妊婦と菜食主義・完全菜食主義について

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妊娠中の食生活

ここでは、妊娠中、食生活を犠牲にすることなく、タンパク質やその他の重要な栄養素を確保する方法をご紹介します。

ビーフ(或いはチキン、魚、酪農製品)が食べられませんか?大丈夫です。心配することはありません。妊娠していても、菜食主義・完全菜食主義の食生活は続行することができます。妊婦と赤ちゃんが必要なものを全て取り続けるために知っておかねばならないことを解説していきます。

妊娠中でも菜食主義・完全菜食主義的な食生活を取ってよいか

菜食主義を控えるべきだ、と善意から提案してくる人に出くわしても驚かないでください。妊娠中に菜食主義・完全菜食主義的食生活を取ることに関しては誤認が多く残っているのです。実際、菜食主義・完全菜食主義者たちは至って健康的な妊娠期を送り、健康的な赤ちゃんを出産しています。心配すべき点がどこにあるのでしょうか。
赤ちゃんの発育を増進する栄養素は肉類、その他の動物性食品からの方が接取しやすいのです。幸い、これらの栄養素は他の方法でも確実に接取できます。

妊娠中、菜食主義・完全菜食主義の食生活を取る際に特に意識して接取すべき栄養素

妊娠中で、且つ菜食主義或いは完全菜食主義を貫いている場合は、タンパク質、カルシウム、鉄分、ビタミンB12、ビタミンDを特に意識して接取する必要があるでしょう。

タンパク質

理由:妊娠期は一番タンパク質が必要な時期なのです。これは、タンパク質は発育中の赤ちゃんのための細胞やホルモンの構築を助けるからです。乳卵菜食主義者であれば、有力なタンパク質供給源から必要な分はとっくに接取できていることでしょう。(妊婦となった今、オムレツやギリシャヨーグルトが欲しくてたまらないのではありません?)十分量を接取できているか心配だという人、或いは完全菜食主義者にとっては、これから紹介する野菜ベースのタンパク質供給源を食生活の中に取り入れればよいでしょう。

摂取量目安:一日あたり75g

食物:マメ科植物、全粒穀物、大豆、ナッツ、種子

さやえんどう、グリーン・ピース
ヒヨコマメ
黒豆、白インゲン、インゲン、ぶちインゲン
キノア
ブルグル、蕎麦、全粒小麦クスクス
オートミール
全粒小麦パスタ
全粒穀物シリアル、パン
ナッツバター
くるみ、カシューナッツ、ピスタチオ、アーモンド、ブラジルナッツ、松の実
豆乳
豆腐
味噌

カルシウム

理由:カルシウムは赤ちゃんの骨・筋肉・心臓・神経を形成する上で非常に重要な栄養素であり、これはとりわけ妊娠7ヶ月以降にあてはまります。実際、この栄養素があまりにも赤ちゃんにとって必要不可欠であるため、妊婦の食事で得られない分は妊婦の骨から得ようとします。これは、将来的に妊婦が骨粗鬆症を患うリスクを高めます。幸い、酪農製品以外からも推奨摂取量を確保することはできます。医者によっては、あらかじめカルシウムサプリメントも接取するよう勧める場合もあります。

摂取量の目安:一日あたり1000mg

食物:
ヨーグルト
チーズ
緑色の葉菜
カルシウム強化オレンジジュース

鉄分

理由:妊娠中は、妊婦と赤ちゃんの両方を支えるために血液量が凡そ50%増えます。鉄分は、赤血球の増産に欠かせません。鉄分が不足すると貧血を起こす可能性があり、これは放っておくと早産や低体重児出産に繋がります。体内鉄分量を意識しなければならないのは菜食主義者・完全菜食主義者だけではありません。赤肉を食べている人たちでさえ、妊娠中は日々の食事から十分量の鉄分を確保することに手間取っているのです。
必要量を接取する最も単純な方法として、鉄サプリメントをとる、ということがあります。これは、妊娠20週間(定期健診で鉄分貯蔵量が少ないことがわかれば、これより早い段階で勧められる場合もある)を過ぎた後、妊婦用ビタミン剤に加えて接取するよう医者に勧められる可能性があります。

摂取量の目安:27mg

食物:
インゲン、ソラマメ
枝豆
大豆製品
大麦
キノア
ブルグル
かぼちゃの種
ドライフルーツ
ほうれん草、コラードの葉、緑葉カンラン
海草

ビタミンB12

理由:ビタミンB12は葉酸とともに、胎児の脳の適切な発達に不可欠です。また、ビタミンB12は赤血球や遺伝物質の形成に関しても重要です。ビタミンB12の不足は神経管欠損に繋がると考えられており、また早産を引き起こす要因ともなるとされています。ビタミンB12が不足することは稀ではありますが、菜食主義者、とりわけ完全菜食主義者は摂取量が不足してしまうことが多いのです。これはビタミンB12が動物性食品のみに見つかるからです。妊婦用ビタミン剤だけでは接取が足りていない物質に関しては医者と相談しましょう。ビタミンB12や葉酸の栄養補助剤を提供してくれるかもしれません。また、多すぎでありがた迷惑、なんてことにはならないようにしましょう。

接種量の目安:一日あたり2.6mcg

食物:
ビタミンB12強化豆乳
強化シリアル
乾燥酵母
(強化)肉類代替食品

ビタミンD

理由:このビタミンは健全な歯と骨を形成し、維持するために必要不可欠です。ビタミンDの著しい欠乏は新生児に先天性くる病(骨が軟化・弱化し、成長不良や骨格奇形に繋がる)や骨折等の合併症を引き起こす可能性があるとされています。ビタミンDを接取に最適の食物は牛乳と魚です。このどちらも食生活に取り入れることが出来ない場合は、毎日数分間太陽光を浴びるようにしましょう。日光を受けると身体はビタミンDを生産するのです。但し、これはとりわけ皮膚色が暗い者や晴天の少ない気候の下に暮らす者、外出をあまりしない、或いはサンスクリーンを塗る者にとっては難しいかもしれません。
ビタミンDは、強化豆乳、強化パン、強化シリアル、強化オレンジジュースから得ることができますが、大抵の場合はこれでは全く足りません。幸い、ビタミン・サプリメントがありますから、医者に体内のビタミンDレベルを検査してもらって、必要なサプリメントの処方について相談しましょう。

妊婦の菜食主義・完全菜食主義的食事は赤ちゃんにどのような影響を与えるのか。また、問題の兆候はどのようにして知るのか。

以下の条件を満たす限りは、健康的な妊娠期を送って健康的な赤ちゃんを出産することができるでしょう。

以上で示した栄養素に重点を置きながら、バランスの取れた妊娠食を取る
毎日妊婦用ビタミン剤を取る
妊婦用の定期健診は欠かさず受け、心配される症状はためらわずに医者に相談する(検査の上で医者が問題や異常の有無を判断し、必要な栄養素が欠けていることがないようにしてくれるはずです。)

妊娠中に肉が食べたくてたまらなくなった場合

体内でホルモンが変化することにより、妊婦の多くは食物の好き嫌いが多かれ少なかれ変わっていきます。また、妊婦のほとんどは食物渇望を経験しますが、その多くが肉類に対して渇望をおぼえます。妊娠中は例外的に肉類を食べてもいいことにする、というのであれば、肉類への渇望はなんら問題はありません。赤ちゃんを出産してから菜食主義・完全菜食主義にもどればいいのです。また、まだ食べていないのであれば、魚、卵、酪農製品を食生活に取り入れることも是非検討してみてください。(但し、その必要があるわけではありません。)これらが可能でない場合は、タンパク質豊富な肉類代替食品を食べて食物渇望をなだめておきましょう。

授乳中に菜食主義・完全菜食主義をとっても問題ないか

授乳中であっても、菜食主義・完全菜食主義を続行してかまいません。しかし、食事に重要なビタミンやミネラル(菜食主義・完全菜食主義の場合はB12、亜鉛、カルシウム、)が欠けている可能性はあります。特に赤ちゃんが健康上の問題を抱えていたり、早期に産まれてきた場合は、赤ちゃんのためにサプリメント接取を医者に勧められる可能性があります。
赤ちゃんにも(固形食物の接取に移ってから)菜食主義・完全菜食主義的食生活を取らせるのであれば、赤ちゃんが必要な栄養素を全て確保できるよう細心の注意を払わねばなりません。

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