低脂肪食は体重を減らす最善の方法ではない

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人々は、低脂肪食に固執しなくなるかもしれない。
「低脂肪食は体重を減らす最善の方法ではない」とデイリーメールは報じている。この情報は、ほぼ70,000人の成人を対象とした低脂肪食に関する50以上の過去の研究のデータを分析した考察から来ている。
この研究は、1年以上と定義される長期的な体重減少を達成する際に、普通の食事と比べ、低脂肪食がどれほど効くのか調べることを目的としている。
その結果はさまざまだった。体重を減らすにあたり、低炭水化物の食事は、低脂肪食よりも優れており、1年後に1.15kgの体重減少が達成されるという多数の研究結果があった。
しかし、低脂肪食も効き、通常の食事を続けた場合よりも約5.41kgの体重減少をもたらした。
しかし、この最新の研究の潜在的な限界は、研究集団(多くは様々な慢性疾患を有する)、ならびに低脂肪および比較試料の構成成分、ならびにこれらの試料を使った被験者の観察方法である。
また、どのように被験者が割り当てられた食事をとったのか知ることも難しい。つまりさまざまなパターンが生み出されたことになり、これが最良の食生活の詳細を発見することをより困難にする。
食事だけで体重を減らすことは難しいかもしれない。定期的な運動は体重に関してのみならず、他の健康上の利益をもたらす。
NHSの減量計画は、持続可能な長期的な減量につながる食事療法と運動の助言の両方を提供する。

食物繊維について忘れてはならない。
低脂肪食と低炭水化物ダイエットについて書かれた何千もの本では、よく、体重を減らすのに役立つ繊維の有用性が見落とされる。
食物繊維の長所は、満腹感を長時間保つことができるため、食事摂取量が減り、ダイエットの際に奨励されるカロリーを守りやすい点だ。イギリス人のほとんどは1日に約18gの食物繊維しか食べないが、少なくとも30gを食べることを目指すべきだ。
突然の食物繊維の摂取増加は便秘を引き起こす可能性があるので、徐々に食物繊維摂取量を増やすべきだ。また、便秘を避けるために、1日に1.2lℓの水を目安に、たくさんの水を飲むようにすべきだ

研究は、ハーバード大学医学部、ハーバード大学公衆衛生学校、ブリガムアンドウィメンズ病院、米国ボストン児童病院の研究者によって行われた。米国国立衛生研究所と米国糖尿病学会によって資金提供された。
研究者の1人は、ダイエットサプリメントを販売しているカリフォルニアウォルナット委員会とMetagenicsから研究支援を受けていると報告した。
この研究は、査読済の医学雑誌「ランセット糖尿病と内分泌学」に掲載された。

研究者は、どのように長期的な体重減少を達成するための最適な、脂肪、タンパク質、炭水化物のカロリーバランスについて、何十年に渡って議論されてきたか、を議論する。
低脂肪食は人気がある。というのも、タンパク質または炭水化物の同じ重量と比較して、脂肪に含まれるカロリーの割合がはるかに高いからだ。しかし、低脂肪食は、他の食事よりも実際に長期の減量を達成するという試行が示されていないと研究者らは指摘する。そのため、この研究は、食事形態が結果と一致しているかどうかの証拠をまとめることを目的とし集められた。
この研究は、被験者に無作為に食事に割り振っているため、介入の有効性を調べる最善の方法であるランダムの比較試験のみが含まれているという強みがある。
食事パターンの研究はしばしば実測的である。これらは食事形態と結果の関連を見ることができるが、他の健康やライフスタイルの要因も結果に必ず影響する。

この研究では、低脂肪食と高脂肪分の食事(通常の食事を含む)とを比較して、成人の無作為化された比較試験の文献データベースを検索した。少なくとも1年間にわたって長期の体重変化を測定した試験のみがであった。
彼らは、方法が、食事に関するものではなく、運動や体重減少薬などであった研究を除外した。また、低脂肪食の摂取(果物や野菜の摂取を増やすなど)に加えて食生活の変化が認められた研究は除外されなかったが、サプリメントや食事代替食品に関する研究は除外された。
調べた主な結果は、試験開始から1年以上までの体重の平均変化であった。
大人68,128人を対象とした合計53件の実験が含まれており、その大部分(37件)はアメリカまたはカナダからのものであった。この実験のわずか3分の1(20件)には、乳がん、糖尿病、心臓病などの特定の状態または慢性疾患の人々が含まれていた。
実験の約3分の2(35)が食事形態の変化での減量を目標としていたが、残りの実験は減量目標がなかったか、単に体重維持を目的としていた。
ほとんどの試験(27回)は1年間であった。しかし、この1年間ずっと食事の置換が行われたのか、この1年間は食事置換終了後のフォローアップ期間を含むのかは定かではない。
低脂肪食は、非常に低いカロリー(脂肪から10%以下のカロリー)から中程度のカロリー(脂肪から30%以下のカロリーまで)の範囲であった。比較食は様々であり、中等度から高脂肪への摂取、または低炭水化物などが含まれていた。
これらの実験ではどのように食事をコントロールしたかにも差異があった。たとえば、指示や説明を書いた紙を与えた人もあれば、実際に食べ物を提供している人もいる。

全ての被験者の68,128人の成人全員が、平均1年のフォローアップ後平均2.71kgの体重を減らした。体重減少目標を有する、35件の実験の平均体重減少は3.75kgであった。
低炭水化物ダイエットは、低脂肪よりも体重減少に対してより効き目があり、平均1.15kgのより大きな体重減少(95%信頼区間[CI] 0.52〜1.79kg)をもたらすことが判明した。これらはすべて、減量目標を持つものであり、体重維持を目的とした実験も、低脂肪食と低脂肪食と比較した減量もなかった。
低脂肪食は、通常の食事と比較して非常に大きな値の体重減少をもたらした:
減量目標を持つ8件の実験では、通常の食事と比較して低脂肪で平均5.41kg(95%CI 3.54〜7.29)の体重減少が見られた
減量目標がない11件の実験で、低脂肪食により2.22kg(95%CI 1.45〜3.00)の体重減少が見られた
体重維持を目的とした3つの実験では、低脂肪食により0.70kg(95%CI 0.52〜0.88)
体重減少の目標にかかわらず、低脂肪と高脂肪の食事とを比較した場合、大きな差はなかった。
総合的には、比較者にかかわらず、すべての研究を考察すると、減量を目的とした実験において、低脂肪食と比較対照の間の体重減少に大きな差はなかった。
しかし、体重維持を目的とした試験や体重減少を目的としない試験では、低脂肪食は比較対照よりも大きな体重減少をもたらした(それぞれ1.54㎏および0.70kg)。

研究者らは、「これらの結果は、低脂肪食の摂取の体重に対する長期間の効果は、介入の強度(摂取期間や量など)に依存することを示唆している。同じ強度の食事摂取と比較すると、RCTs(無作為化比較試験)の証拠は、低脂肪食が他の食事形態よりも優れているということを支持していない。」と結論づけた。

この研究は、しばしば推測されるように、低脂肪の食事が他の食事と比較して大きな減量をもたらすかどうかという疑問の答えを出すことを目的としている。結果としては、もたらさなかった。ほとんどの食事は体重減少に効き目を出し、低脂肪のものは他のものより特に優れていなかった。
体系的な研究方法には多くの強みがある。多くの研究が確認されており、被験者は7万人近くあり、そのすべてが無作為化比較試験であった。これは、被験者間の食生活以外の健康や生活習慣の特徴を考慮したものだ。また、体重減少に長期的な影響を見るために少なくとも1年間の研究期間であった。
しかし、低脂肪食は効き目がなく、好きなだけ多くの脂肪を食べることが健康的な選択肢であるという結論に達する前に結果について考察することの価値はある。この研究では、高脂肪食と比較低脂肪食の効果に差がないことが示された。しかし、体重を減らそうとしているかどうかにかかわらず、通常の食事を続けるよりも、低脂肪食をとり続けたほうが顕著な体重減少につながることが確かに示されてる。
しかし、この研究では、低炭水化物食が低脂肪食よりも効き目があるある可能性があることを示唆する多数の減量実験からの証拠が見つかった。残念ながら、これが体重減少の目標が意図されていないときにも保持されているかどうかを調べるための実験はなかったが、同じ効果が見られるという結果に達する可能性はある。
しかし、これを解釈することは、実験のさまざまなバリエーションを考慮すると困難である。
これらはすべて無作為化比較試験であったが(これは明確に長所であるが)いろいろな意味でさらに多様であった。研究対象の集団は大きく異なっていた。例えば、男性または女性、過体重または肥満の人がいて、慢性疾患や健康状態がさまざまな人も含まれていた。
低脂肪食および比較する食事の構成要素、およびこれらの食事の摂取方法も、実験間で大きく異なっていた。
多くの未知数もある。たとえば、果物や野菜の摂取など、これらの食事の他の食品の種類だ。特に通常の食事内容などだ。また、飽和脂肪やトランス脂肪、あるいは「より健康な」単不飽和脂肪または多価不飽和脂肪のいずれのタイプの脂肪が食べられるのかどうかについてだ。
実験のばらつきのため、低脂肪食または低炭水化物食のどちらが体重減少により効果があるのか決定的な答えを出すことは困難だ。体重減少は、ダイエットの全体的な要素を踏まえて結果が出るのであり、運動とバランスのとれた食事の摂取量が最も効果がある。
体重を減らすためには、本質的には、毎日の活動で消費するエネルギーよりも、より少ないカロリーのエネルギー摂取が必要である。私たちは、食事により脂肪、炭水化物、タンパク質を摂取することが必要であり、これらのグループのうちの1つを完全にとらない食事は、健康に有益ではなく、長期的に健康な体重を維持するのに役立たない。
重要な目標は、実際に食べることを楽しむことができる減量カロリー食を見つけることだ。そうすれば、その食事を続けることが可能になる。健康的なダイエットには、多くの果物や野菜を摂取し、砂糖、塩分、脂肪分の摂取量を減らすとともに、定期的な運動をすることが必要だ。

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