妊娠中の静脈瘤について知っておきたいこと

妊娠中の静脈瘤
静脈瘤は、見た目はあまりよろしくないですが、妊娠中は通常は害はありません。母親になろうとしている人が直面するであろうさまざまな症状のうちの一つに過ぎません。
血管が大きく膨れ上がる静脈瘤は、脚にできることが多いですが、下半身のどこにでもできることがあります。肛門付近や外陰部にできることだってあるのです。静脈瘤は皮膚の表面で膨れ上がり、紫色っぽいこぶができます。クモ状静脈瘤よりも膨らみが大きく、見た目もあまり好ましくないということが、この妊娠特有の症状の特徴です。
原因は?
赤ちゃんとお母さんの二人分の体を守るために、妊娠中は通常よりも多くの血液が作られることから、血管に圧力がかかります。脚のほうに送られた血液は、重力に逆らって心臓まで戻されなくてはならないため、脚の血管には特に負担がかかります。また、子宮がどんどん成長することで骨盤付近の血管を圧迫したり、妊娠中に多く分泌されるプロゲステロンの影響で血管が緩みます。このようなことが原因で、妊娠の29週あたりから静脈瘤ができることがあります。
知っておいたほうがいいこと
静脈瘤の見た目が気になったり、かゆみや痛みを伴うこともありますが、母体にも赤ちゃんにも影響はありません。妊娠前に静脈瘤ができることがなかった人は、出産後数ヶ月ですべて消えるでしょう。ただし、二人目以降を妊娠したら、再びできてしまいます。妊娠線などと同様に、これも遺伝による影響が強いとされています。あなたのお母さんが妊娠中に静脈瘤ができていたとしたら、あなたもできる可能性が高いということになります。
まれに、静脈瘤が炎症を起こして血栓になってしまうこともありますので、状態については常に医者が把握しておけるように報告しましょう。
対処法
静脈瘤を防ぐための確かな科学的な根拠はありませんが、以下の方法が役に立つことがあります。
・血流を良くしましょう。歩けるときは歩き、座っているときは脚を高くしましょう。立っているときは、片方の足を交互に踏み台に乗せて、血の巡りが悪くなるのを防ぎましょう。また、足首をよくまわし、座っているときに脚を組む癖を直しましょう。
・活動的になりましょう。運動することで、静脈瘤を予防できる傾向にあります。毎日散歩をしたり、体に負担のかからない、血液の循環をよくするための体操を行いましょう。
・着心地のよい服を選びましょう。洋服や下着は、サイズの合ったものを着用し、特に太ももあたりを圧迫するような服は避けるようにしましょう。きついベルトを締めたり、ゴムのきつい靴下を履いたり、きつい靴やヒールを履かないようにしてください。
・静脈瘤の予防のための弾性ストッキングを試してみましょう。これを履くことで、お腹の重みで下半身が圧迫されるのを妨げ、脚の血管を流れる血液が心臓に戻りやすくなります。朝起きたときに履くことで、血液が溜まってしまうのを防いでくれます。
・体重の増加に注意しましょう。医者が推奨する限度内におさめるようにしましょう。通常、体重の増加は11~15kg以内と言われています。それ以上体重が増えてしまうと、循環機能にいっそう負担をかけてしまいます。
・体に負荷のかかることはなるべくしないようにしてください。重い荷物を運んだり、トイレで踏ん張ることでも、静脈瘤ができやすくなることがあります。
・十分なビタミンを摂取しましょう。妊娠中にバランスの取れた食事をすることで、血管を健康に保つことができます。ビタミンCを多く含む食材を意識的に多くとるようにしてみてください。ビタミンCは、コラーゲンやエラスチンの生成を助けるため、血管の修復と維持に役立ちます。
・出産後も静脈瘤が消えない場合、治療や取り除くための手術を検討してもいいでしょう。ただし、妊娠中はこうした治療や手術は行えません。