緩下剤についての基礎知識〜種類、使用法〜

治療薬

緩下剤とは

緩下剤は、便通を良くするために用いる薬剤です。
食物繊維や水の摂取量を増やしたり、運動量を増やしたり、といった生活面での変化が便秘に対して効果を上げなかった場合に、緩下剤が使用されます。
市販の緩下剤はスーパー、薬局等で入手することができ、処方箋は不要です。

緩下剤の種類

膨張性下剤

膨張性下剤(イスパキュラフスクやメチルセルロース等)は食物繊維と同様の働きをします。膨張性下剤を用いると便の水分が逃げにくくなり、便の体積が増加して、排便が促進されます。

浸透圧性下剤

浸透圧性下剤(ラクトースやポリエチレングリコール等)は腸内の水分を増加させることで便を軟化させ、排便しやすくします。

刺激性下剤

刺激性下剤(ビサコジル、センナ葉、ピコスルファートナトリウム等)は消化器系に沿って並ぶ一連の筋肉を司る神経を刺激することで、腸の働きを促進します。

便軟化剤

便軟化剤(落花生油、ドクサートナトリウム等)は、硬く乾燥した便の液体内容物の量を増加させ、排便しやすくします。

他にも数々の緩下剤がありますが、以上に挙げたものほど広くしようされてはいません(腸管洗浄剤、末梢オピオイド受容体拮抗薬、リナクロチド、プルカロプリド等)。

どの緩下剤を使用すればいいのか

緩下剤は長きに渡り使用され続けてはいるものの、信憑性の高い証拠が不十分で、どの程度の効果を望めるものなのかははっきりしていません。また特定の薬剤をその他の下剤と比較した場合に、効果が上がるのか否かといったことに関しても確かな根拠はありません。特にこれといった理由(以下参照)がない限り、ほとんどの人はまずはじめに膨張性下剤を使用するべきでしょう。これは通常、服用から二、三日で効果が現れます。
便が硬いままである場合は、膨張性下剤に加えて(或いは代替として)浸透圧性下剤を使用してみましょう。便が軟化したものの、依然として排便に問題があるという場合は、膨張性下剤に加えて刺激性下剤を使用してみましょう。
通常、浸透圧性下剤は服用から二、三日で効果を示しますが、刺激性下剤は6-12時間以内に効果を見せます。
どの下剤を用いれば良いかわからない場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。また、全てのタイプの下剤を使ってみても便秘が治らない場合や、子供に下剤を使わせたほうが良いと考えている場合は医師の診断を受けましょう。

注意事項

緩下剤は市販で入手が可能ですが、万人に適した薬剤ではありません。
医師の指示がない限り、子供の緩下剤使用は推奨されません。また、クローン病や潰瘍性大腸炎といった特定の病気に罹患している者にとっては、緩下剤の使用が安全でない場合があります。

緩下剤の服用の仕方

緩下剤の服用の仕方は、その薬剤の形状に依拠します。緩下剤は一般的には、以下の状態で提供されています。
・錠剤・カプセル。
・粉末(小袋に入っており、水と混合する)。
・坐薬。お尻の穴(直腸)に直接入れる(溶解して液体やジェルになる)。
中には、起床後、或いは就寝前、といった具合に服用時間を指定している緩下剤もあります。
薬剤を入手する際に得られる患者用パンフレットを熟読し、正しく使用しましょう。

膨張性下剤や浸透圧性下剤を服用する場合は、同時に水分補給を行うことが特に大切です。これは、下剤が脱水症を引き起こすからです。推奨服用量よりも多くの下剤を接取することは絶対に避けましょう。というのも、これは厄介な副作用(以下参照)を引き起こす恐れがあり、非常に危険だからです。

下剤の服用期間

緩下剤の使用は時折で、使用期間が出来る限り短いことが理想です。便秘が解消したら直ちに服用をやめましょう。
緩下剤による治療を行った後、便秘の再発を防ぐために生活スタイルを変えるとよいでしょう。例えば、多量の水分を摂取する、定期的に運動する、食物繊維の摂取量を増やす、等です。これらの方法は、緩下剤を取りすぎることと比較すると格段に良い便秘の防止法なのです。
生活スタイルを変えた/一週間以上緩下剤を使用している、にも関わらず、時折便秘になるという場合は医師の診察を受けましょう。便秘を解消するために、毎日下剤を使用する癖をつけるのは非常に危険なのでやめましょう。
特定のケースにおいて、定期的な使用を前提に緩下剤が処方される場合がありますが、これは医師や胃腸病学者の監視のもとで行われるべきことです。

副作用

ほとんどの薬剤と同様に、緩下剤は副作用を引き起こす可能性があります。副作用は大抵軽度のもので、服用を止めればおさまるものです。
副作用は、服用している緩下剤の種類に拠りますが、緩下剤の代表的な副作用を以下に挙げておきましょう
・腹部膨張
・おなら
・お腹の痛みや痙攣
・吐き気
・脱水症(頭が朦朧としたり、尿の色が通常よりも暗色化したりする)
緩下剤の使用によって、特に厄介な副作用が出ている、或いは副作用がいつまでもおさまらない、という場合は、医師の診断を受けましょう。
緩下剤を過剰量、或いは長期に渡って服用すると、下痢、腸管が妨害(腸管が大きく乾燥した便によって塞がれる)されたり、体内の塩分・ミネラルの量的なバランスが崩れたりします。

代替

多くのケースにおいて、緩下剤を用いずに便秘を解消することが可能です。緩下剤を使用し始める前に、まずは生活面に変化を加えてみることで状態が改善されるかもしれません。具体的には以下のような方法があります。
・一日あたりの食物繊維摂取量を増やす(一日あたり30g程度摂取することが推奨されます。果実、野菜、シリアル等は繊維を豊富に含んでいます。)
・小麦ブランを食事に取り入れる(ブランは便を軟化させて、排便しやすくします。但し、ブランや繊維は腹部膨張を悪化させる場合があります。)
・水分を多量に摂取する
・定期的に運動を行う

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