月経前症候群はダイエットを妨害してしまうものでしょうか?

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月経前症候群について

3週間の間、ダイエットを成功させることができていたのに、1ヵ月のうちのある時期にチョコレートサンデーを食べたくなるという衝動に負けて、体重が増えてしまったことがありませんか?そうであれば、それはあなた一人だけではありません。
米国産科婦人科学会によると、女性の85%が月経サイクルの2週間前のいつからでも起こりうる肉体的・精神的変化である月経前症候群の症状を少なくとも一つ経験していると言います。女性の70%が、月経前症候群に関連した食欲の増加、膨満、睡眠障害、気分の変動、イライラに悩まされています。これにより、ダイエットが妨害される恐れがあると、マサチューセッツ工科大学で女性健康プログラムの長を務めているジュディス・ヴルトマンは言います。
幸いなことに、月経前症候群の一般的な理解、特に食欲増加についてを深めることは、女性のダイエットを阻害するサイクルに陥らないように役立つことだと思います。

ダイエットに対するダブルパンチ

月経前症候群はダイエットにはダブルパンチを加えます、とヴルトマンは言います。「まず、食欲が増加します。特にアイスクリームのような、甘くて、脂肪の含まれたでんぷん質の食べ物が欲しくなります。そして、機嫌が悪いためこう思ってしまうことでしょう。「もうどうでもいいわ、食べたいものに自制心が効かないんだから、精神力が負けたんだわ。」
「月経前症候群に伴う膨満もダイエットを妨害します」と、ニューヨーク大学の産科婦人科のステファン・ゴールドシュタイン博士は言いいます。「女性は体重計に乗って、恐ろしくなります。そして、女性の中には膨満感への反応として、ベルトを緩めて、チョコレートサンデーを食べてしまう人もいるのです。」
食欲が増加して挫折した時、何を食べてしまうのでしょうか。ゴールドシュタインは、一番はチョコレート、二番はその他のお菓子、僅差で三番目はポテトチップスのような塩分の多いものだと言います。
「食べたいもののリストには何も栄養価が高いものはありません」とヴルトマンは言います。女性は魚や野菜や果物を食べたくて仕方ないと言うことはあまりありません。「ダイエットの場合は、脳はそんなものを食べてはだめだと思うのでしょうが、月経前症候群のときは脳は食べても大丈夫と言うんです」と博士は言います。

ホルモンの責任

女性の生理サイクルにおける、ホルモンの急激な増加と減少が、月経前症候群の主な原因です。エストロゲンの値の上下、またストレスホルモンであるコルチゾールの値も同様に上下すると、メリーランド州医学大学の助教授であり、「40歳以降は脂肪と戦いましょう(Fight Fat After 40)」の著者でもある、パメラ・ピーク(Pamela Peeke)は言います。「非常に重要な協力体制があります。体はこれを調整しようとします。」
コルチゾールの値が高くなると、体は闘争・逃走反応を起こし、代謝的に荷電されるため、女性の食欲は刺激されます。この反応として、女性は「闘争・逃走反応の実際の燃料となる」炭水化物と脂肪が欲しくなります、とピークは言います。
女性が甘いものやクロワッサンを食べたくなるかどうかには、ほかにも要因があります。脳内物質のセロトニンだと、ピークは言います。月経前症候群のある女性では、セロトニンの値が落ちるため、体はセロトニンを作るために炭水化物が必要なために、炭水化物が食べたくなると言う欲求の引き金になります。
「もし、コルチゾール値が高く、セロトニン値が低い場合、炭水化物と脂肪が欲しくなりますが、例えばチョコレート・バーのような砂糖をベースとした甘い食べ物である、単炭水化物ばかりが食べたくなります。」とピークは言います。
理由は、こうです。単糖は複合炭水化物よりも素早く消化されるため、素早くセロトニンを安定させることができるためです。
もし、コルチゾールが上昇していて、セロトニンが比較的正常値の場合は、そんなに甘くない食べ物である脂肪・炭水化物のコンビネーション(例えば、クリームチーズベーグルサンド)の食べ物を女性は食べたくなります。」とピークは言います。

血糖値との関連性

「月経前症候群に関連した別の研究では、月経周期後半の低血糖(症)があります。」と、「月経前症候群のセルフヘルプ-1ヶ月中気持ち良く過ごすための女性のためのガイド(Premenstrual Syndrome Self-Help Book: A Woman’s Guide to Feeling Good All Month)」の著者であるスーザン・M・ラーク(Susan M. Lark)は言います。「こうした研究では、女性は食後に血糖値が下がり、その際刺激やイライラを感じます。しかし、1-2時間後、また空腹になり、もっと食べたくなります。」とラークは言います。
血糖値、コルチゾール値、セロトニン値、いずれが原因であれ、専門家たちはアイスクリーム、チョコレート、ポテトチップスを大量に食べても、値を戻すための唯一の方法ではないと言います。実際は最悪の方法なのです。適切な栄養を摂ること、良いライフスタイルの習慣を持つことで、同じ効果がもっと続きます。

月経前症候群による食欲と戦う12の方法

食欲と戦う方法
どうやって月経前症候群と戦い、体重が増加しないようにすることができるのでしょうか?

複合炭水化物を摂る
ダイエットなのに、食べ物を食べると言うことは直感に反しているように思えると思います。ヴルトマンは、いつでも食欲がでた時は複合炭水化合物をおやつに食べることを勧めます。ライスケーキ(翻訳者注:餅ではなく、低カロリーのアメリカのダイエットフードで、日本にも輸入はされていると思われます。)を食べて少し余分なカロリーが増えたとしても、アイスクリームの箱を食べることから防いでくれます。食事も複合炭水化物が多いものを摂りましょう。例えば、全粒パン、全粒パスタ、全粒シリアルなどです。「ベイクドポテト、ベーグル半分、低糖シリアルを空腹で食べれば、1時間以内にセロトニン値は上昇します。」とヴルトマンは言います

加工された砂糖を避ける
単糖は血糖を下げる効果のあるインスリン分泌を増加させます、とラークは説明します。インスリン値が高くなってしまう場合は、炭水化物や脂肪に対する食欲が増加します。

必須脂肪酸の高い食べ物を摂取する
サーモンやひまわり油、キャノーラ油マヨネーズなど、必須脂肪酸が多い食べ物は、「炭水化物の吸収をゆっくりにし、血糖を安定させ、食欲増加をストップさせます。」とラークは言います。低脂肪キャノーラ油マヨネーズのツナをライスケーキに乗せて食べてみたり、フラックスミールテーブルスプーン数杯をプロティンシェークに入れてみましょう。

水を多く飲みましょう
1日に最低でもグラス8杯の水は体の中をきれいにし、膨満を減らします、とピークは言います。

塩分を避ける
塩分の少ない食事は膨満を減らし、水分を保持するだけではなく、高血圧などのリスクも減らすことに役立ちます、とヴルトマンは言います。

脂肪を避ける
「脂肪は消化と、炭水化物の吸収を遅くします。そして、体が炭水化物を吸収してセロトニンに変えるまで気分が良くなりません。」とヴルトマンは言います。

コーヒーやコーラを制限する
緊張感やイライラを少なくし、胸焼けを緩和するために、カフェインの摂取を控えましょう、と米国家庭医学会(the American Association of Family Physicians)はアドバイスしています。

食事を半分の量にする
量の多い食事を1日3回摂るよりも、少量の食事を1日6回に分けて摂ったほうが、血糖値を安定させることができ、食欲も抑えることができます、とラークは言います。この方法を行うと、月経前症候群でないときにも、減量をすることに役立ちます、とゴールドシュタインは言います。アメリカ人はお腹が一杯になった後も、お皿がきれいになるまで食べ続ける傾向があることも、ゴールドシュタインは指摘しています。

ストレスを減らす
「月経前症候群になる予定がある期間には、義理の両親との夕食会やスピーチを行うなどの、ストレスのかかることは避けるようにしましょう」と。ヴルトマンはアドバイスします。ストレスのかかることがこの時期に重なると、例えばバター入りのマッシュ・ポテトのような高カロリーの食べ物に対する欲求が高まってしまいます。

アルコールを控える
米国家庭医学会によると、生理の前に飲酒することは、余計に気分が落ち込みやすくなるということです。加えて、アルコールは月経前症候群を和らげる働きのあるビタミンBを体内から奪い、炭水化物の代謝を妨害します。

睡眠を十分に取る
睡眠が不足すると、イライラしやすくなり、ダイエットをしたくなくなりさえします。このため、専門家は夜は8時間睡眠を取るように勧めています。加えて、研究では夜十分に眠ている人は長生きしていると報告しているものもあります。

習慣づける
食事時間、就寝時間、運動の時間を決めて行うことは、月経前症候群を和らげることに役立つと、米国家庭医学会は言っています。

運動をして、食欲と戦う

水泳からランニングまで、どんな運動でも心拍数の上がるものは、セロトニン値が上昇し、コルチゾール値を下げます、とピークは言います。専門家の多くは、週4-6回、30分程度の運動を推奨していますが、10分程度歩くだけで食欲は著しく減少します、とピークは言います。
加えて、汗を沢山かくと、水分が出て行くため、膨満感が少なくなります、とヴルトマンは言います。
運動を続けると、怒りの気持ちが消えていくため、「同僚を殺したくなるような気持ちがなくなるはずです。」と彼女は言います。
ヨガや太極拳のような心身活動は、女性のコルチゾール値を下げ、セロトニン値を上げ、心を落ち着かせることに役立つと、いくつかの研究で示唆されています、とピークは言います。経験豊富なセラピストによるマッサージも同様の効果があります。「これはなぜよいマッサージを受けると眠たくなるかの理由です。」

サプリメントも食欲と戦うことに役立ちます

サプリメントを摂ることが、食欲を抑えることに役立つのかどうかという証明はありませんが、特定のビタミンとミネラルがは憂鬱な気持ちを改善し、健康な食事に修正可能にすることに役立つ、と報告している研究もあります、とピークは言います。米国の全ての減量クリニックの患者は、栄養が豊富な食事に加えて、マルチビタミン・ミネラルサプリメントを毎日摂取することが奨励されています。

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