「断食ダイエットで減量できる」は神話か真実か

断食について
断食は古くから行われている慣行で、主に宗教的な理由がありますが、未だに減量のための断食も効果があると大衆に信じられています。体内の「毒素」を流し去る、あるいは一ヶ月で15キロ減量する、といった確証の無い効果を謳う断食プランをあちこちで目にすることができるでしょう。
断食をする(ほとんど、あるいは全く食物を摂取しない)ことで体重が減る、というのは短期間でいえば本当です。但し、断食をすることでどんな得があるとしても、究極的にはリスクが圧倒的にそれを上回ります。
典型的な断食による減量プラン
断食を伴う摂生には様々なものがありますが、通常は水、ジュース、その他便通を促進する液体の摂取のみを認める厳格な摂生が根底にあります。固形食物の摂取を許すプランもありますが、それでもほとんどカロリーを得られないため、断食と呼ばれています。
断食といっても様々です。中には安全なものもあります(医師の監視のもとに行われる医療断食等)。宗教的・文化的な断食は通常、献身の姿勢を表すものとして、24-48時間に渡って行われます。これらは減量を促進することを意図したものではありません。
一日、二日に渡る断食は殆どの健康的な大人にとっては、危険性は低いです。しかし、健康上のリスクの高い人、高齢者、慢性的な病気を抱えている人、妊婦、そして子供は、どんなタイプの断食も行うべきではないとされています。
最も危険なのは、長期間に渡って(3週間から3ヶ月)断食を続けることです。
減量のために断食を行うことの危険性
カロリー摂取量を劇的に減らすと、減量します。しかし同時に様々な健康問題(例えば筋力の低下)が生じるのです。更に、断食を始めると身体は消費エネルギーをセーブするようになり、カロリーの燃焼速度が落ちます。
最初の減量で減るものは脂肪ではなく主に液体であるということを覚えておきましょう。また、普通の食生活を復活させた場合、大抵は落ちた分の体重が戻ります。殆どのひとは、減量した分を戻してしまうだけでなく、余計に数キロ増やしてしまう傾向にあります。これは、代謝速度が遅いせいで簡単に増量するからです。更に悪いことに、増量分は殆どが脂肪である可能性が高いのです。落ちてしまった筋肉はジム等でつけなおすことになります。
断食の副作用として、めまい、頭痛、低血糖、筋肉痛、身体の軟弱化、疲労等があります。長期間に渡って断食を続けると、貧血、免疫力低下、肝臓・腎臓の問題、不整脈等の問題が生じます。断食はまたビタミン・ミネラル欠乏、筋破壊、下痢をも引き起こします。断食中に便通促進剤を飲むと、体液不均失調と脱水症のリスクが上がります。
断食を続ける期間が長くなればなるほど、あるいは断食を繰り返し行えば行うほど、リスクはより複雑で深刻なものとなります。
身体を浄化するためのダイエットが何故要らないか
断食が肥満、疲労、頭痛等の疾患を引き起こす元となる有害な物質を身体から流し去る、というのは筋が通っているように聞こえるかもしれません。但し、身体が有害物質を除去して浄化されるために断食が必要だ、という科学的根拠は存在しないのです。
身体、すなわち腎臓、肝臓、肺、結腸、皮膚は自ら何の問題もなく有害物質を除去できるのです。
断食の真相
栄養学の専門家達は、断食が潜在的に危険性を孕んでおり、減量を達成する上では特に効果の無いものだと結論付けています。
断食を行う代わりに、長期間持続できる健康的な食生活を選択しましょう。健康的な食事には、多彩な野菜や果物、全粒穀物、低脂肪酪農製品、脂肪少なめのタンパク質食物、身体に良い脂肪等が含まれていることが理想です。また、定期的に身体を動かすことも大切です。
どうしても断食を行いたいという場合は、始める前に必ず医師の診断を受けましょう。