妊娠中のつわりの対処について知っておきたいこと

その他

つわりへの対処

ここでは、特に妊娠初期に、つわりに対処するのに役立つことを説明します。

妊娠してから、乳首のあたりが痛くなったり、少しトイレが近くなったり、胸部に青筋が浮き出たり、妊娠初期症状を経験しているでしょう。これまでのところは、いい感じだと思っているかもしれません。しかし、ある日、みぞおちの辺りの不快感で目を覚まします。それは船酔いのような感じです。これはつわりと呼ばれ、今後数週間続きます。

つわりはいつ始まる?

妊婦の4分の3は、妊娠初期につわりに関連した症状に苦しみます。太陽が昇ると胃がムカムカし始め、一日中いつでも吐き気に襲われます。一般的に、つわりの症状は妊娠4~9週目頃に始まり、7〜12週目のどこかでピークに達します。妊娠初期の女性は、嗅覚が非常に敏感になるので、つわりは、多くの女性が特定の食品や匂いに強い嫌悪感を持つ原因となります。

幸い、大部分の妊婦にとって、つわりが最もひどくなるのは妊娠12~14週目です。(ただし、妊娠中期に入ってもつわりが続く人も少数います。さらに少数ですが、特に双子を妊娠している場合は、妊娠後期に入ってもつわりに苦しむことがあります。)つわりによって気分が悪くなるかもしれませんが、赤ちゃんに害はありません。

つわりの原因とは?

多くの理論がありますが、はっきりとはわかっていません。つわりは、妊娠中に産出されるホルモンであるhCGの増加によって引き起こされる可能性があります。hCGはつわりが最もひどくなる頃にピークに達します。エストロゲンの数値とプロゲステロンの数値の上昇は、消化管の筋肉を緩め、消化効率を低下させます。子宮筋の急速な伸展や、妊娠中に多くの女性が経験する金属のような味や嗅覚がするどくなるといったほかの身体の変化も、つわりの原因となる可能性があります。食事を抜くと、空腹で気分が悪くなります。

〈つわりの原因〉
・ホルモン値
・敏感さ
・ストレス
・疲労
・初めての妊娠
・遺伝

すべての妊婦がつわりを経験するわけではありませんし、症状も違います。ときどき気持ち悪くなるだけという人もいれば、嘔吐はせず一日中、吐き気がするという人もいますし、ときどき吐く人も、頻繁に吐く人もいます。これらの違いには、次のような理由があります。

・ホルモン値
平均よりもホルモン値が高いと、つわりが起こりやすくなり、低いと、最小限に抑えたりつわりがなくなります。(ただし、正常なホルモン値の女性でも、つわりはほとんど、あるいはまったく起こりません。)

・敏感さ
脳の嘔吐中枢がほかの人より敏感な人がいます。それは、脳がホルモンや妊娠中の吐き気のほかの要因に反応しやすいということです。脳の嘔吐中枢が敏感な場合、妊娠中に吐き気がひどくなり、嘔吐しやすくなります。普段まったく吐き気を感じることがない人は、妊娠中、吐き気がひどくなる可能性は低いです。

・ストレス
精神的なストレスが胃腸の不調を引き起こすことはよく知られています。そのため、ストレスがかかったときにつわりが悪化する傾向にあることは、驚くようなことではありません。

・疲労
身体的な疲労と精神的な疲労は、つわりの症状を悪化させることがあります。(逆に、重度のつわりによって疲労が増すことがあります)。

・初めての妊娠
つわりは、初めて妊娠した人に多く見られ、重症になる傾向があります。それは、身体的な要因と精神的な要因の両方が関与しているという考えを支持しています。身体的には、初めて妊娠した身体は、ホルモンの攻撃やほかの変化に対する準備があまりできていません。精神的には、初めて妊娠した人は、不安や恐怖を感じて気分が悪くなりやすいです。また、2回目の妊娠の場合、上の子のお世話をしなければならないため、吐き気から気をそらすことができます。(一般論がすべての妊婦に当てはまるわけではなく、最初の妊娠のときより2回目の方がつわりがひどい人もいます)。

・遺伝
母親につわりがあった女性は、つわりがひどくなる可能性が高いことが示されています。

知っておくべきこと

短期間であれば、あまり食べなくても問題ありません。つわりが最もひどい時期、幸い赤ちゃんは小さく、まだあまり栄養を必要としていません。妊娠初期に食べ物を食べられず、実際に体重が減った女性でも、妊娠中期以降で減った体重を補えば、赤ちゃんを傷つけることはありません。しかし、尿には注意してください。濃い色ではなく、明るくて淡い黄色でなければなりません。尿の色が濃いときは水分補給をしてください。

しかし、食べ物をまったく受け付けず、水分さえも摂取できない場合は、妊娠悪阻になっている可能性があります。妊娠悪阻は、つわりのある妊娠中の女性の2%が経験するより重篤な症状です。ひどい吐き気が続き、1日に数回嘔吐する場合は、医者に行ってください。あなたと赤ちゃんの両方を守るために、追加の治療が必要になるかもしれません。

つわりを楽にするためにできること

吐き気を抑えるヒントを紹介します。
・今のところは、食べたい物を食べる。同じ食べ物を何度も何度も繰り返し食べても大丈夫です。吐き気を催す食べ物は、食べないようにしてください。(匂いのきつい物だけでなく、特に辛い物やすっぱい物は食べるのが難しいかもしれません。)おそらく、食べられる健康的な食べ物が少しは見つかるでしょう。そして、より多様な物をおいしいと感じられるようになるまでは、栄養必要量の大部分を満たしてくれます。できれば、甘い食べ物だけを選んでみてください。(夕食時にブロッコリーと鶏肉の代わりに、桃とヨーグルトからビタミンAとタンパク質を摂取してください。)または、おいしそうだと思う物だけを選んでください。まだ赤ちゃんはかなり小さいので、短期的に見たときに、栄養必要量を摂取できていなくてもあまり心配しないでください。そして、どの栄養素も様々な食品から摂取できることを覚えておいてください。だから、葉野菜を食べようと思っているときに、代わりに甘くてジューシーなメロンからビタミンを摂取してもいいのです。

・起きたらすぐ食べる。朝起きるとすぐに、つわりの症状が現れることがあります。長時間の睡眠後のようにエネルギーが不足しているとき、つわりは最も起こりやすいです。これは、しばらく食事をしないと、空っぽのお腹の中にある酸は消化する物がなく、胃の中が酸でいっぱいになり、吐き気を催すからです。吐き気を防ぐために、ベッドのそばのテーブルにナッツやドライフルーツ、クラッカー、シリアルなど、朝起きてすぐに食べられるような物を置いておきましょう。夜寝ているとき、途中トイレに起きるのであれば、そのときに少し食べるのも良いです。

・寝る直前に食べる。起きたときの胃の調子を良くするために、寝る直前にタンパク質や複合炭水化物が豊富に含まれた軽食をとるようにしましょう。(バナナマフィンと牛乳1杯、チーズとドライアプリコット一掴み)

・常に食べているようにする。常にお腹の中に何かを入れておきましょう。お腹いっぱいにならないように、そして、空っぽにならないようにしてください。1日の食事は、3食しっかりとるのではなく、6~8回に分けて少しずつつ食べてください。繰り返しになりますが、お腹が空くと吐き気を感じやすくなります。さらに、食事の量が少ないと消化しやすくなり、吐き気を感じにくくなって嘔吐する可能性が低くなります。外出時には、ドライフルーツ、ナッツ、グラノーラバー、シリアル、クラッカー、大豆チップ、プレッツェルのような軽食を持っておきましょう。

・タンパク質と複合炭水化物をとる。別々に摂取しても、これらの食品群はどちらも赤ちゃんに良いものです。また、一緒に摂取しても赤ちゃんに良く、吐き気を防いでくれます。

・脂肪をとり過ぎない。脂っこい食べ物を減らせば減らすほど、お腹の調子は良くなります。脂肪は消化しにくいだけでなく、神経伝達のスピードを速くし、吐き気を悪化させます。

・ショウガをとる。ショウガは、妊娠中の吐き気に悩む女性に良いです。複数の科学的研究で、妊娠中の吐き気や嘔吐を減らすことが示されています。ジンジャークッキー、ジンジャーエール、ジンジャーティー、ジンジャーキャンディ、ジンジャービスケット、砂糖漬けにしたショウガ、ジンジャードリンクなどを買いだめしておいてください。ショウガとニンジンのスープやジンジャーマフィンなど、料理にショウガを入れたり、紅茶に入れたりしましょう。新鮮なショウガの香りをかぐだけでも、胃のむかつきを抑えてくれます。ショウガは吐き気を抑えるのに役立ちます。

・レモネードをつくる。レモンも吐き気を抑えてくれます。多くの女性は、レモンの香りや味で気分が安らぎます。甘ずっぱいキャンディーや新鮮なレモンの香りは、嫌な気分を取り除いてくれるかもしれません。

・好きだった食べ物をやめる。最初は好きだった食べ物が、吐き気と関連し、実際に吐き気を感じ始めることがあります。もしクラッカーばかり食べていて、実際に気分が悪くなり始めている場合は、別の炭水化物に切り替えてください。

・しっかり水分をとる。嘔吐によってひどく脱水症状になっている場合は、必ず1日8杯の水分をとるようにしてください。難しい場合は、アイスキャンディーを食べてみてください。食事と飲み物を同時にとると、消化管に負担がかかると感じる人もいます。その場合は、食事と食事の間に水分をとるようにしてください。体調が悪いとき、液体状の物の方が摂取しやすい場合は、スープ、スムージー、シェイクでビタミンや栄養素を補ってください。多くの女性は、冷たい物の方が飲み込みやすいと感じます。

・匂い対策をする。妊娠中は嗅覚が非常に過敏になるため、以前は食欲をそそる匂いだった物が突然、不快になり、吐き気を催すようになることはよくあります。そのため、以前は好きだった物でも、吐き気を誘発する匂いは避けるようにしましょう。また、見たくない食べ物も避けるようにしてください。

・サプリメントを服用する。1日のうちで最も嘔吐しづらいときに、妊婦用ビタミン剤を摂取して、栄養素を補ってください。少なくともつわりがなくなるまでは、鉄分を含まない物にしてください。カプセル、粉末、噛むタイプのサプリメントを食事と一緒にとるようにしてください。そうすると、より吸収しやすくなります。サプリメントは飲み込みづらい上に、ビタミンが問題をさらに深刻化させるのではないかと不安に思っていますか。実際、特に吐き気に効果があるビタミンB6が多く含まれる、持続放出タイプのビタミン剤を服用すると、吐き気の症状を軽減することができます。症状が特にひどい場合は、ビタミンB6のサプリメントの服用について医者に相談してください。

・シーバンドを使ってみる。約2センチ(1インチ)幅のバンドを両腕につけると、手首の内側のツボを刺激してくれます。副作用の心配がなく、ドラッグストアなどで手に入れることができ、妊娠中の吐き気を軽減することが示されています。

・リラックスする時間をとる。瞑想、視覚化、マタニティヨガのようなストレス解消法を試してみてください。そして、いつものように、なるべく長い時間をかけて睡眠の準備を整えてください。

・補完医療を使う。鍼灸、指圧、バイオフィードバック、催眠療法など、さまざまな補完医療があります。つわりの症状を最小限に抑えてくれるので、試す価値はあります。

・口のケアをする。食後だけでなく、嘔吐した後もお腹が少し落ち着いたら、歯を磨くか、口をゆすいでください。その際、歯医者で勧められた洗口液か水を使ってください。また、いつも使っている歯磨き粉で吐き気を催す場合は、水や刺激の少ない歯磨き粉で磨いてもいいです。口をすっきりさせ、吐き気を抑えるだけでなく、口の中に残った嘔吐物にバクテリアが繁殖して歯にダメージを与えるリスクを減らしてくれます。

・薬について医者に相談する。つわりがひどい場合は、吐き気や嘔吐の治療薬について医者に相談してください。医者に処方された薬以外は、服用しないでください。

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