生物物理学的プロファイル(BPP)

生物物理学的プロファイル(BPP:Biophysical Profile)は、胎児の健康に関する診断手段のひとつです。通常、胎児を4つの側面から検査します。その4つの側面とは、胎児の呼吸や心拍数、胎児の動き、胎児の筋緊張(指やつま先を曲げ伸ばしする力)、羊水量です。これらすべての要素が正常だった場合、胎児は健康であると考えられます。この中のどれか1つの要素でもはっきりとしないものがあった場合、さらなる検査(子宮収縮負荷試験や音振動刺激検査など)が行われ、胎児の状況をより正確な画像とともに調べます。
BPPの対象者
高血圧、2型糖尿病、腎臓病や心臓病などのリスクが高い要素を抱えている妊婦はこの検査を受けることになる可能性があります。双子など複数の胎児を妊娠している場合や出産予定日が早まったばかりでる場合にも検査を受けるかもしれません。医者はこの検査を誘発分娩を行うか決定する際に行うことがあります。
BPPの実施方法
BPPでは一般的に胎児の鼓動を観察し、レベル2エコーと似たような特別な超音波検査も行います。しかし、音波検査者は、器官や胎児の体長を調べるのではなく、30分間で胎児のさまざまな動きを調べます。音波検査者は胎児の胸を見て呼吸を数えたり、胎児の手足の素早く断続的な動きを数えることで筋緊張を観察します。そして、胎児の周りを囲んでいる羊水の量を調べるのです。
この検査は段階的なものです。検査の後、5つそれぞれのカテゴリー(胎児の心拍数、運動、呼吸、筋緊張、羊水)に0から2の点数がつけられた検査結果(BPS:Biophysical Profile Score)が渡されます。BPSが8~10である場合は正常であり、検査はおそらく数週間後にもう一度行われます。BPSが8以下であった場合、特別な治療やさらなる検査を受けることになる可能性があります。BPSが6だった場合、2度目のBPPを12~24時間以内に行う、あるいは分娩をする必要があるかもしれませんが、これは妊娠の進行段階がどの程度であるかによって異なります。BPSが4以下であった場合、追加の出生前診断を受ける必要があるということを示しているか、胎児をすぐにでも分娩しなければならない可能性があるかもしれません。検査で「正常」と診断されたとしても、羊水量が少ない場合はより十分な観察を必要とするということを意味し、場合によっては分娩が必要である可能性があります。
BPPの実施時期
BPPは妊娠第三期に行われることがほとんどです。
リスク
BPPに付随した妊婦や胎児へのリスクはほとんどありません。
「修正された」BPP
「修正された」BPP(Modified Biophysical Profile)とは、BPPをノンストレステストとともに行うことにより、より効果的なものにした検査のことです。胎児の心拍数や動きと羊水量を一緒に調べることができます。羊水量が少ないことは、胎児が十分な尿を作り出しておらず、胎盤が標準的なレベルで機能していない可能性があるということを示しているかもしれません。ノンストレステストに胎児が適切な反応を示し、羊水量が十分である場合は、すべてが順調であると考えられます。