自ら出産を行わねばならない場合にすべきこと

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緊急出産について

病院に向かうことが出来ない状態で出産を迎えてしまうのを恐れていますか?そのようなことが起こってしまう可能性は高くありませんが、ここでは起きた場合に妊婦がすべきことを一つ一つ解説していきます。

分娩日が近づきつつある今、あなたの心はきっと興奮でいっぱいでしょう。また多くのお母さんがそうであるように「もしこうだったら、もしこうなったら」といった考えであなたの頭はいっぱいになっていることでしょう。例えば、もし家で一人きりで、病院に辿り着けない時に出産を迎えてしまったら、なんていう心配です。ドラマではこういったシナリオも珍しくありませんが、実際に家庭で無計画な妊娠に直面する女性の割合は1000人に1人です。しかしその不安を鎮めるため(或いはあなた自身がその珍しい妊婦になってしまった場合に備えるため)、ここでは家庭で緊急出産を行わねばならない際に留意すべき単純な指示をご紹介しましょう。

1.状況の判断

まず第一に、赤ちゃんが本当にすぐ産まれてきて、病院に行っていては間に合わないとどうして言えるのでしょうか。それぞれの女性に応じて分娩は異なりますが、もし4分間隔で強烈な陣痛がやってきていて、破水が起きていて、妊婦が赤ちゃんを押し出す強い衝動に駆られているのであれば、それは出産がまもなくやってくるという徴候でしょう。第一子は第二子以降に比べて出産に時間がかかりますから、第二子やそれ以上の子の出産である場合は家で産まれる可能性がより高いでしょう。

2.119番に電話をかける

当たり前に聞こえるかもしれませんが、興奮している状態(赤ちゃんがやってくる!!)では医療関係者を呼ぶことさえ忘れてしまう可能性もあるのです。電話が繋がったら、自身の産婦人科医も忘れずに呼びましょう。また、家庭での出産を口頭指示で誘導することを訓練されている人もいるので、可能であれば受話器はスピーカーフォンにしておきましょう。そして救急医療技術者らが速やかに入ってこれるよう、玄関は解錠しておきましょう。これは、彼らがやってくる頃にはとっくに案内などできない状態になっている可能性があるからです。

3.冷静になり、家庭での出産は自然なことなのだと知る

家で無計画の出産を迎えることは怖いことのように思われるかもしれませんが、出来る限り冷静になりましょう。そして、身体は出産の仕方をわきまえているのだということを忘れてはいけません。初めて出産を迎える人は、赤ちゃんが逆さに産まれてくるために詰ってしまうのではないかと心配されるかもしれませんが、早めに産まれてくる子どもがこういった問題に直面することは稀です。というのも、赤ちゃんが早く産まれることができるのは、頭が下になっている理想の体勢が出来上がっているからです。また、家庭での出産は驚くべきことに郊外やオランダのような先進国でさえも(大多数の赤ちゃんが家で出産を向かえる)一般的だということを念頭においておきましょう。実際、オランダにおける2013年の研究は、計画した上で家で出産することは実は病院での出産よりも安全だということを示しています。これは、女性が不必要な医療介入に苦しむ可能性が少ないからです。

4.出来るだけ快適な状態をつくる

手と膣部を石鹸で綺麗にしましょう。バケツに温かい水を入れ、清潔なタオルを最低4枚用意しましょう。これらを用いれば赤ちゃんをふいて、温かくしてあげることができます。一番最初は、後片付けを減らすためにバスタブに入ってしまいたい、という衝動に駆られるかもしれませんが、これは快適ではないでしょう。また、救急医療技術者が即座に立ち会うことが難しくなります。ですから、樹脂製のテーブルクロスやシャワーカーテン、その他の防水性のカバーをベッドや床のラグの上にかぶせて寝ましょう。最良の体勢は、左半身を下にして寝ることです。こうすることで、酸素を赤ちゃんに送り届ける役割を果たす大静脈を圧迫せずに済むのです。この姿勢ではまた、赤ちゃんが出てくるのを手伝う際に両手を伸ばしやすいでしょう。
助けてくれる人が周りにいる場合(病院には辿り着かないがパートナーが傍にいるとき等)も、殆どのアドバイスは同じです。異なるのは、妊婦の姿勢です。ベッドの端に座って椅子の上に足をのせると良いでしょう。というのも、誰か他の人が出てくる赤ちゃんを受け止められるからです。この状態は病院において分娩が行われる際のポジショニングと類似しています。(とはいうものの、自分が一番快適に出産を行える姿勢をとりましょう。)また、スクワットの状態や大の字に寝る体勢も可能でしょう。

5.息みたいという衝動をこらえる

予期せぬ出産を迎えた場合は、息まないようにすることが大切です。これは、赤ちゃんが速く出すぎて妊婦のデリケートな身体を傷つけないようにするためです。息を入れたり吐いたりすることは良いでしょう。そうすることで、息が止まって体内圧力が上がることを防げます。赤ちゃんの頭が視認出来たら、両手を出来るだけ良い位置におきましょう。引っ張ってはいけません。子宮収縮が起きる間に押しながら、出てくることを優しく促すだけです。臍帯が赤ちゃんの首の周りに巻きついているようであれば、臍帯の下に指を入れて、ゆっくりとゆるめて、楽にしてあげましょう。

6.赤ちゃんが出たらどうするか

おめでとうございます。とっても美しい赤ちゃんが誕生しましたね。産まれたならば直ちにタオルで拭いてあげて、腹や胸の上に連れてきてあげましょう。肌を介した接触を行うことによって赤ちゃんを温め、落ち着かせることができます。赤ちゃんの呼吸を刺激するには、目元から鼻の穴の外側までを指でなぞってあげましょう。こうすることで羊水を鼻腔から流し去ることができます。この後、赤ちゃんが呼吸を始めるまで赤ちゃんの頭を足よりも低い高さに保ち、胸郭の後ろの側を上下に勢い良くこすりましょう。この際、その圧力やペースは、髪の毛を洗うときのそれとおなじです。

今日は、医者の大多数は、(必要性が無いため)吸入器を用いません。ほとんどの赤ちゃんは他からの干渉や刺激が無くても自ら呼吸をするようになります。蘇生のために高度な方法が必要になる赤ちゃんの割合はたった1%です。珍しくも自分の赤ちゃんがこうした介入が必要な状態で生まれてきた場合は、指でもっと口をあけさせ、素早くまたこの上なく優しく空気を二度ほど口や鼻に吹き入れてあげましょう。

赤ちゃんが自らゆっくりと呼吸を始めたら、赤ちゃんの口を妊婦の乳房のほうへと誘導して、授乳を始めましょう。こうすることによって身体はより多くのオキシトシン(子宮を一層収縮させるホルモン)を分泌するようになり、胎盤が20分ほどで自然に出てくるでしょう。(赤ちゃんが出てきているのに、出産は終わっていない、ということが起こり得る事実を知って驚く女性もいます。ですから、より強い陣痛を覚悟しましょう。

7.臍帯を切ったり結んだりしない

自らの手で臍帯を切断することは難しいかも知れません。そうすることで赤ちゃんお感染症の危険にさらしてしまいかねません。それに、出産の瞬間には赤ちゃんの血液の三分の一ほどが依然として胎盤に残っています。これは赤ちゃんにとって2-5分の酸素を供給してくれます。)これは赤ちゃんが自ら呼吸を行っていない、或いは救急医療技術者がまだ到着していない、という場合にはとりわけ赤ちゃんの命に関わるわけです。したがって、臍帯と胎盤は切らずに放っておいて、赤ちゃんと同じ高さに保ち、出来れば医療技術者らを待っていましょう。彼らが臍帯を切ってくれるはずです。

最後に

疑わしいときは、何もしないことです。妊婦の身体と赤ちゃんはあなたが考えているよりも多くのことを自らできるのです。

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