食事脂肪を制限するか、それとも炭水化物を制限するか

その他

体脂肪減量について

肥満体の成人を調査すると、同カロリー量で比較した場合、炭水化物の摂取量を減らした場合よりも食事脂肪の摂取量を減らしたほうが体脂肪減量に効果が見られました。
この結果から、一般的な認識とは反対に、体脂肪を減らすにあたって、炭水化物摂取量を制限する必要がないことがわかります。

この調査では、諸々の条件が精密に整えられた環境のもと、炭水化物摂取量の制限と、食事脂肪摂取量の制限が比較されています。
減量プログラムを選択・採用するのは容易ではありません。なぜなら、食事脂肪摂取量を制限すべきだとするものがある一方で、炭水化物摂取量を制限するよう設計されているプログラムもあるからです。一時的な流行を事実とを区別し、なにが安全で効果が見込めるのかを知ることは困難なことなのです。

National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (NIDDK) のKevin Hall博士率いる研究チームは、条件を精密にコントロールした環境のもと、身体が食事脂肪、炭水化物のそれぞれに対してみせる反応を比較研究しました。彼らは、過去に開発した統計分析モデルを用いてこの研究をデザインしました。研究結果はCell Metabolism において2015年8月13日に発表されています。

研究には、肥満体の男性10人、女性9人が参加しました。参加者(平均年齢35歳)は糖尿病には罹患しておらず、平均BMI値は36でした(30以上は肥満)。
研究はNIH研究棟のmetabolic clinical research unit で二度行われ、それぞれにおいて参加者は二週間滞在しました。24時間体制で参加者を監視することで、研究者らは志願者の代謝やエネルギー消費を精確に監視、コントロールすることができたのです。

それぞれの滞在において志願者達は、最初の5日間はバランスの取れた食事(炭水化物50%、脂肪35%、タンパク質15%)をおよそ2740カロリー接取しました。これはエネルギー消費量と等しいものでした。次の6日間は、これよりも30%カロリー量の少ない食事を接取しました。このとき、タンパク質量は変わっていません。このカロリー減少は、炭水化物摂取量の制限のみか、或いは食事脂肪摂取量の制限のみによるもので、参加者は二度の滞在で両方を経験しています。この2パターンの食事のどちらを先に接取するかはランダムで決められ、二度目の滞在は一度目が終了してから2-4習慣を経て行われています。

研究期間中は、参加者は一日60日間ランニングマシンの上で歩行しました。おりをみて、参加者はmetabolic chamberに居住して、エネルギー消費量を計れらると同時に、エネルギー生産において消費される脂肪量と炭水化物量の相対的なバランスをみられました。

研究者らは、参加者が炭水化物カットメニューを接取している場合はホルモンインスリンの生産量が下がることを発見しました。この食事は代謝を変化させ、脂肪酸化(燃焼)量が増加して、炭水化物酸化量が減少しました。炭水化物カットメニューを取っている間、参加者は一日当たりおよそ53gの体脂肪を減少させました。

一方、参加者が食事脂肪カットメニューを摂取した際は、インスリン生産量と脂肪燃焼量に変化は見られませんでした。しかしながら彼らは、一日あたりおよそ89gの体脂肪を減少させています。これは炭水化物接取量を制限することで同量の食事カロリーを減らした場合よりも68%多い減量にあたります。

研究者らは、この調査に時間的制限があるため、この結果をより長いスパンに当てはめて推測することは難しいだろうと言っています。脂肪と炭水化物摂取量の減少が長期的に身体にもたらす影響を評価するにはさらなる研究が必要です。

「脂肪カットメニューに比べ、炭水化物カットメニューはインスリン分泌量の低下と脂肪燃焼量の増加には効果が見られ、体脂肪を大きく減少させました。しかし興味深いことに、接取された脂肪量と燃焼された脂肪量とのより大きな不均衡によって、参加者らは脂肪カットメニュー摂取時にさらに多くの体脂肪量を減少させたのです。」Hall は言います。「我々のデータからわかることは、体脂肪減少に関しては、全ての食事カロリー量(カロリーの増加・減少量)が互いに完全に等しいわけではないということです。」

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