乳腺切除術のあとの乳房再建術について

乳房再建手術について
乳がんの治療の一環として、乳房再建術が受けられます。乳房を切除したあとにどうしたいかを自分で選択することができます。
人によっては、切除したままの平らな状態にする人もいれば、ブラジャーにプロテーゼを入れる(人工乳房)人もいます。再建術を希望する人もいます。
乳腺切除術を受けても、ガンが再発する可能性がなくなったわけではありません。また、再建術を受けることで再発の予防になるというわけでもありません。
乳房再建術はいつ行われますか?
再建術は、乳腺切除と同じタイミングで行うことができる(即時再建)こともありますが、それが可能ではない場合もあります。切除してから放射線による治療が必要な場合、それが終わるまで待たなくてはなりません。
即時再建の利点は、麻酔が一回で済む、一箇所の病院で済む、回復時期が一回で終わるなどがあります。ただし、切除術しか受けなかった場合と比べると、即時再建の場合は麻酔と回復時期は長くなります。
再建術は、切除術が行われてから一定期間後に行われることもあります。
再建には、複数の手術が必要です。実際の数は、切除術と同時に行った場合と、時間を置いてから行った場合とで異なります。
再建術はどのようなものがありますか?
乳房再建術には、大きく分けてインプラントと組織片の移植の2種類があります。
インプラント
インプラントによる手術は、組織片の移植に比べてかかる時間が短いです。
外科医は、拡張できるインプラントを一時的に埋め込むことから始めます。これを行うことで、胸の皮膚を徐々にのばすことができます。埋め込んだインプラントを膨らませるために何度か通院し、3~6ヶ月かけて定着させます。
インプラントがちょうどよいサイズにまで膨らんだところで、永久に入れておくことができるシリコンと交換します。
はじめからシリコンを入れる手術をした方がよい場合もあります。
このような再建手術は、外見を維持するために数年後に再び手術が必要となる場合があります。
組織片の移植
組織片の移植手術では、背中、お腹、太もも、お尻などから組織片を一部切除し、胸に移植します。新しく乳房をつくるために皮膚の下で形が整えられます。組織は生きていて自然のものであるため、再建された乳房の形やさわり心地が自然です。
この手術はより複雑であるため、入院の日数も長くなります。
切除した部分には、跡が残ります。
新しい乳房は、始めの数ヶ月間で大きさや形が変化します。一度安定すると、インプラントよりも長いこと維持できる傾向にあります。
人によっては、二つの手術を組み合わせることで、十分な大きさの乳房を手に入れる人もいます。
いずれの手術を選択しても、新しい乳房には神経が通っていないため、感覚はありません。
乳頭を再建することはできますか?
できます。乳房の形と大きさが整ったら、乳頭を再建する手術を行うことができます。即時再建手術の場合、これも最初の手術で行われる場合があります。
乳頭再建術は、切除していないほうの乳房の乳頭から組織を一部取り除き、新しく再建した乳房に付けるという方法もあります。
多くの場合、再建した乳房の皮膚を折りたたみ、乳頭の形をつくります。
乳頭の色は、入れ墨によって自然に近い見た目にすることができます。これは通常病院で行われます。
新しい乳房はもう片方とつりあいますか?
手術では、新しく作った乳房を、もう一方の自分の乳房とできる限り近づけます。両方の乳房を手術して、見た目が釣り合うようにする人もいます。その場合、自分の乳房をリフトアップしたり、大きさを変えたりします。
乳がんのリスクが高い女性の中には、両方の乳房を切除する人もいます(両乳房切除手術)。その後、両方の乳房を再建し、ガンの再発のリスクを減らします。
誰に相談すればよいですか?
再建手術を考えている場合、主治医、乳房ケア看護師、執刀医に相談し、乳房再建術に関するアドバイスをもらってください。