薬局の医薬品と腎臓病についての基礎知識

治療薬

腎臓病の薬について

医薬品の中には、腎臓病を患っている人々に対して潜在的に有害なものもあります。新しい市販薬を服用する前に、必ず医師や薬剤師に確認するようにしてください。

次のような場合には、市販の医薬品が害を及ぼす可能性が高くなります。:
・脱水状態(例えば、下痢や嘔吐などに伴うもの)になったり発熱性の病気にかかっている場合
・腎臓病が進行した状態(ステージ4か5、または腎機能が通常の30%以下)にある場合
・軽度の腎臓病(ステージ3で腎機能が通常の30~60%)であり、冠状動脈性心疾患などのほかの深刻な病気を患っていて、年配である場合

以下に腎臓病を患っている場合に安全とされる市販薬、あるいは避けるべき市販薬のリストがあります。これは単なる基準です。より詳細な情報に関しては、薬剤師や腎臓専門医、担当医に相談してください。

頭痛薬

安全であるもの:
パラセタモールは、頭痛を治療するための鎮痛剤の選択として最善で最も安全な薬です。しかし、可溶性のパラセタモール製品は、ナトリウムが多いため避けるべきです。

避けるべきもの:
腎機能が50%未満の場合は、ジクロフェナクのような、アスピリン、イブプロフェン、その類似薬を含む鎮痛剤は避けましょう。これらの製品は損傷した腎臓の機能を低下させる可能性があります。

腎臓移植後に拒絶反応抑制のための治療を受けている場合は、イブプロフェンも避けるべきです。

血管疾患を予防するために処方されている場合は、一日75~150mgの低用量のアスピリンを服用することができます。

咳や風邪のための薬

咳や風邪に利用することができる製品の多くには成分の混合物が含まれているので、パッケージをよく読んで確認してください。

安全であるもの:
パラセタモールを含んでいる医薬品

避けるべきもの:
咳や風邪の治療薬は多量のアスピリンが含まれているため、避けるのが無難です。

多くの風邪薬には充血緩和剤も含まれています。高血圧の場合は避けるべきです。

鼻づまりを解消する最もよい方法は、メントールまたはユーカリを用いた蒸気吸入によるものです。咳の場合は、喉の痛みを和らげるために咳止め薬やグリセリンの入った蜂蜜レモンをお試しください。

筋肉および関節痛を緩和する薬

安全であるもの:
筋肉痛や関節痛がある場合、スキンクリームやローションを使うことをお勧めします。痛みのあるところに塗ってください。

避けるべきもの:
腎機能が50%以下の場合は、ジクロフェナクのようなイブプロフェンやその類似薬を含む錠剤は避けてください。

イブプロフェンを含むIbuleveのジェルまたはスプレーは、イブプロフェンの錠剤より安全です。しかし、少量の薬物が皮膚に浸透して血管に入るので、完全に危険がないというわけではありません。

消化不良のための薬

安全であるもの:
消化不良の臨時の治療のためには、ガビスコンの液体や錠剤が安全であり、炭酸カルシウムを含んでいるレメジェルやレニーの錠剤も同様に安全です。

避けるべきもの:
カリウムが含まれているので、消化不良の治療のためにガビスコン・アドバンスを使用しないでください。腎臓専門医によって処方されない限り、アルドロックスやマーロックなどのアルミニウムまたはマグネシウムを含んでいる医薬品は避けてください。

胸やけのための薬

安全であるもの:
ラニチジン、ファモチジン、オメプラゾールは、短期間の胸やけを軽減するためであれば安全に使用できます。

避けるべきもの:
胸やけの治療のためにシメチジンを使うことは避けてください。血液検査でのクレアチン値の上昇に繋がる可能性があり、これによって腎機能が悪化したように見えてしまいます。

花粉症のための薬と抗アレルギー薬

安全であるもの:
ピリトン(クラムフェナリン)やクラリチン(ロラタジン)などの有名なブランドを含む抗ヒスタミン錠剤、鼻スプレー、点眼剤はアレルギーの症状を和らげるために安全に服用することができます。オプティクロム点眼剤などのクロモグリク酸ナトリウムを含む調合薬も安全です。

ジルテック(セチリジン)を服用していて腎機能が50%以下であれば、服用量を減らすか、1日おきに服用するか、服用を避ける必要があります。医師または薬剤師の助言を受けるといいでしょう。

総合ビタミン剤

安全であるもの:
ビタミンAを含んでいないビタミン剤

避けるべきもの:
有毒である可能性があるので、ビタミンAを含んでいる総合ビタミン剤の服用は避けましょう。ビタミンAは腎機能によって体内から取り除かれますが、どのくらい体内にビタミンAがあると腎機能が低下するのかはまだ解明されていません。

発泡性ビタミン錠剤は、1錠あたり1gの塩分を含んでいることがあります。塩分の摂取量に気をつけるあるいは減らすことを勧められている場合は、非発泡性の錠剤に切り替えてください。

便秘薬

安全であるもの:
セナ錠剤を使って便秘を治療することができます。便秘が続く場合は、医師に相談してください。

避けるべきもの:
Fybogelはお酒を飲みすぎた場合のみに機能するので、腎臓病の人には適していません。

下痢のための薬

安全であるもの:
液体のロペラミド(イモジウム)を使って下痢を治すことができます。

下痢や嘔吐、腎臓に関する問題がある場合には、医師または薬剤師に相談してください。

補完医療のための薬

安全であるもの:
ホメオパシーの医薬品は腎臓病患者にとって安全なものです。

避けるべきもの:
血圧を上げてしまうので、腎臓病である場合は漢方を避けてください。セイヨウオトギリソウなどのいくつかのものは、腎臓病に対して処方された薬と相互に作用する可能性があります。エキナセア(風邪やインフルエンザの治療薬)などのその他のものは、腎機能に直接影響する可能性があるので、使用する前に医師や薬剤師に相談しましょう。

別の問題としては、異なる漢方薬の種類(同じ種類でも袋が異なっている場合でさえも)では含有している有効成分の量に関しては幅広い違いがある可能性があります。このため、1服がどれだけ強力であるか予測することは困難です。

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