帝王切開後の普通分娩(VBAC)について

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帝王切開後の普通分娩について

一度帝王切開をしたからといって、次の出産時も切開しなければならないのかというと、必ずしもそうではありません。何が正解なのかをあなたが決めるために、ここではVBACについて紹介します。

前回は帝王切開だったけれども、次は普通分娩をしたいと考えている人は実はたくさんいます。Childbirth Connection (a program of the National Partnerships for Women and Families)によると、アメリカ人女性の5人に1人は最初の出産を帝王切開で行います。朗報なのは、そんな場合でもVBACが出来るかもしれない、というよりむしろ医者がそれを勧めるかもしれない、ということです。 The American Academy of Obstetricians and Gynecologists’ (ACOG)の2010年のVBACガイドラインでは、より多くの事案で、医者に帝王切開よりもVBACを検討するように推奨しています。

VBACと2回目の帝王切開、そのいずれにも利点とリスクがあります。According to the National Institutes of Healthによると、一度帝王切開を経験した後、次の子供を生むときに最も安全なのがVBACで、その成功率は60から80%、そしてそれ以外の子供は再び帝王切開で生まれています。2回目の帝王切開はVBACが成功した場合と比べて、感染症や失血、臓器損傷の可能性があるため、やや危険です。さらに帝王切開は、回を重ねるごとにその危険性が増していきます。しかし最も危険なのは、VBACが失敗した後の緊急帝王切開です。これは陣痛が進まないときや、胎児切迫仮死の兆候が見られるときなど、様々な要因で起こりえます。ここで問題になってくるのが、最も安全な方法であるVBACを試みると、同時に最も危険な緊急帝王切開のリスクも負わねばならないということです。

VBACの失敗要因として最も多いのは子宮破裂、つまり陣痛の間に前回の帝王切開瘢痕が開いてしまい、母子ともに非常に危険な状態になることです。幸い症例はそれほど多くなく、VBACを試みた人のうち、100人に1人程度だそうです。

間違いなく、考えるべきことはたくさんあるでしょう。しかし良い知らせとしては、VBACが適しているかどうか、病歴や妊娠、身体的特徴を鑑みて判断できる方法があるということです。考慮すべき重要な点は以下のとおりです。

・帝王切開瘢痕が縦、あるいはT字型であった場合、子宮破裂の危険性が高まるため、VBACは推奨されていません。ですので基本的にVBACが出来るのは瘢痕が横、つまりビキニラインの真上を水平に切った場合ということになります。
・今までに普通分娩を経験したことがある場合、VBACはおすすめです。研究によると、たとえ前回が帝王切開であったとしても、普通分娩を経験したことのある人のVBACの成功率は90%以上だそうです。
・陣痛が自発的に始まった場合、VBACの成功率は上昇します。子宮瘢痕がある女性に対しては医者が陣痛促進剤を用いることが出来ないため、VBACに関しては、出産誘発剤があまり効きません。というよりむしろ、誘発剤の使用は子宮破裂のリスクを上昇させる可能性があります。薬を全く使ってはいけないというわけではないのですが、やはり自力で陣痛が始まった場合のほうが、VBACが成功しやすくなるでしょう。
・前回の帝王切開を行った理由が難産(陣痛が異常に遅い、あるいは難しいこと)だった場合、今回も同様のことが起こるかもしれないため、VBACの成功率は下がります。しかし前回帝王切開を行った理由が次の出産に影響しないような固有の問題、たとえば逆子だったから、などといった場合は、今回VBACが成功する可能性は充分あります。
・肥満である場合、あるいは妊娠中に急激に体重が増えた場合は、VBACがうまくいかないことがあります。最近の研究によると、妊娠中に約18キロ以上増えた女性は、それ以下だった場合と比べて、VBACの成功率が40%ほど低くなるそうです。また肥満の女性はVBACだけでなく、通常の普通分娩においてもその成功率が低くなります。
・VBACは胎児が大きかった場合もよりリスキーになります。最近の研究では、赤ちゃんが4000グラム以上だった場合、3500グラム未満だった場合と比較して50%ほど失敗する確立が高くなるということが判明しました。さらに子宮破裂や、会陰裂傷のリスクも高まるので、予定日から1週間以上過ぎた妊婦に医者がVBACを行わないのはこのためです。とは言うものの、前回大きい子を産んだからといって今回もそうだとは限りませんし、特に自分の体重をコントロールできているならなおさらです。

VBACは過去に2度帝王切開を行っていても、いずれも横に切ったということが前提ですが、有用です。

もし子供がたくさんほしいと考えているならば、VBACは賢い選択肢かもしれません。あなたが今2人目、あるいは3人目を妊娠中で、そのうちまたほしいと思うならば、帝王切開は回数を重ねるごとに危険になる可能性があるため、VBACのほうが良いかもしれません。その上、いったんVBACを成功させれば、将来またそれが成功する確率もさらにあがるのです。

さらに若ければ若いほどVBACの成功率も上がります。2007年の研究では、21から34歳までの女性と比べて、35歳以上の女性のVBACのほうが失敗しやすく、そのうちの39%はVBACに関連した合併症を併発しています。

VBACに備えるために

入院期間の短縮、感染症リスクの低下、低コストなど、VBACには様々なメリットがありますが、それでもなお、再び帝王切開を選ぶという選択肢ももちろんあります。医者を説得して、合意に至ったら、鎮痛剤の使用と一緒に、プロスタグランジンや陣痛を促進するそのほかのホルモン剤の使用についても話し合うことを忘れないでください。
また、硬膜外麻酔の使用がVBACの成否に影響することはありません。むしろ多くの医者が陣痛が始まった初期に硬膜外麻酔を使用することを推奨しています。こうすることで緊急帝王切開をしなければならない事態になったときに、硬膜外麻酔よりもリスクの高い、全身麻酔を使わなくて済むからです。

もしすでに出産を経験していたとしても、ベストな状態で臨めるように、ぜひ母親学級などに参加してみてください。最後に、もしうまくいかなくても、慌てないでください。大切なのは、母子ともに健康であることなのですから。

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