胎児性巨大児についての基礎知識〜診断、対処〜

巨大児について
胎児性巨大児とは、胎児が子宮内で大きくなりすぎた状態のことで、特に初期に診断されず適切な処置を受けられなかった場合など、しばしば母体の出産合併症や、赤ちゃん自体の健康合併症を引き起こしかねません。ここではリスクを上昇させる要因と、その対処法について紹介します。
新生児の出生時の平均体重は3000グラムほどですが、それよりはるかに大きく育ってしまう子がいます。出生時に4000グラム以上だった場合、その赤ちゃんは「大きな子」、あるいは巨大児であると判断されます。4500グラム以上の巨大児は、健康上のリスクが高まる上に、それくらい大きな子を妊娠していることで、母体の出産合併症にもつながります。母体と赤ちゃん両方の健康を守るために、以下の危険因子についてと、その対処法について読んでください。
巨大児とは何か
これは赤ちゃんが子宮にいるときに栄養を過剰に摂取したことで成長が早まり、出生時に4000グラム以上になった状態のことです。赤ちゃん全体のうち、10%は巨大児です。
巨大児とその合併症について
あまりにも大きすぎる赤ちゃんを自然分娩する場合、肩甲難産(肩の部分が母体の恥骨の後ろ側に引っかかってしまう症状)などで赤ちゃんが傷を負う可能があるほか、膣の裂傷や会陰切開などにつながる可能性もあります。赤ちゃんが大きすぎて自然分娩が出来ない場合、緊急帝王切開が必要になるかもしれません。また巨大児の赤ちゃんは低血糖、高血圧、黄疸といった特定の症状が表れやすくなります。
誰が巨大児のリスクを負っているのか
なぜ他よりも大きくなる赤ちゃんが出てくるのか、正確なことは医者にもわかっていません。というのも、目に見える危険因子がない女性の子供も巨大児になることがあるからです。しかし明らかになっていることとしては、1型、2型、あるいは妊娠糖尿病のある母親は、子供が巨大児になりやすいということです。肥満の女性や、妊娠中に過剰に増量した女性(妊娠前に健康体重だった場合は35ポンド以上、肥満だった場合は20ポンド以上増加した場合)に関しても同様のことが言えます。また巨大児のリスクは妊娠するたびに増加していくため、以前も赤ちゃんが巨大児だった場合は、次もそうなる可能性が高いといえます。さらに妊娠40週の満期を過ぎた場合も、赤ちゃんが大きく育ちすぎてしまう可能性があります。
良い知らせとしては、たとえ1つくらい危険因子があったとしても、平均的な体重の赤ちゃんを産む可能性のほうがずっと高いということです。
巨大児はどのように診断されるか
子宮にいる間の赤ちゃんの正確な体重を調べるのは難しいかもしれませんが、大体どれくらいの大きさなのかを、医者とあなたが把握する指標になるものはあります。まず最初に、子宮低長(子宮の一番上の部分から恥骨までの長さ)を測ります。仮に平均より長かった場合、それだけ赤ちゃんが大きいということがわかります。また実際に腹部を手で触ることで胎児の大きさの感覚を得ることもあります(これはあなたにとっては若干不快家も知れませんが、別に赤ちゃんが傷つけられるわけではないので、安心してください)。赤ちゃんの体重の目安を知る別の方法としては、定期検査のうちの超音波スキャンがありますが、これで大体の体重と羊水のレベルがわかります。なぜ羊水を測定するのかというと、過剰な羊水の分泌、つまり羊水過多症がしばしば巨大児と密接に関連しているからです(赤ちゃんが大きければ大きいほど尿の排出量も多くなり、その結果羊水が増えます)。これらの測定で得た情報と、母親の病歴を元にすれば、赤ちゃんが巨大児のリスクを負っているかどうかの強い指針が得られますが、確実な診断は赤ちゃんの出生時までわかりません。
巨大児の予防と対処法
もし糖尿病を患っている場合、血糖値をきちんと管理することで巨大児の予防になります。ですので、たとえば複合炭水化物や食物繊維が多く含まれ、コレステロールや脂肪、精糖が少ない食事をするなど、妊娠中の糖尿病をどうコントロールすればいいか、医者に指示を仰ぎましょう。また妊娠前期に体重が増えすぎてしまった場合やこの妊娠の間に増えすぎてしまうのではないかと心配しているなら、体重をキープするための安全な方法について聞いてみて下さい。ほとんどの妊婦は、毎日低強度の運動(ウォーキング、ヨガ、水泳など)を少なくとも30分はすることと、全粒粉、野菜、果物、低脂肪たんぱく質などを豊富に含んだ、健康的な食事をするようにといわれます。
もし赤ちゃんが巨大児ではないかと疑われた場合は、自然分娩の可能性も無いわけではありませんが、帝王切開を覚悟しておきましょう(特に赤ちゃんが9ポンド15オンス以上だった場合)。出産後、赤ちゃんは肩甲難産や、低血糖、黄疸、呼吸困難といった出産傷害に関して念入りに検査されるでしょう。もし上記のいずれかの症状が見られる場合は、さらなる治療のために、新生児集中治療室(NICU)に入る必要があるかもしれないということも留意しておいてください。幸い、巨大児として生まれた赤ちゃんのほとんどは全くそういった合併症を経験することなく、準備が出来次第帰宅することが出来ます。大き目のおむつの用意を忘れないでください!