子どもの骨の健康を高めるためには

子どもの骨について
子どもの骨は成長し続けます。生まれてすぐと、思春期の間にもっとも速く成長します。
骨は 「ピーク骨量」に達するまで骨密度が増え続けます。これは通常、18歳から25歳の間に起こります。子どもの骨密度が高ければ高いほど、後年、骨粗鬆症といった症状になるのを防ぐことができます。
Sheffield Children’s Hospitalの小児代謝性骨疾患のコンサルタントであるポール・アルンデル博士は次のように述べています。「小児期とティーンエージャーの時期に形成した骨から得られる恩恵は、成人期初期に保たれますが、後年になると骨量を失い始めます。もし、もともとの骨密度が低かったら、骨粗しょう症が早く発症する可能性があります」。
幸いなことに、あなたは簡単な生活習慣で、子どもの骨を守ることができます。
子どもの骨に優しい食事
小児期に強い骨を作るには、さまざまなビタミンやミネラルが必要です。健康でバランスの取れた食事、たとえば以下のようなものを用意すれば提供できます:
・果物と野菜―少なくとも1日に5種類食べる(ただし、フルーツジュースは150ミリリットルのグラス1杯まで)
・炭水化物―ジャガイモ、パスタ、米およびパン(できれば全粒のもの)
・タンパク質―肉、魚、卵、豆、ナッツ、種子など
・乳製品―牛乳、チーズ、ヨーグルトなど
強くて健康な骨を作るために特に重要な栄養素がいくつかあります。
健康な骨のためのカルシウム
私たちの体は約1kgのカルシウムを含んでいます。これの約99%は、私たちの骨や歯にあります。このカルシウムの大半は、小児期と10代の間に貯蔵されます。
カルシウムは、ほかのどの時期よりも早く骨が成長する思春期に特に欠かせない栄養素です。思春期は数年にわたるもので、女の子は11から15歳、男の子は12から16歳になることが一般的です。
11歳から18歳までの子どもおよび若年者に必要なカルシウム摂取量は800から1,000ミリグラム、成人では700ミリグラムです。しかし研究によれば、平均するとこの年齢層の子供と若者は十分摂取していないようです。
「十代の若者は成長しているので、もっと多くのカルシウムが必要です。人々は小児期のときほど10代の子の骨の健康について考えませんが、10代の子は小児期よりもっと成長しているのです」とアルンデル博士は言っています。
カルシウムを多く含む食品には、ミルク、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、缶詰のイワシ(骨付きのもの)、緑黄色野菜(ホウレンソウを除く)、エンドウ豆、乾燥イチジク、ナッツ、種子のほかに、大豆ミルクを含みます。
子どもの骨の健康のためのビタミンD
ビタミンDはカルシウムを体内に吸収させるため、骨にとって重要です。ビタミンDの主な供給源は太陽光です。ビタミンDは、夏の間(3月下旬もしくは4月から9月末まで)に日光にあたると、肌で形成されます。
ビタミンDの良質の供給源になる食品はごくわずかです。これには油の強い魚、卵、ビタミンD強化食品(ファストスプレッドや朝食用シリアル)などがあります。
十分なビタミンDを摂取するために、以下のグループは毎日ビタミンDサプリメントを摂取する必要があります:
・生後1歳までのすべての乳児(授乳中の乳児や乳児用調製乳を1日あたり500ml未満飲んでいる乳児を含む)
・1歳から4歳までのすべての子供
5歳以上の子どもは、ビタミンDを10μg(マイクログラム)を含むサプリメントを毎日服用することをお勧めします。
ただし、5歳以上の子は、夏(3月下旬〜4月上旬から9月末まで)の日光からビタミンDを十分に摂取する可能性が高い場合が多いので、この間はビタミンDサプリメントを摂らなくてよいかもしれません。
子どもの肌が赤くなったり、ひどい日焼けをしたりすることは絶対に避けてください。 6ヶ月未満の赤ちゃんは、直射日光に当てないでください。
子どもの骨を強くする運動
毎日の運動は、骨の健康状態を含む、子どもの健康と発達にとって重要です。
子どもが長期間座ったままにならないようにしてください。テレビを見たりビデオゲームをするなど、座って過ごす時間を減らすことでできます。
まだ歩けない5歳未満の子どもは、積極的に床で遊ぶようにしましょう。歩ける子どもは、1日を通して少なくとも180分(3時間)毎日運動したほうがよいでしょう。これには、クライミングやジャンプといった骨を強化する活動を含める必要があります。
5歳から18歳までの子どもは、毎日少なくとも60分(1時間)の身体活動が必要で、サイクリングや遊び場でのゲームといった、中程度の負荷がある運動などの適度な運動を行う必要があります。
筋肉や骨を強化するためには、少なくとも週3回、負荷の強い運動を行うほうがよいでしょう。これには、ブランコなどの揺れる運動器具、スポーツ(体操やテニスなど)、ホッピングやスキップなどがあります。
摂食障害と骨の健康
摂食障害は、男女や年代に関係なく、すべての人に影響を及ぼします。しかし、少女と女性は特に影響を受けやすく、食欲不振は10代の間で最も発症しやすいものです。
この時点で骨はまだ成長し、強くなり続けているので、食欲不振のような摂食障害があると彼らの成長に影響を及ぼす可能性があります。体重が低いとエストロゲンレベルが低下し、骨密度が低下する可能性があります。栄養不良と摂食障害による筋力の低下は、骨密度を低下させる可能性もあります。
ティーンエージャーの子どもが食欲不振または別の摂食障害を抱えている場合は、骨の健康に関する医師のアドバイスを受けることが重要です。