乳幼児と注意欠陥多動性障害(ADHD)について

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注意欠陥多動性障害(ADHD)について

こんな相談がありました。「2歳半の息子が全然じっと座ってくれず、幼稚園でもよく全体行動を乱すのですが、彼は注意力散漫なのでしょうか。」

Heidi Murkoff氏に尋ねました。もし乳幼児が活動しているのを見たとき、その子があまりにも活発すぎると、大人は典型的な乳幼児の振る舞いを見ているのか、それとももっととんでもないことが起こっているのかと困惑することがあるかもしれません。それも無理はありませんが、「落ち着きがない」「注意力散漫だ」「衝動的だ」「反応が過剰だ」「反抗的だ」「活発過ぎだ」「うるさい」「おしゃべりだ」「頑固だ」「不注意だ」といったような言葉でよく表現されるのは、注意欠陥多動性障害(ADHD)の人たちです。でも安心してください。小さい子が全体行動の時間にアリをズボンのポケットに入れるなどの行為は専門家に診てもらうほどのことではありません。多くの理由から、ほぼ全ての専門家は子供が少なくとも4歳になるまでADHDの診断を下しません。その理由の一つとしては、乳幼児の脳は急速に発達している途中であるからで、そのとき問題だと思われている行動は実際のところおそらく数ヵ月間は問題にすらならないでしょう。子供はただ単に成長段階にあるだけなのです。他の理由も一つ挙げておくと、ADHDの子供なら、年齢や成長度合いにしては不適切な振る舞いが見られるからです。2,3歳の子供なら先生の話をじっと座って聞くことができなくても、それはごく普通です。でも、幼稚園に入ってもまだそのような行動がずっと続くようなら、それは危険信号かもしれません。

まだ不安が残っているなら、その不安を解消するために子供の幼稚園の朝の様子を1,2回ご覧になってはいかがでしょうか。その子の友達も同じくらい落ち着きがないことがよく分かると思います。たとえ自分の子供が教室内で一際目立っていても、心配は要りません。あり余る程エネルギーのある子供もいれば、遠慮がちな子供もいますし、そういったそれぞれの性格が今後保護者が大切にしていくものなのですから。念のため、その間に以下に紹介するような手段を用いて全体行動でのエチケットを磨くお手伝いをしてあげましょう。

・一日一時間程の時間を取って、子供のあり余っているエネルギーを燃焼させてあげましょう。鬼ごっこ、器械体操、三輪車、ボール蹴りなどの戸外活動が良いでしょう。

・子供の睡眠時間を確保しましょう。乳幼児は昼寝を含めて一日12~14時間の睡眠が必要です。子供の行動上の多くの問題(ADHDだと診断されるくらい激しいものでも)は、単に疲れすぎていることが原因であることがよくあります。大人は疲れると元気がなくなりますが、子供たちは疲れると逆に回転速度が上がり、非常に活発になります。

・幼稚園や学校へ行く前にきちんと朝食を食べさせましょう。子供の振る舞いが悪くなるのは空腹が原因であることがよくあるからです。卵やピーナッツバターのサンドウィッチなど、高タンパク質な食べ物を用意するようにし、もし炭水化物の豊富なパンケーキやワッフルをどうしても食べたいと言うなら、フルーツ風味のヨーグルトやカッテージチーズを添えてたんぱく質を増やしましょう。

・全体行動がどれほどの長さなのかを調べましょう。子供が10分間しかじっとしていられないのにもかかわらず20分間も全体行動が続くようなら、最後の10分だけ参加させるように先生にお願いしてみてください。成長するにつれて、最終的には子供も最後まで座っていられるようになるでしょう。

・それか、幼稚園か学校に行く時間をもっと早めましょう。一部の子供たちには新しい活動に移行するために長めの時間が必要なことがあるので、友達と遊びながら「学校モード」に切り替える時間を別に取ることで、全体行動の間静かにしていることができるようになるかもしれません。

・全体行動を家で練習しましょう。兄弟、いとこ、保護者、ベビーシッター、ぬいぐるみの動物などに力を借りて、学校でやっているようなことを経験させてあげてください。

・子供の集中力の持続する時間が延びるように努力しましょう。もし、子供が座ってお絵かきなどの一つの静かな作業に集中できなかったら、二つの作業から始めてみましょう。タイマーをセットして、より長時間座っていられるようにし、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。そのとき、子供をほめるのを忘れてはいけません。ステッカーや洗い落とせるタトゥーをプレゼントしても良いでしょう。テレビを消し、窓のカーテンを閉めて集中が妨げられる因子となり得るものをできるだけ排除してあげると子供は集中しやすいはずです。

・学校で何か特定の活動をすることにいつも子供が思い悩んでいるような仕草があれば、その原因を見つけ出しましょう。幼児期は何でも「自分で」する時期なので、子供たちは自分の限界が分からずに挑戦することも多々あります。ここで問題なのは、子供が挫折すると、しばしば彼らが落ち込んでしまうということです。もし子供があるスキルを習得するのに無力感を感じていて、それが学校でのエネルギーの爆発の原因になっているならば、家でそのスキルを練習しましょう。

・幼稚園に通い始めて二年目になる頃には全体行動に慣れているでしょう。しかし、まだ慣れていないようなら、ADHDを疑って医師のもとへ行っても良いでしょう。

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