私たちは潔癖症なのでしょうか?〜アレルギーについて〜

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潔癖症とアレルギー

潔癖症が、花粉症、湿疹、喘息などのアレルギーを増加させていると考えている人は多いです。
現代の衛生基準では、私たちは身体に良い細菌にも悪い細菌にもさらされることが減っているということです。それは、健康に保つための身体のメカニズムである免疫システムを強化するのに役立ちます。
過去20年間、アレルギーが増加し、誰も本当に理由がわかりませんでした。英国の約4人に1人は、生涯のある時点でアレルギーに苦しんでおり、その数は毎年増えています。
研究によれば、細菌にさらされることは考えられる理由の1つでしかなく、食生活、運動不足、環境、抗生物質の使用、アレルギーの家族歴がより大きな役割を果たしているかもしれないということです。
しかし、証拠からますます明らかになっているのは、アレルギーの発症リスクを減らすために衛生基準を緩めてはいけないということです。

私たちはきれい好き過ぎるのでしょうか?

いいえ。個人衛生と家庭衛生に関して十分な基準を維持することが非常に重要です。
良い衛生状態とは、感染を避け、他者への感染拡大を防ぐことです。良い衛生状態とは、汚れがないことではなく、異常なほどの清潔さを要するものでもありません。良い衛生状態とは、時と場合に応じて細菌の拡散を防ぐことです。たとえば、料理をするとき、トイレを使用した後、くしゃみをしたとき、感染症で病気になったときなどに重要です。

「きれい過ぎる」という考えはどこから生じたのでしょうか?

1989年のDavid Strachan教授の研究で最初に提案された「衛生仮説」に基づいています。これは、幼児期に有害な細菌にさらされないことや、ほとんど小児感染にかからないことがアレルギー増加の原因ではないということを示唆しています。
それは人を引きつけますが、「衛生仮説」というフレーズはやや誤解を招き、現代の衛生基準が健康に悪いことを示唆するためにメディアで間違って使用されています。
個人衛生基準と家庭衛生基準を緩和しないことが重要です。細菌にさらされることは、アレルギー増加を説明するいくつかの理由の1つにすぎず、最も重要なものではないかもしれません。

家が「きれい過ぎる」ということはあり得ますか?

十分に掃除しても家に細菌がいなくなることはありません。掃除で除去されるのと同じ速さで、新しい細菌が人間、ペット、汚染された食べ物、外気などを経由して戻ってきます。現代は無菌の家で生活しているという考えは全く間違っています。家を無菌状態にすることは不可能です。

なぜ衛生状態は重要なのでしょうか?

風邪やインフルエンザなどの病原菌、カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌O157などのお腹の病気を家庭内外、食品、ペット、人と人との間で広げるのを防ぐには良い衛生状態が重要です。免疫系が十分に発達していない乳児や、病気や投薬のために免疫系が弱っている人など、リスクの高い人を守るには特に注意が必要です。

病原菌にさらされても免疫系は強くならないのですか?

生まれてから最初の数年で良性および悪性の両方の細菌にさらされると、免疫系の発達に役立つと考えられていて、衛生仮説とは異なる考えです。これは身体が感染症と戦う方法を身につけ、有害物質と無害物質を区別するのに役立ちます。
人生を通して、免疫系が確実に様々な種類の物質に対処できるように、身体、特に内臓や皮膚は、日常の環境に存在する良性および悪性の病原菌にバランス良くさらされることが重要です。このバランスの変化は、免疫系が予測不能な反応をする原因となり、いつ攻撃されたのかがわかりにくくなる場合があります。
このバランスを維持することは、時々外に出て汚れることを恐れないことを意味します。しかし、特にリスクのあるグループに所属している場合は、個人衛生と家庭衛生を良く管理することによって、有害な細菌にさらされないための予防措置を取る必要があります。
大腸菌、ノロウイルス、麻疹ウイルスなどの病原体にさらされることは非常に危険であり、生命を脅かす病気につながる可能性があります。これらのタイプの感染症は、身体と免疫系に永続的な損傷を引き起こす可能性があるため、再度攻撃されたときには感染症とうまく戦うことができません。
健康的なライフスタイルを維持する人は、より強い免疫系を持つ傾向があります。免疫系を弱くするライフスタイルの要因には、アルコールを多量に飲むこと、質の悪い食事、ストレスが含まれます。

サルモネラ菌、大腸菌、インフルエンザなどの病原菌に対する免疫を発達させることはできませんか?

ある程度はできます。サルモネラ菌やはしかなどの特定の有害な細菌に接触すると、身体が反応して抗体を産生させ、細菌を中和し、その特定の細菌に対して防御します。しかし、意図的にそのような病原体に身をさらすことは危険です。なぜなら、身体が反応して感染症と戦う前に病状が非常に深刻になるかもしれないからです。助かった場合、その特定の病原菌に対しての免疫しか発達しなくなります。
このため、インフルエンザや麻疹ウイルスなどの微量の安全な細菌にさらすことができるように、ワクチンが開発されました。私たちは病気になることなく、慎重に管理された方法で保護されます。

他にアレルギーの増加を説明できるものはありますか?

アレルギーは過去20年間で急激に増加しており、その理由は完全にはわかりません。接触する細菌の種類の変化は、この増加を説明する多くの要因の1つにすぎません。他の要因には、食生活の変化、アレルギーの原因となる食べ物の摂取、住んでいる場所、アレルギーの家族歴、どれくらい運動するかなどがあります。
人間の免疫系がまだ発達していた石器時代に人間と並んで進化した、「オールドフレンズ」と呼ばれる多数の良性の細菌との接触を失ってしまったという理論があります。どうしてこのようなことが起こったのかはっきりとはわかりませんが、公衆衛生のような、有害な細菌から守る手段は、同様の環境に生息するこれらの良性の細菌から私たちを偶然に切り離してしまったのかもしれません。

「オールドフレンズ」とは何ですか?

科学者にも完全にはわかっていませんが、「オールドフレンズ」には、特に田舎などの屋外環境と同様に、皮膚、腸、喉のあたりで見られる良性の細菌が含まれていることを示す研究があります。それは、農場で育つ子どもに喘息が少ないことの説明になるかもしれません。これらの「オールドフレンズ」には、風邪、インフルエンザ、麻疹、サルモネラ症、ノロウイルスなどの感染症を広げる有害な細菌は含まれないと考えられています。

衛生基準をもっと緩めるべきでしょうか?

古き良き田舎の土でさえも、有害な細菌を含む可能性があります。だから、衛生基準を緩めると、「オールドフレンズ」ではなく、大腸菌O104のような「新しい敵」にさらすことになるだけです。それは感染症のリスクを高め、人生が短く、4人中1人が5歳になる前に死んでいた時代に連れ戻されることになります。

農場で生活している場合、アレルギーを発症する可能性は低いですか?

農場で生活する子どもにアレルギーの発生が少ないことを示す証拠があります。その理論は、農場、特に家畜は、免疫系を刺激し、アレルギーを発症するリスクを減らす様々な種類の良性および悪性の病原体にさらされるのを増やすということです。

洗浄剤に含まれる化学物質は、アレルギーの増加に関連がありますか?

いいえ。現在のところ、花粉症や喘息などのアレルギーの増加と家庭用洗浄剤の使用や抗菌剤などの含有物に関連があるという証拠はありません。

個人衛生はアレルギーの増加の要因となる可能性はありますか?

入浴やシャワーによって皮膚から細菌が除去されますが、身体を洗ったり、シャワーを浴びたり、入浴する頻度とアレルギーのリスクの増加を結びつける証拠はありません。

抗生物質はアレルギーの増加の原因となりますか?

抗生物質の使用とアレルギーの増加を結びつける証拠はいくつかあります。抗生物質は皮膚や腸の細菌の量を減らすかもしれないと考えられています。これは身体の正常なバランスを崩し、免疫系が無害な細菌と有害な細菌を区別するのが難しくなります。

ワクチンはアレルギーの増加の原因となりますか?

ワクチンは、アレルギーレベルの増加に関連しないと考えられています。ワクチン接種は、現代医学のどんな進歩よりも多くの命を救い、深刻な病気を予防してきました。
ワクチンは、免疫系を刺激して、実際にその病気に感染することなく、抗体(身体が病気と戦うために産生する物質)を産生することによって作用します。すべての新薬と同様に、すべてのワクチンは一般に公開される前に安全性について広範に検査されています。

食生活の変化はアレルギーの増加の原因となりますか?

小児期の食生活の変化がアレルギーの増加の原因となる可能性があるという証拠がいくつかあります。
離乳時にピーナッツ、牛乳、卵などのアレルギーを引き起こす可能性のある食べ物(アレルゲン)を取り入れ、授乳を継続すると、幼児期にアレルギー疾患を発症する子どもの数を減らすことができると考えられています。しかし、これは単なる理論であり、この非常に重要な質問に答えることを目指し、世界中で数多くの研究が進められています。
答えがわかるまでは、母親は、現在のアドバイスに従って、生後6ヵ月までは完全に母乳で育て、6ヵ月以前にピーナッツ、ナッツ、卵、魚、甲殻類、牛乳、大豆、小麦(およびライ麦、大麦、オーツ麦などのグルテンを含む他の穀類)のようなアレルギーを起こす食品を与えないようにします。

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