自然分娩について知っておきたいこと

自然分娩について
出産するときに薬を使ったり医療行為をしたりするのは避けたい?なら自然分娩がよいかもしれません。このページを読んで自然分娩のすべてを学び、自分に合っているかどうか考えてみましょう。
始まり(いつ妊娠するか)から終わり(どのように産むか)まで、妊娠は選ぶことでいっぱいです。赤ちゃんを迎え入れる段階になって、病院での出産は検討していない、あるいは薬をほとんどまたは全く使わないで産みたいのなら、自然分娩が合っているかもしれません。しかし、自然分娩とは正確にはどういう意味でしょうか?あなたは自然分娩しても大丈夫なのでしょうか?自然分娩のメリットとリスクについて学び、きちんとした情報を元に出産方法を選びましょう。
自然分娩とは何ですか?
自然分娩とは、医療行為をあまり(あるいは全く)行わない経膣分娩です。どんな医者を選ぶのか、どんな方法で痛みをとるかなど、さまざまな選択肢があります。通常自然出産に含まれる一般的な選択肢は次のとおりです。
・病院ではなく自宅で出産する(ただし病院で薬を使わない出産をすることもできます)
・ベッドで仰向けに寝るのではなく、しゃがむ、四つんばいになる、ひざをつける、何か(椅子やパートナーなど)に寄りかかるなど分娩時の体勢を変える
・水中出産をする
・水治療法、催眠術、マッサージ、リラクゼーション技術、マインドフルネス瞑想、呼吸法、指圧など薬を使わないで痛みを和らげる
・出産後赤ちゃんをすぐに胸に抱き、肌で触れ合って母乳をやる(すぐに引き離して赤ちゃんの容態を確認し体重を量るのではなく)
・陣痛誘発剤、会陰切開(幸いなことに、どんな出産方法にしろ今日ではめったに行わない)、胎児モニタリング、鉗子で娩出を助ける、吸引分娩、帝王切開などの処置は避ける(最終手段として医学的に必要にならない限り)
メリット
医療行為を前提にするのではなく妊婦自身の体と本能を使う自然分娩なら、出産を主体的にしている感覚を得やすいかもしれません。ほかにも以下のようなメリットがあります。
赤ちゃんが母親以外の人とも絆を深められる
自然分娩には、パートナーや家族、親しい友人からの絶え間ないサポートが必要になります。それを通じて、その人と赤ちゃんとの絆が深まるかもしれません。
母乳育児しやすくなる
研究によると、出生後すぐに母親と赤ちゃんが肌で触れ合うことで、母親と赤ちゃんの絆がより早く生まれ母乳育児しやすくなるだけでなく、泣く量が減ったり、赤ちゃんの睡眠や体重増加、脳の発達を促進できます。病院で出産する場合は、早めの退院ができるかもしれません。
動ける
分娩の間動けると痛みに対処するのに良いと思う女性は多いです。硬膜外麻酔をしているとベッドの上にしかいられませんが、自然分娩ならホールを歩いたり、シャワーを浴びたり、エクササイズボールを動かしたりなど楽しみながら自由に動き回ることができます。
より効果的にいきめる
研究によれば、硬膜外麻酔は効果的であり痛みを和らげるのに必要なこともあるものの、平均して初産婦では1時間、経産婦では平均16分分娩所要時間が延びます。痛みを和らげる薬を投与しないので、感覚を失わずにより簡単に動けます。
早期に歩けるようになる可能性がある
硬膜外麻酔で麻酔がかかったり薬で足元がふらついたりしないので、出産後にすぐベッドから出て歩けます。歩くことで産後の肥立ちがよくなり、便秘(出産後によくある病気)を防げます。
自分の体に誇りを持てる
もちろん、薬を使わない方法や硬膜外麻酔を使う方法、帝王切開など、どのような出産方法であったとしても、産み遂げたことに誇りを持つべきです。自然分娩をした母親は、自分の体は薬を使わなくても何をできるのか、ということがはっきりとわかり楽しんでいるということです。
リスク
自然分娩にも普通の健康関連の決断と同じく、最終的に決断するとき考慮すべきリスクがあります。以下に検討すべきことを挙げます。
予想以上に痛いことがある
予想以上に痛みが強いことがあることをわかっている女性もいます。とはいえ、自然分娩を希望していることは医者に知らせておき、痛みがあまりにも大きくなったらいつでも硬膜外麻酔を頼みましょう。
全身麻酔が必要な場合がある
硬膜外麻酔がその場になく、かつ赤ちゃんの心拍数が低下したり、へその緒が先に出たり、予期しない別の緊急事態が発生した場合は、帝王切開が必要と判断されて安全のため全身麻酔をする(または意識をなくすために薬を服用する)ことがあります。
合併症のリスクが高くなる
自宅出産の場合は、病院出産と比較して新生児死亡リスクが2〜3倍高いことを認識しておいてください(とはいえ1,000人の出生あたり0.9対2なので非常に低いです)。これは、合併症が発生した場合母親が病院の近くに住んでいないと、赤ちゃんが必要とする救命措置を十分に取れない可能性があるからです。しかし、多くの病院は自然出産の母親や赤ちゃんも受け入れており、必要な場合には医療行為も提供しています。
自然分娩はあなたに合っていますか?
自分の選択肢や、自然分娩があなたにとって安全かどうかについて、医者に相談することが重要です。以下の条件を満たすなら、自然分娩しても大丈夫でしょう。
・生まれる赤ちゃんは1人だけである
・出産を応援してくれる家族や友人がいる
・正期産か、少なくとも妊娠第37週である
・慢性疾患はなく、妊娠合併症もない
・妊娠中は健康な体重の範囲内に保ち、定期的に運動し、きちんと食べた
場合によっては、出生時に合併症のリスクがあるので、念のため妊婦が特別な医学的注意を払える環境で産むべきだと医者が考えることもあるかもしれません。以下に当てはまる人は自然分娩に向いていません。
・多胎妊娠である
・痛みに対して高い耐性を持たない
・早産か、妊娠37週未満で出産する
・過体重か、妊娠中に体重が多くなりすぎた
・妊娠糖尿病や子癇前症など妊娠合併症がある
・B群連鎖球菌の保有者である(妊娠第36週中に検査します)。新生児感染の危険性を減らすために、分娩中にIV抗生物質が必要になります。
・糖尿病や妊娠糖尿病がある。出生時にIVとインスリンが必要になることがあります。
・逆子である。妊婦と赤ちゃんの安全のために帝王切開が必要になります。
準備する方法
自然分娩の一番の準備方法は?できる限り情報を集めてください。自然分娩できる確率を高めるために、分娩前にできることがあります。
医者に相談する
ケアチームが自然出産のサポートをしてくれることを確認してください。産婦人科医が上記のようなリスクがないのに理由もなく自然分娩を躊躇するなら、産婦人科医を変えるか助産師に頼みましょう。
勉強しましょう
勉強せずに試験を受けることはないように、本を読んだり自然分娩した友人や家族と話したりすることなく、自然分娩するべきではありません。また、母親学級を受講することで、分娩室で役立つテクニックを練習できます。
自然な痛み緩和法を学びましょう
そして、練習して、練習して、練習しましょう。出産までの数週間で、パートナーと一緒に薬を使わない痛み緩和法(例えば、マッサージセラピー、リフレクソロジー、リラクゼーション、呼吸法、アロマセラピーなど)を試してみてください。同じテクニックを何度も繰り返しリハーサルすれば、最も必要なときに第二の本能のようになります。また、何が一番効果的なのかが大切な日の前に分かります。
自然分娩のヒント
分娩室に入った後も、最後の最後まで自然分娩するために役立つアドバイスがあります。
1分ごとに痛みに耐えてください
陣痛は約1分続いた後は和らぎます。分単位に痛みがくることを理解し、その先の出産を心配しすぎないようにすれば、痛み止めを飲まなくても自然出産できる可能性が高くなります。
出産が成功するイメージを持つ
多くのオリンピックメダリストは、競技が始まる前にレースを頭でリハーサルします。同じことをしてください。赤ちゃんが体から簡単に出てくる様子を思い描きましょう。成功した状態をイメージし、それを信じて、分娩中に何度も思い描きましょう。肯定的な思い込みの力を信じ、自分の体は強く出産に耐えられるのだと信じてください。
分娩室の立会人の数を制限する
親しい友人や家族がみんな近くにいたら力が出るような気がしますが、あまりにも多くの人がいると励みになるというよりは気が散ります。研究によると、立会人の数が増えると実際には分娩が遅くなり、薬を使わないで分娩することが難しくなる可能性があります。犬や猫が本能的にどこかに隠れて子どもを産むのには理由があります。集中するためです。
痛み止めを使うことは間違っていません
「自然分娩」を望むとしても、すべてを自然にしなければその効果が得られないわけではありません。必要なら痛み止めを使うことは間違ったことではありません。痛み止めが必要になったとしても、それでがっかりするのはやめてください。一つとして同じ出産はないのであり、感じる痛みも人それぞれです。出産方法に関わらず赤ちゃんを抱きしめることはできるのですから、それを誇りに思ってください!