妊娠できないことを受け入れる―ジュリーの場合

不妊治療の結果が出ない人もいます。この場合、子どものいない将来を考えなくてはならなくなります。
イギリスのエセックスに住むジュリー・ケンダールさん、51歳とその夫は、このインタビューを受けた時点で、自分たちの子どもを持つことはできないということをようやく受け入れました。
「妊娠するために、何年も努力しました。医師をたずね、一年半にわたって基礎体温をつけ、服薬し、2度の体外受精をしましたが、どれも失敗に終わりました」
原因不明の不妊症
わたしたちは、「原因不明の不妊症」と診断されました。すべての検査で異常はなく、妊娠できない医学的な理由はわかりませんでした。
30代になり、周りに次々に子どもができ始めたころが一番辛かったです。私たちは、欲しくてもできませんでしたから。家族にも友人にも誰にも相談せずに、ただひたすら不妊治療に耐え続けました。これが、状況を克服するための私のやり方でした。
2度目の体外受精に失敗してからは、体外受精がトラウマになり、辛くて耐えられなかったため、二人とも、これ以上続けても無駄だと考えるようになりました。そのころ、私は30代の後半に突入しようとしていました。
子どものいない将来を受け入れる
夫は気持ちを切り替えてまた挑戦したいと思ったようですが、私はしばらく喪に服す期間が必要でした。どうがんばっても子どもができないということは、死別と似たようなものだと感じたからです。
徐々に、子どものいない将来を前向きに受け入れることができるようになりましたが、治療を終えることにしてすぐには難しかったです。
どこかで、いつか奇跡的に自然妊娠することができるのではないかと淡い期待を抱いていましたが、それも叶わず、気付けば51歳になっていました。
治療をやめることにした直後は、夫と唯一意見が合わなかった時期でした。ですが、それ以外の時期は、治療中も含めて現在に至るまで、お互いに支えあってきました。
不妊症や長年の不妊治療が原因で結婚生活が危ぶまれる夫婦もいますから、その点わたしたちはラッキーでした。
子どものいない夫婦へのサポート
子どものいない夫婦生活を受け入れるようになってからしばらくたったころ、雑誌を読んでいて「モア・トゥー・ライフ(More to Life)」という団体について書かれた記事を偶然見つけました。この団体には、子どもができなかった人たちの集まりで、私たちと同じような経験をした人ばかりでした。
モア・トゥー・ライフのメンバーとなったことで、子どものいない将来もまた明るいものだと考えることができるようになりました。
この団体を、子どもができなくて悩んでいるほかの女性たちにも紹介したいです。メンバーは、必要であればそういった人たちの心のケアも積極的に行っています。たびたび開いているイベントもとても良いです。
いつもいつも子どものことばかり話している人以外の人たちと過ごす時間はとても有意義です!
子どものいない将来に前向きになれず、自分の望みどおりの将来ではない場合、自分でよく考えて乗り越えなくてはなりません。
家族や友人たちがまったく頼りにならないと感じてしまうときもあるでしょう。何を言われても間違っていると感じたり、悲しくなってしまい、強く言い返してしまうかもしれません。これは、精神的に不安定で傷つきやすい状態にあるので、避けることはできないでしょう。
子どもができなくて悩んでいたり、妊娠に失敗して嘆き悲しんでいる女性たちに、いずれ乗り越えられるということを伝えたいです。暗いトンネルの先には、必ず光が見えるはずです。