盤が子宮壁のより深い部分、筋肉まで根付けば、それは嵌入胎盤と呼ばれ、さらに子宮壁全面に根付いてしまったものは穿通胎盤と呼ばれます。
癒着胎盤になるリスクが高い人
以前に1回以上帝王切開を経験したことのある人、あるいは何らかの子宮の手術を受けた人は、子宮壁に傷があるため、胎盤癒着の危険性が上昇します。一時期この症状は4027人中1人にしか起きませんでしたが、帝王切開率の上昇に伴って、その数はいまや533人に1人です。また帝王切開をすればするほど、リスクは増していきます。その他の危険因子としては、全前置胎盤や部分前置胎盤(胎盤が子宮頸部を覆っている状態)、35歳以上の高齢妊娠、子宮内膜症や子宮筋腫といった状態が挙げられます。
癒着胎盤の原因
これは子宮壁の瘢痕に起因する合併症であると考えられていますが、全くそういった危険因子の無い女性にも起こり得ます。
どうしたらよいのか
もし妊娠第三期に出血などがあった時は、すぐに医者のところに行きましょう。しかし通常は、癒着胎盤は定期的な出生前検査のうちの超音波検査で診断されます。ただし超音波だけでは確信が持てない場合や、もともとリスクが高く癒着が疑われる場合にはMRI検査が行われるかもしれません。
治療方法
もし早期に癒着胎盤と診断されたなら、あなたと赤ちゃんの両方にとって一番安全となるような、緊急自然分娩など万が一の場合も考慮した出産プランを、医者と一緒に考えるべきです。必ずといっていいほど推奨されるのが、予定日より前(早ければ34週目くらい)の計画的な帝王切開ですが、これは出血量を医者がコントロールしやすいためです。残念なことに、ほとんどの帝王切開に伴って子宮が摘出されますが、これは今のところ母体の安全と、致死的な失血を防ぐための最も安全な方法なのです。これ以降子供を生むことは出来なくなってしまいますが、細心の注意と予防措置を講じることで、今から生まれてくる赤ちゃんが、完璧に健康体で生まれてきてくれることを保障するのです。