食欲はどのように減量を妨げるのか?

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ダイエットとリバウンド

2016年10月14日 – 新しい研究では、ダイエットや肥満の研究者たちに長い間混乱を招いている質問に光が当たっています。なぜこれほど多くの人が、一度体重を減らした後にリバウンドしているのか?

新しい研究によると、その答えは食欲です。ダイエットに成功する人たちは、自分たちが考えていた以上に、後で激しい空腹に陥ります。体から1キロあまりの体重が失われると、体は通常よりも約100カロリー多く食べるように促すことが、研究者たちによって明らかにされました。

「この数値が定量化されたのは初めてのことです。今回の研究の前は、その数値がどれほど大きいか分かっていませんでした」と、メリーランド州ベテスダの国立衛生研究所で、体がどのように体重減少に反応するかについて研究しているKevin Hall博士は語ります。

この食欲の急増は、体重を落とした後の新陳代謝よりの低下も強力で、このことで体重をリバウンドさせてしまう、と彼は言います。

食欲の影響は、新陳代謝が少なくなることよりも、3倍強力です。Hall博士は、この2つの組み合わせが、失われた体重を取りもどしてしまう原因といっても過言ではない、と彼はいいます。11月2日にObesityWeek会議で発表されたこの研究をレビューした独立した専門家は、今回の発表で、体重を減らした患者に対しての、医師の治療法が変わるだろう、としています。

「これは画期的な研究です」とカリフォルニア州デルマールにあるScripps Clinicの栄養と代謝研究センターのディレクター、ケン・フジオカ氏は述べています。 「体重の回復を防ぐために、新しいガイドラインを作成するうえで、非常に役立つ情報です」と彼は言います。

「私達はいつも、このようなダイエットの停滞期にいる患者を持ち、彼らのための対処法を見出そうとしています」とフジオカ氏は語ります。 「今回や論文から、食物摂取量の面や衝動的な食欲に、対処する必要性の高さが、とてもに明白になりました。」

代謝と食物摂取

一部の推定によると、少なくとも10%以上体重を減らすことに成功した人の80%が、徐々に体重を増やし、最終的にダイエット前と同じくらいか、場合によってはより体重を増やすとされています。

肥満の研究者は、なぜ体重減少を維持するのが難しいのかを理解するために、何十年も研究を続けてきました。 Hall氏が今年初めに発表した “The Biggest Loser”というのTV番組からの参加者に協力してもらった研究では、減量後は、体が安静時にカロリーを燃焼する能力や、基礎代謝が下がるということが、簡単にリバウンドする原因だということが、分かっています。

もう一つ問題として、減量後の食物摂取量の研究あり、こちらの方が、はるかに困難を極めました。

なぜかというと、ほとんどの人は、自分がどのくらいの量を食べているか把握していないからです。 ある有名な調査によると、体重を減らそうとしている人は、実際に食べた量の半分ほど食べているとしか思っていなかったことが分かっています。また、薬を使って、実験的に食欲を測定することも困難でした。ほとんどの減量薬は食欲を低下させることによって働くため、研究成果を妨げてしまうためです。

Hall氏のチームは、新たな糖尿病薬であるInvokanaの最近の研究からのデータを見直すという、新しい方法で、この課題に取り組みました。Invokanaは、尿を通して糖分を排出することで、血糖値を下げる効果があります。

「これらのカロリーを取り除くことで体重減少につながりますが、ひっそりと行います。ワシントンD.C州.ワシントンのジョージワシントン大学で体重と健康に関する国立センターのディレクター、Scott Kahan氏は語ります。

「人々は投薬による体重の大きな変化に気付きませんが、体重や食欲の変化が何であるかを研究するだけで十分です」とKahan氏は述べています。
この研究では、2型糖尿病患者242人に対し、1日量のインボカナまたはプラセボ錠が投与されました。 1年の間に、両方のグループには多少の減量がみられました。プラセボ群の89人は体重を約1キロを減らし、 Invokanaを取っていた153人は約3キロを減らしました。

研究者にとって困惑の元となっているのは、なぜ薬を服用しているグループが、もっと体重を落としていないのかということでした。臨床検査では、尿を介して1日約360カロリーを失っていたことが示されました。時間の経過とともに、毎日相当量のカロリーを減量していましたが、途中で頭打ちになってしまったのです。

Hall氏は彼の研究室で開発された方程式を使ってその理由を理解しました。それは、人が時間の経過とともに、体重を変化させるために必要なカロリー数を推定したものでした。

Hall氏が発見したのは、研究対象にあった人々は、薬が毎日何キロカロリーを減らしているのか知らなかったにも関わらず、減量と闘う体は、その損失を補うために、彼らにもっと食べるよう促していた、ということです。

このことが、実際の生活の中で起こっているかというと、次のとおりです。 1日当たり約2,700カロリーを食べる人が約4キロを失うと、体は以前よりも約400カロリー分食べさせようと促し、結果1日当たり3,100カロリーになるということです。

「これは私たちに方向を与える」

現実世界における体重減少の影響は深刻です、とKahan氏は言います。「私の患者は、体重を減らした状態を維持しておくために、必死になっています。彼らは、なぜ彼らが人生の他の分野で成功を収めているのに、この分野に関しては、このような困難を抱えているのか、理解できないでいます。
「このことは、パズルのピースにすぎません。あなたのせいじゃない、ということが分かるでしょう。体はその体重の長期的な維持に抗して戦います。それは非常に重要なことなのです。」と彼は付け加えます。

ただし、今回の研究には、いくつか限界もあります。 1つは、今回研究者は2型糖尿病の人を研究していたということです。そのため結果は健康な人の食欲の変化を正確に表していない可能性があると、Hall博士は述べています。また、この研究の人々のために計算された食欲の変化の種類が、異なる量の体重減少にも適用されるかどうかは明らかでありません。今回は多少の減量でしたが、より大きな減量を起こした際、駆り立てられる食欲が同等にはならない可能性があります。

さらなる研究がこれらの知見を裏付けるならば、フジオカ氏とKahan氏は、医師が患者を助けることができる新しい方法を指摘していると言います。

ほぼすべての処方減量薬は、食欲をなくすことによって機能します。体重を減らす人々は、このようの薬の力を助けを借りて、体重を維持できるかもしれません。

「このことは、我々に方向性を与えてくれます」とフジオカ氏は言います。 「体重を減らしたばかり患者に食欲抑制剤を与えることも考えてみます。そうすると、彼らも食べる気にならないでしょう。」

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