妊娠中の超音波検査について知っておきたいこと

妊娠中の超音波検査とは
超音波検査は妊娠検診の中でも頻繁に行われる検査です。妊娠初期には、超音波検査は胎児の鼓動や子宮内妊娠であることを確認するために行われます。その後、胎児の成長、胎盤の位置、へその緒、胎児の全身の健康や形態などを調べるために超音波検査を受けます。早産になるかもしれないという疑いがある場合は、超音波検査によって子宮頸部の長さを調べることもできます。
妊娠中の超音波検査の対象者
すべての妊娠女性が妊娠中に1度以上超音波検査を受ける必要があります。
妊娠中の超音波検査の実施方法
超音波検査はペン型スキャナや変換器を腹部に当てることで(経腹的に)行われることがあります。ゲルが腹部に塗られ、音波を放つトランスデューサーと呼ばれるスキャナでその部分をこすります。この音波が組織内で跳ね返り、スクリーンで見ることのできる画像を作り出します。同じ技術がハンドヘルドドップラーでも使われていますが、このスキャナよりも精巧さに欠けます(画像は出てきません)。
妊娠第一期(あるいは子宮頸部の検査)の間、特に早期段階には、医者は上記の検査ではなく経膣的超音波検査を行うかもしれません。機能は本質的には同じですが、コンドームに覆われ殺菌した潤滑油の塗られた小さく長い棒状のトランスデューサーが膣内に直接挿入されます。医者はその棒を膣腔内で動かし、子宮を調べます。これによって敬服的超音波検査で探知可能になるより前に胎児を観察することができます。
この過程は5~30分の間続きますが、痛みはありません。胎児をよりはっきりと見るために腹部に超音波装置を押し付けられることはいくぶん不快であるかもしれません。
妊娠中の超音波検査の実施時期
通常、女性は妊娠中に最低でも2回超音波検査を受けます。妊娠第一期にはいつでも検査を実施することができ、実施時期は検査を行う目的によって異なります。妊娠第一期の超音波検査は以下のような目的で使用されます。
・胎児の鼓動や子宮内妊娠を確認する
・妊娠期間を算定する
・胎児の数を断定する
・受胎の際に存在していた子宮内避妊器具(IUD)を特定する
胎嚢は最後の月経から早くても4週間半後に超音波検査で見ることができるようになります。鼓動は早くて5~6週間後に見られるようになりますが、いずれの場合でもこのような早い時期には視覚化されない可能性もあります。
妊娠中期(通常18~22週目)には、レベル2エコーと呼ばれる詳細な形態超音波検査が行われます。この検査は一般的に、病院や専門外来などのより精巧な器具がある場所で、熟練した音波検査者によって行われます。
妊婦が4人に1人の割合で存在する危険性が高いとみなされる女性に該当する場合は、妊娠中に追加の超音波検査を受けることがあるかもしれません。妊娠中に何かしらの膣出血などがあった場合、医者は問題がないか確認するために超音波検査を実施します。複数の胎児を妊娠している場合、胎児の成長を観察するために頻繁に超音波検査を受けることになります。加えて、超音波検査は、CVS、羊水検査、項部浮腫測定検査、羊水量検査などの他の検査の一部となっています。
超音波検査と超音波画像の違い
超音波検査(ultrasound)という言葉と超音波画像(sonogram)という言葉はしばしば混同して用いられますが、超音波画像というのは超音波検査で走査された実際の画像のことで、家に持ち帰ることができます。これはとても素晴らしい記念品になりますが、これらの静止画像を作成する医療的目的は、音波検査者が胎児を正確に測定できるようにすることです。
リスク
超音波検査は非侵襲性のものであり、リスクはとても低いです。そうは言っても、診療ガイドラインでは不必要な超音波検査はしないように忠告しています。どの研究者も胎児を科学という名の害に晒したくないと思っているため、超音波検査の長期利用の効果を研究することは困難です。つまり、検査をしすぎた場合に予期していなかった影響が起こる可能性があるということです。さらに、通常超音波検査は赤ちゃんの大きさを推測する点においては比較的正確ですが、過剰利用した場合には過小推測、過大推測が起こる可能性があり、不必要な帝王切開や早産に繋がるおそれがあります。米国産科婦人科学会(ACOG)やアメリカ食品医薬品局(FDA)が、医学上必要な場合にのみ超音波検査を利用するように医者や患者に強く勧めているのはこのためです。これらの団体は、民間企業が宣伝している3Dあるいは4Dの超音波画像や家庭用胎児監視装置の使用を避けることも妊婦に勧めています。
しかしながら、妊娠中の女性が受ける超音波検査の平均回数(平均して5回以上)もはるかに多いということを示した研究もあります。したがって、医者が妊娠中に2回以上の超音波検査を勧めてきた場合には、検査によって得られる結果が医学上必要であるかということ、そして一番の関心は自分の赤ちゃんについてであるということを確認するために、医者に質問をするようにしましょう。