妊娠中の水産物摂取とその安全性について

妊娠中の水産物摂取について
ここでは、シーフードに関して、妊娠中に食べると妊婦と赤ちゃんの両方にとって利点のあるもの、食べても安全なもの、食べてはいけないものについてご紹介します。
妊娠中の水産物の扱いに自信がなくても心配する必要はありません。至極一般的なことですから。長い間この分野に関しては様々な意見・見方がぶつかり合ってきました。
魚は心臓に良い!いやまて、水銀がたっぷり入っているぞ!魚は赤ちゃんにとって良いDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれているよ!そう早まるでない!PCB(ポリ塩化ビフェニル)だらけなんだぞ!
さて、どれが食べるべき料理なのでしょうか。結論としては、正しいタイプの魚を十分量食べることは健康的であるのみならず妊婦と赤ちゃんの両方に勧められます。
これからシーフードとその安全性の真相をご紹介します。
魚介類摂取量の目安
妊娠中には一体どれだけのシーフードを取るべきなのでしょうか。2014年と2016年に、The Environmental Protection Agency (EPA)とThe Food and Drug Administration (FDA)が共同で発表した声明は、妊婦が自身と赤ちゃんにとって安全な魚をより一層食べるよう促しています。またこの二団体は、妊娠中或いは授乳中の女性が水銀含有量の少ない魚を一週間に220〜340グラム(2、3人前)接取することを推奨しています。
妊娠中の接取を控えるべき魚
魚を食べることの利点は多くありますが、それでも妊娠中は接取を控えるべき魚が数種類あります。特に大型で、海水に生息する肉食のタイプは水銀(赤ちゃんにとって紛れもなく危険な毒物)含有量がとても高いです。また、他にも汚染された湖や河川に生息する魚はPCB(胎児や乳児に絶対に与えるべきでない化学物質)を運んでいる可能性があります。
安全に出産を迎えるため、FDAとEPAは妊婦や授乳中の女性が以下に示す魚の接取量を少なくする、或いは接取を控えることを推奨しています。
接取を控える
以下の七種は水銀含有量が特に多いです。
キツネアマダイ科の低生魚(メキシコ湾)、サメ、カジキ、オレンジラフィー、メバチマグロ、オオサワラ
摂取量を一週間あたり一人前に抑える
以下に示す魚は「食べると良い」と考えられているもので、一週間あたり一人前(およそ110グラム)の摂取が安全です。
アミキリ、バッファローフィッシュ、コイ、チリ産ハタ、ハタ、オヒョウ、マヒマヒ、カスザメ、カサゴ、ギンダラ、シープス・ヘッド(タイ科食用魚)、フエダイ、サワラ、シマスズキ(海水)、キツネアマダイ科の低生魚(大西洋)、ビンナガマグロ(缶詰、新鮮、冷凍)、キハダマグロ、ウィークフィッシュ(ニベ科ナがニベ属食用魚)/ブラウントラウト、鳴き魚
レクリエーションで漁獲された魚を食べるつもりであれば、細心の注意を払う必要があります。魚がどこからきているのかを確認しましょう。情報がなければ、この手の魚の摂取量は一週間に一食にしましょう。また、食べる際は皮や余分な脂肪は取り除きましょう。
妊娠中の接取が安全な魚
妊娠中に接取を制限しなければならない魚が数多く登場しましたが、レストラン等で見られる魚の大多数は、その摂取量が一週間当たり2-3人前(220〜340グラム)である限り、安全だと考えられているものです。これには、野生のサケ、エビ、ナマズ、ザリガニ、ロブスター、メルルーサ、クラム、黒海産パーチ、アンチョビ、マスが該当します。
サケに関しては異なる意見を聞いたことがありますか?サケは間違いなく自然界屈指のDHA供給源です。但し、同時にポリ塩化ビフェニルを大量に接取してしまわないよう、これが多く含まれる養殖ザケは避け、野生のサケ(これにはオメガ三系脂肪酸が更に多く含まれています。)或いは有機栽培のサケを選びましょう。
魚の適切な調理法
妊娠中に寿司料理を避けるべきだということは既知の通りでしょう。これはそのほかの如何なる生魚(カキ、セビーチェ、スモークサーモン)や調理不十分な魚にも当てはまります。これは、これらが発育途上の赤ちゃんにとって危険なバクテリアや寄生虫(リステリア等)を含んでいる可能性があるからです。
ここからは、魚を適切に調理して潜在的な汚染物質・菌にさらされる可能性を軽減するためのコツを幾つかご紹介しましょう。
・新鮮で、適切に冷蔵されたシーフードだけを買いましょう。すぐに調理しない場合は、密閉容器に入れて冷蔵庫に保管しましょう。
・肉類(魚)と野菜・果実では別々のまな板を使用しましょう。
・マリナードの再使用は控えましょう。
・シーフード(殻をむいたクラム、カキ、エビ、ロブスター、イタヤガイに至るまで、前種類)は内部温度が63℃に到達するまで加熱しましょう。温度計が無い場合は、肉の色が乳白色に変わったことを確認することでわかります。また、ヒレ肉(切り身)は加熱が済んでいれば、フォーク等で簡単に薄くはがせるはずです。
・クラム、イガイ、カキは殻が開ききることで、調理が出来たことがわかります。殻の開かないものは捨ててしまいましょう。
魚介類を取ることの利点
幸い(少なくともシーフードが好きな母にとっては)、魚介類を接取することは妊婦と成育中の赤ちゃんにとって本当に大きな利点があります。
具体的には以下の利点があります。
魚は胎児の成長を支えます。
魚は脂肪量の少ないタンパク質と、赤ちゃんの体細胞(皮膚や筋肉から頭髪や骨まで)の形成に不可欠なアミノ酸という二つの物質の供給源の中でも最上の食物です。
魚は赤ちゃんの脳にとっても良いのです。
更に魚(特にサケのような脂っこいタイプ)は、赤ちゃんの知力を増強することがわかっているオメガ三系脂肪酸DHAの供給源でもあるのです。これらの存在は、赤ちゃんの脳がめちゃくちゃ速くなる妊娠7ヶ月以降には嘗て無いほど重要になるのです。
魚は妊婦の記憶力を向上させます。
知力の向上についてすでにお話しましたが、オメガ三系脂肪酸の接取は妊婦の記憶力をも向上させるのです。これは脳機能が低下する妊婦にとっては特にありがたい話です。
魚は気分を向上させます。
十分な量のオメガ三系脂肪酸(特にDHA)を摂取すると妊娠期や妊娠後の鬱病のリスクを軽減させることがわかっています。
魚は心臓を支えます。
魚が豊富な食事をとることは、血液凝固やトリグリセリドの量を減らして心疾患のリスクを軽減することに繋がりますし、既に高血圧である人は魚を接取して血圧を下げることができます。
魚は早産のリスクを軽減します。
調査によれば、魚の摂取量が多い地域においては早産の確率が低くなることがわかっています。また、幾つかの研究は実際に十分量のオメガ三系脂肪酸を摂取(魚やサプリメントを通した接取)することがが早産のリスクを低下させることに繋がることを示しています。