乳がんを経験した後に子宮頸がんを発症しました

症状

体験談

ジュアニタ・ヒッグスさん、69歳は、ガンが彼女の人生に及ぼした影響と、彼女のチャリティー活動がどのようにほかの人を助けているか、また、その活動が彼女自身をどのように幸せにしているのかについて語ってくれました。

ガンの発症

私は、特に左の乳房にしこりのようなものができることが多く、自分の胸について割と気にするようにしていました。このしこりは嚢胞(のうほう)と診断され、毎回乳房クリニックで取り除いてもらっていました。ある日、右の乳房にいつもと違ったしこりを発見しました。いつも嚢胞ができる左側ではなく、反対側の右側にしこりができたため、何となく嫌な予感がしました。

いつものように取り除いてもらおうとすると、何も取り出すことができませんでした。生体検査の必要があると言われました。検査の結果が出ると、医師の表情から、良くないことが起きていることが感じ取れました。

私が説明を求めると、99%乳がんだ、と告げられました。その場で医師が発した言葉で唯一覚えているのが「がん」という言葉で、それ以外のことは何も覚えていません。他人事のようでした。これは自分に起きていることではない、これは現実ではない、と思いました。

治療法:手術とタモキシフェン

乳腺切除術が必要であると言われました。手術が決定したと同時に、乳房再建術を受けることに決めました。すぐに美容整形手術のアポイントをとったことで、気持ちが楽になりました。乳房再建術の先生は、シリコンを植え込む手術を行うと説明しました。私の背中の筋肉の一部を取り除いて新しい乳房を形成するというものでした。手術の名前は、広背筋組織片(LDフラップ)というものでした。これから行われる手術について分からないことはすべて聞くようにしました。こうすることで、現状に起きていることについて冷静になることができました。

手術の日まで、二週間ありました。わたしの人生の中で最も長いと感じた二週間でした。

主人を悲しませたくなかったので、泣かないように努力しました。彼が非常にショックを受けてしまったので、勇気づけたかったのです。主人には本当に助けられました。病気は自分の問題だと考えがちですが、パートナーも同じように地獄のような日々を送るのです。

家に帰って、鏡の前に立って、「自分ではコントロールできないものが体の中にあって、この手術を受けなければ私は死んでしまうかもしれない」と思ったのを覚えています。手術を受けないという選択肢はありませんでした。

手術は7時間に及びました。病室の皆さんは非常に励みになりました。ストレッチャーに乗って手術室に向かう私を見ていた夫の表情を私は今でも鮮明に覚えています。あとで聞くと、もう二度と私と会えないのではないかと思った、と言っていました。手術が終わって目が覚めると、胸にたくさん管がつながれていて、少しクラクラしました。でも、その二日後には、化粧をして、髪の毛をセットした状態で病院のベッドに座ることができるまで回復していました。

一週間後、退院しました。新しい人生の始まりのように感じて、気分が良かったのを覚えています。整形外科の先生は、乳房をより本物に近づけるため、乳頭をつくることをすすめてきました。とても自然に仕上がりました。乳頭の周りに入れ墨をいれて、乳輪に見えるようにしてくれました。この年で入れ墨をいれるとは思いもしませんでしたよ。本物と完全に一致しているとは言えませんが、満足のいく仕上がりになりました。

乳房再建術のおかげで、乳がんになる以前の状態に近づくことができました。乳がんをあまり意識しなくなりました。時間の経過と共に、かつてそこにガンがあったことを忘れてしまうようになりました。

手術のあと、5年間タモキシフェンを服用しました。服用していて気分が悪くなったため、看護師に相談したところ、錠剤を覆っている成分が影響していると言われました。別の種類のタモキシフェンに変えてもらったところ、問題はなくなりました。

二度目のガンの診断

手術から二年後、子宮頸がんを発症していることがわかりました。これは乳がんとは一切関連性がないと診断されました。子宮をすべて摘出し、病院で手厚いケアを受けました。

ガンを経験してからの人生

自分が素晴らしい治療を受けたので、今度は自分が貢献する番だと思い、ボランティア活動をすることにしました。サンドウェル病院で、ボランティアの補完セラピストとして活動しました。その後、乳がんケア(Breast Cancer Care)という団体で精力的に活動を始めました。この団体では、過去に自分が経験したガンと同じような状態にある人がペアになり、どのような問題を抱えているかを話し合って、手助けをする活動をしています。医学的なアドバイスはできませんが、患者さんの心の支えとしてそばにいてあげることができます。

自分の胸に注意してもらうために、講演をしたりパンフレットを配ったりもしています。また、化学療法によって髪の毛を失った女性を支援する団体にも加入しています。スカーフの巻き方を教えたり、頭皮や爪のケア方法を教えたりしています。はじめは表情が暗い人も、帰る頃には笑顔になっていて、非常にやりがいがあります。

Look Good Feel Betterというチャリティー団体にも参加しています。ここでは、がん治療を受けている女性を対象としたスキンケアや美容のワークショップを開いています。美容コンサルタントが病院をたずね、どのようにお化粧をしたらよいかアドバイスします。みんなでお茶をしておしゃべりもします。最後にはお土産も渡します。とてもリラックスした雰囲気で行われます。全員が同じ状況にあるため、オープンになりやすい環境です。

私は、以前はおとなしい人間でしたが、主人によると、今では、次にどんなことをするのか分からないほどだといいます。今までに経験してきたすべてのことが、自分の違った一面を引き出してくれました。ガンは良いことではありませんが、ガンになったことで人生ががらっと変わりました。友達もたくさんできましたし、それまで想像もできなかったことに取り組むようになりました。この素晴らしさは、言葉では言い表せません。

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