ゲイとバイセクシャルの男性のセクシャルヘルス

陰部

ゲイとバイセクシャルの性感染症について

性器を挿入する性的交渉を無防備に行うと、性感染症にかかる可能性が高くなります。
コンドームを使用すれば、HIV感染から身を守り、さまざまな性感染症にかかるリスクを減らすことができます。
ゲイとバイセクシャルの男性を対象にしたある調査では、3人に1人がHIV検査を受けたことがなく、4人に1人が性感染症の検査を受けたことがないことが明らかになりました。
最近の統計では、梅毒と淋病の両方が増加していることがわかりました。2015年に新たに淋病に感染した39000人のうち、70%以上が男性との性的交渉を持つ男性(MSM)でした。
ゲイとバイセクシャルの男性は、少なくとも6ヶ月に1度は検査を受けましょう。自覚症状のない性感染症もあるので、検査が重要です。

A型肝炎

A型肝炎は大便中のウイルスによって広がる肝臓の感染症です。
主に汚染された食べ物を摂取することや手を十分に洗わないことが原因で感染しますが、オーラル・アナル・セックス(リミング)やアナルセックス後のオーラルセックスなどの性的交渉によっても感染します。性的パートナーが複数いるゲイやバイセクシャルの男性は特に感染するリスクが高いです。
疲労感や吐き気といったA型肝炎の症状は性交後8週間以内に出ることが多いです。
A型肝炎は命にかかわることは少なく、感染者のほとんどは2、3ヶ月以内に完全に回復します。
A型肝炎を避けるために
・性的交渉後は手を洗う(理想的には臀部と鼠径部、陰茎)
・アナルセックスとオーラルセックスの後はコンドームを変える
・フィスティングのときはラテックス手袋を使う
・大人のおもちゃを共有しない
A型肝炎に感染しているかもしれないと思う場合や疑問がある場合は、主治医にご相談ください。A型肝炎が流行している国に渡航する場合はワクチンを打つことができます。

B型肝炎

B型肝炎は、肝臓の炎症を引き起こすウイルス性の感染症です。はっきりとした症状はないことも多いですが、慢性的に感染し続けることがあります。慢性的に感染していると、結果的に肝硬変や肝臓がんなどの重大な肝臓疾患にかかることがあります。
B型肝炎は、感染者の血液や体液に接触することで感染します。MSMはB型肝炎にかかるリスクがありますが、B型肝炎ワクチンで予防することができます。

C型肝炎

C型肝炎は、肝臓の炎症を引き起こすウイルス性の感染症です。はっきりとした症状はないことも多いですが、慢性的に感染し続けることがあります。慢性的に感染していると、結果的に肝硬変や肝臓がんなどの重大な肝臓疾患にかかることがあります。
C型肝炎は、感染者の血液や体液に接触することで感染します。C型肝炎にかかっているかもしれないと思う場合には、主治医にご相談ください。C型肝炎は治療が可能であり、多くの場合回復します。

淋病

淋病とは細菌性の感染症で、排尿時に刺すような痛みが出るか、排尿困難になります。感染者とのアナルセックス、オーラルセックス、ヴァギナルセックスによって感染します。抗生物質で治療します。

非特異性尿道炎(NSU)

非特異性尿道炎とは、細菌によって引き起こされる尿道の炎症です。尿道の炎症が淋病によるものではない場合、非淋菌性尿道炎(NGU)とも呼ばれます。
NSUは淋病と似たような経路で感染し、症状も似ています。
また、性的交渉や自慰行為をしすぎて尿道が炎症を起こすこともあります。抗生物質で治療します。

クラミジア

クラミジアとは、尿道や直腸、咽喉の細菌性の感染症です。排尿時に電流が流れるような痛みがあったり、睾丸が痛んだりします(ただし、症状がない場合もあります)。
淋病やNSUと同じように、感染者との性的交渉で感染します。抗生物質で治療します。

赤痢

赤痢は、重度の下痢や胃痙攣を引き起こす腸の細菌感染症です。食中毒と間違われることがよくあります。
リミングやアナルセックス後のオーラルセックスなどの性的交渉で感染します。赤痢菌に感染した大便のほんの一部が口に入り込むだけで、感染します。
赤痢の人は、長い場合1ヶ月ほかの人に赤痢を感染させる力を持っています。抗生物質で治療できます。赤痢かもしれないと思う場合は、主治医に相談して検査を受けましょう。
赤痢を避けるために
・性的交渉後は手を洗う(理想的には臀部と鼠径部、陰茎)
・アナルセックスとオーラルセックスの後はコンドームを変える
・フィスティングのときはラテックス手袋を使う
・大人のおもちゃを共有しない

性器ヘルペス

性器ヘルペスはウイルス性の感染症です。症状としては、痛みを伴う水疱や、陰茎や肛門周囲の潰瘍がありますが、症状が出ない場合もあります。
ウイルスは体内に残り、再発する場合があります。
性器ヘルペスは口の内部または周りにヘルペスがある人とオーラルセックスをしたり、性器ヘルペスにかかっている人と性器が密着するような接触をすることで感染します。
治療には抗ウイルス錠剤を使用します。抗ウイルスの錠剤やクリームは主治医が処方します。

梅毒

梅毒とは痛みを伴わない潰瘍を引き起こす細菌性の感染症で、潰瘍は通常性器周辺にみられます。潰瘍は自然に消えますが、発疹が出たり腺が腫れたりするなどのほかの症状が現れることがあります。
梅毒は初期の段階では非常に感染力が強く、性的交渉の際に感染者の皮膚に密着すると感染します。梅毒を治療しないで数年間放置すると、脳やほかの部分に細菌が広がり、重篤で長期的な病気にかかることがあります。
梅毒は抗生物質を注射したり錠剤で服用したりして治療します。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマとは一般的なウイルス性の感染症で、感染者との性的交渉から数週間または数ヶ月後に現れます。小さないぼが、陰茎の頭だけでなく肛門の周囲にできることがあります。
より早期に治療するほうが回復しやすくなります。尖圭コンジローマは手のいぼに使う治療薬では治せません。尖圭コンジローマは凍結させたりクリームを使ったりして除去します。

毛虱

毛虱とは、体毛に住む小さな寄生虫で、最も多い性感染症です。
毛虱は小さいので、小さな黒い卵が体毛に付着しても見つけづらいです。
毛虱は陰毛にいることが多いですが、頭髪以外の体毛にいることもあります。また、毛虱は衣服やタオル、寝具などから移動してくることもあり、かゆみやかぶれなどの症状が出ます。
薬局で売られているローションやクリームで治すことができます(処方箋は必要ありません)。

疥癬

疥癬とは、皮膚の下にいる小さなダニが原因で起こる感染症です。激しいかゆみを引き起こすことがほとんどです(かゆみに気づかない人もいます)。
症状が現れるまでは、感染者との性的交渉後通常2週間以上かかります。ベッドやタオルをを共用して感染することもありますが、あまり一般的ではありません。
治療は尖圭コンジローマの治療と似ています。ダニが除去された後も数週間はかゆみが続くかもしれません。

検査を受けるには

上記のような症状がある場合、または性感染症にかかっているのではないかと思われる場合は、主治医に相談したり、泌尿生殖器科の診療所で診察を受けてください。
定期的に検査を受けることで、健康的な性生活を送ることができます。

関連記事一覧