妊娠糖尿病について知っておきたいこと

妊娠糖尿病とは?
医者に、妊娠中にのみ現れる糖尿病の一種である、妊娠糖尿病と診断されましたか?最初は抵抗できないように感じるかもしれませんが、この妊娠合併症は、あなたが思っているよりもはるかに一般的です。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の2014年の分析によると、実際、妊婦の9.2%が妊娠糖尿病です。妊娠糖尿病は、慎重な監視と治療によってコントロールでき、安全で健康的な妊娠ができることを知っておきましょう。
妊娠糖尿病の原因は?
妊娠糖尿病は、通常、胎盤が産出するホルモンがインスリンを阻害する、妊娠24週目から28週目の間に始まります。インスリンは膵臓で産生されるホルモンで、脂肪や炭水化物の代謝を調節し、身体が糖類をエネルギーに変える手助けをします。胎盤が産出するホルモンの働きによって、身体は効果的に血糖値の上昇を制御することができなくなります。これが高血糖を引き起こし、体内の神経、血管、臓器にダメージを与える可能性があります。
どのような人が最もリスクが高いですか?
妊娠糖尿病になる人とならない人がいる理由は、研究者もわかっていませんが、以下の場合にはリスクが増大する可能性があります。
・太り過ぎ。妊娠中にBMIが30以上になることは、妊娠糖尿病の最も一般的な危険因子の1つです。それは、余分な体重がインスリンの血糖値を抑制する能力に影響を与えるからです。
・腹部脂肪レベルが高い。アメリカ糖尿病学会のDiabetes Careに掲載された最近の研究では、妊娠初期に腹部脂肪レベルが高い女性は、後に妊娠糖尿病と診断される可能性が高いことが分かりました。
・高齢。医者は、35歳以上の女性は妊娠糖尿病を発症するリスクが高いと言います。
・家族歴がある。家族内で糖尿病が発症すると、妊娠糖尿病のリスクがさらに高くなる可能性があります。アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、アジア系、ネイティブ・アメリカンの女性は、統計的に妊娠糖尿病の診断を受ける可能性が高いです。
・妊娠糖尿病の病歴がある。過去の妊娠中に妊娠糖尿病を発症した場合、その後の妊娠で再び妊娠糖尿病になる可能性が高いことが、研究によって示唆されています。
・糖尿病前症の診断を受けた。妊娠前に血糖値がわずかに上昇していると、妊娠糖尿病のリスクが上がる可能性があります。
・寝たきり。ある研究では、寝たきりで活動的ではないために、妊娠中に体重がさらに増え、そのため妊娠糖尿病を発症する可能性が高くなることを示しています。
妊娠糖尿病の症状とは?
妊娠糖尿病のほとんどの女性は症状がありませんが、次のような症状を経験する人も少数います。
・異常なのどの渇き
・大量の尿が頻繁に出る
・疲労(通常の妊娠中の疲労と区別するのが難しいかもしれません)
・尿糖
妊娠糖尿病の診断方法とは?
あなたは、これまで毎回の健診で、医者から尿サンプルを提出するように求められていることに気づいているでしょう。その目的の一つは、妊娠糖尿病の兆候である、尿中の糖を検査することです。(一度の検査で陽性が出たからといって、必ずしも妊娠糖尿病であるとは限りません。)
さらに、アメリカ政府は現在、すべての妊婦が妊娠糖尿病の特別な検査を受けることを推奨しています。妊娠28週目頃、医者はグルコーススクリーニング検査を行います。検査では、砂糖が入った飲み物を飲んで、1時間後に血液を採取します。血液検査で高血糖であることがわかった場合、妊娠糖尿病の有無を判断するために、医者は3時間のブドウ糖負荷試験を行います。
妊娠糖尿病は母親と赤ちゃんにどのような影響を与えますか?
医者による適切な治療と定期的な経過観察をすれば、妊娠糖尿病はコントロールできるので、あなたにも赤ちゃんにも影響はありません。しかし、過剰な糖が母親の血液中を循環し、胎盤を通って胎児循環に入ると、母親と赤ちゃんの潜在的な問題は深刻になります。妊娠糖尿病をコントロールしていない女性は、赤ちゃんが巨大児になったり、出産がより大変になるリスクが高くなり、帝王切開の可能性が上がります。また、子癇前症および死産のリスクもあります。妊娠糖尿病は妊娠合併症とみなされ、医者の大部分は出産予定日を過ぎて妊娠を進めさせられないと考えるため、妊娠糖尿病の女性は、陣痛を促される可能性があります。
また、糖尿病をコントロールしないと、黄疸、呼吸困難および低血糖値など、生後の赤ちゃんの潜在的な問題につながる可能性があります。赤ちゃんは、その後の人生で、肥満および2型糖尿病のリスクが高くなることがあります。しかし、これらの潜在的な悪影響は、血糖値をコントロールするために必要な支援を受けている人には当てはまらないということを覚えておくことは重要です。
妊娠糖尿病を予防するために何ができますか?
妊娠糖尿病の唯一の危険因子が、この病気の家族歴または高齢出産の場合、症状を発症する可能性を抑えることはできません。しかし、太り過ぎで、バランスの取れた食事や日常的な運動をしていない場合、健康的な習慣を取り入れると大きく改善することができます。そして、十分に繰り返すと、最終的にはあまり意識的に努力しなくても維持できるようになります。以下の方法は、妊娠前と妊娠中の両方で、妊娠糖尿病と2型糖尿病を発症するリスクを減らすことに大きな影響を与えます。
・活動的でいる。医者の指導のもと運動すると、通常体内に産生されるインスリンがなくても、グルコースを燃やすことができます。昼食後と夕食後にたった15分歩くことから始めましょう。それは血糖値を抑制するのに最適な方法です。そして、一度やる気になったら、おそらく運動が大好きになるでしょう。
・健康な食事をする。食生活を変えることで、妊娠中にあなたと赤ちゃんを守れるだけでなく、生涯のより良い食習慣を身につけることができます。さまざまな果物や野菜、脂肪分の少ない肉、良質のタンパク質、複合炭化物がたっぷりのバランスの良い食事をとりましょう。また、脂肪の摂取量を1日の総カロリーの30%に制限し、砂糖の多い食べ物や加工食品は避けるようにしましょう。高食物繊維で低脂肪のもの(全粒粉、低脂肪乳、肉、豆類、魚)を選択し、食事量に注意しましょう。最初は少し手間がかかるかもしれませんが、すぐに日課になって、何を食べるべきかわかるようになるでしょう。
・体重管理をする。医者の助けを借りて、健康的な体重とBMIを維持するようにしましょう。それは、妊娠中は適切な体重増加をし、その後余計な体重を落とすことを意味します。
妊娠糖尿病の治療法とは?
幸いにも、妊娠糖尿病に関連する潜在的なリスクはほとんどすべて、血糖値を注意深く管理することによって排除することができます。妊娠糖尿病と診断された場合、医師と研究者は次のことを推奨します。
・血糖値を1日に数回チェックする。空腹時の値を知るために朝一番にチェックし、各食事の1時間後にチェックして、血糖値が健康な範囲か確認しましょう。ほとんどの医者は、指を刺す針と血糖値を読み取る小さな器械がついた血糖値測定キットを購入することを勧めています。指を刺しても痛くないので心配しないでください。それは、身体がさまざまな食べ物をどのように処理しているのか知るための最も正確な方法です。健康的な食べ物を選択して血糖値の測定値が良いと、力を与えてくれます。あなたは、自分自身と赤ちゃんの健康において積極的な役割を果たしています。
・栄養士に相談する。栄養士は、健康的な食べ物の選択肢を見直し、食事計画を立てるのを手伝ってくれます。多くの女性は、産後もずっとバランスのとれた食事である「妊娠糖尿病」の食事療法を続けています。
・食事記録をつける。各食事の後、血糖値と一緒に食べた物をすべて記録します。これは、どのような食べ物が血糖値を上昇させているのかより良く理解するのに役立ち、それらを避けることができます。
・動く。血糖値を下げるために、食事の後に散歩に行ったり、階段を使うようにしましょう。
多くの場合、妊娠糖尿病は食事と運動で十分コントロールできますが、そうでない場合、医者は、コントロールするためにインスリンの投与を提案するかもしれません。インスリンは注射で投与されますが、経口薬が処方されることもあります。
医者は、妊娠後期に、赤ちゃんの心拍数と動きが正常であることを確認するために、非ストレステストを含む追加の検査を提案するかもしれません。
産後はどのようなことが起こりますか?
研究によると、妊娠糖尿病の女性が、2型糖尿病を発症する確率は50%です。そのため、妊娠中に健康的な習慣を身につけ、産後も健康状態を確認することが重要です。産後の健康を維持するためのいくつかの方法があります。
・医者の診察を受ける。グルコースおよびHbA1c
(糖化ヘモグロビン)レベルに関する継続的な問題を調べるために、産後6週間の健診や毎年の健診の後に、かかりつけの医者や産婦人科でもう一度診てもらうようにしましょう。
・栄養士に相談する。栄養士は、血糖値をコントロールでき、あなたが続けられる食事法を開発する手助けをしてくれます。
・毎日、健康的に食べることを心がけ続ける。血糖値を上昇させ、2型糖尿病の発症に寄与する、砂糖と精製された炭水化物を避けるようにしましょう。砂糖や単純炭水化物はどこにでもあるので、慎重にラベルを読みましょう。(栄養士は、注意すべき重要な成分を理解する手助けをしてくれます。)代わりに、野菜、低脂肪の肉、乳製品、全粒粉のような加工されていない食品を選んでください。
・できるだけ長い間、母乳育児をする。母乳育児は、妊娠糖尿病後に2型糖尿病を発症するリスクを低下させることがわかっています。これは、母乳育児が糖代謝とインスリン感受性を改善し、今後の糖尿病発症リスクを半減させるためです。そして、授乳期間が長くなればなるほど、リスクが低くなります。
・運動を取り入れる。注意が必要な赤ちゃんがいる状態で、活動的になるのは難しいですが、妊娠中に増えた体重を減らし体重を管理するために、医者が承認した運動をできるだけ行うようにしましょう。
生後の赤ちゃんにどのようなことが起こりますか?
妊娠糖尿病の母親から生まれた赤ちゃんは、症状がなくても、出生後に簡単な血液検査を受け、低血糖の検査を受けなければなりません。これは産後すぐに行われ、あなたと赤ちゃんはまだ病院にいます。
赤ちゃんが生まれてからは、妊娠中の健康的なライフスタイルを、家族全体のために維持することに焦点を当てることが不可欠です。そして、糖尿病の解決にも役立つことに気づくかもしれません。子どもには良い食習慣と運動習慣を教えましょう。最近の研究では、妊娠糖尿病の女性から生まれた子どもは、妊娠糖尿病ではない女性から生まれた子どもに比べて、糖尿病または前糖尿病を発症する可能性が6倍高いことが示されています。子どもが2型糖尿病と診断されるのを避けるために、次のことを目指しましょう。
・赤ちゃんのとき、そして大きくなってから、栄養価の高い食事をとる。あなたが妊娠中やそれ以降に守っている食事療法は、子どもにとっても良いものです。子どもが十分に大きくなったら、台所でお手伝いをさせましょう。料理の準備を手伝う子どもは、栄養価の高い食事をとる可能性が高いです。
・子どもの成長にしたがって、たくさん運動させる。歩くことから始めましょう。成長するにつれて、サッカーやその他の活動は、健康的な運動に興味を持たせるのに最適な方法です。
・健康的な体重を維持する。小児科医と話をして、BMIが目標とする範囲であることを確認し、健康的な体重や肥満の増加について率直に話しましょう。