自分に合った正しいニキビ治療法を選ぶには

ニキビ治療
少し前までは、10代にニキビができたらポテトチップスを控えて、ニキビ用洗顔料で顔を洗いなさいと言われたものです。今日では、なぜニキビができるのかについての理由も昔よりもよくわかっていますし、効果的な治療法もわかっています。
ニキビのできる原因は全て同じではありませんし、その治療法も同じではありません。しかし、ニキビのできる過程は同じで、ホルモンの変動が皮脂の産生を刺激するためです。ニキビのひどさは人によってまちまちで、全てのニキビの原因が違うため、治療法も同じものが効くというわけではありません。
「ほとんどのニキビが、3つのカテゴリーのうちの一つに当てはまります」とイェール大学医学部皮膚科准教授であり、ニューヨーク州でニキビのレーザー治療の専門家として施術してきたマクレーン・アレキシアドス・アルメナカスは言います。3つのカテゴリーは次の通りです。
面ぽう(コメド)
これは黒ニキビ(ブラック・ヘッド)、白ニキビ(ホワイト・ヘッド)を含む、軽度のニキビです。面ぽうは、皮脂が古い肌細胞とともに肌の毛穴を塞いでしまうことからできます。面ぽうは、額、鼻、顎によくできます。
炎症性ざ瘡
黒ニキビまたは白ニキビの下の肌が赤くなり、炎症がおきます。
嚢腫性ざ瘡
ニキビの中でも最も深刻なもので、嚢腫性ざ瘡はニキビができている部分内での感染の結果にできるものです。嚢腫性ざ瘡は遺伝することがあります。非常に痛みがあり、外観を損なう傷や、残ってしまう傷になる場合もあります。
ニキビに効く治療法の種類は、どのようなニキビであるか、ニキビができる原因となっているその他の要因によります。
軽度の面ぽうと炎症性挫ざ瘡の治療法
軽度の面ぽうは10代と20代前半にできることが多いです。局所クリームやジェルで治療することが通常可能です。レチノイドがよく治療に使われることがあります。レチンA、ディフェリンゲル、レノバ、タゾラックなどで知られているものです。レチノイドは、毛穴の詰まりを解消することにより作用します。
皮膚科医はレチノイド局所クリームやとともに、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、エリスロマイシンなどの抗生物質が処方されることもあります。詰まった毛穴の周辺で炎症を起こしているバクテリアを殺菌します。
「こうした治療方法は10代を対象としており、ホルモン値の変化や皮脂産生が増えるためにニキビが1-4年の期間ひどくなる時期に使われます。中には遺伝でひどくなる青少年もいます。」とイリノイ州リンカーンシャーの先端皮膚学研究所の医療ディレクター(medical director of Advanced Dermatology in Lincolnshire)であり、ノースウエスタン大学のフェインバーグ医学部の皮膚学准教授でもある、エイミー・タウブ(Amy Taub)は言います。
抗生物質には副作用があります。例えば、ドキシサイクリンには日光過敏症、テトラサイクリンは歯を黄色く着色する副作用があります。このため、皮膚科医は親と協力して、子どもに最も効果のある抗生物質を選ぶよう手を貸してくれます。
軽度から中度の面ぽうは、外的要因によってできる可能性があります。例えば、ヘアジェルやメークアップなどです。「ヘアジェルやメークアップなどの使用を中止したとたん、ニキビが消えることもあります。」とアレキシアデス・アルメナカスは言います。
ホルモンが原因のニキビの治療法
炎症性ざ瘡の多くが、ホルモンが原因であることが多いです。このため、10代の女の子や、生理の周期のホルモンの変化によって悪化する女性もいます。こうした女性たちに、皮膚避妊ピルやスピロノラクトンと呼ばれる薬を皮膚科医は処方することもあります。
女性のニキビ治療用に米国食品衛生局が特別に承認した、3種類の経口避妊薬があります。それはヤズ、エストロステップ、オルト・トリサイクレンです。女性ホルモンであるエストロゲンを合成男性ホルモンプロゲステロン、プロゲスチンと混合したものだけが、ニキビの治療としてホルモン変化を安定させることができます。
多くの女性のニキビ治療に、経口避妊薬は非常に効果的ですが、効き目がでるまでにしばらく時間がかかります、とノースウェスタン大学のフェインバーグ医学部の皮膚科で女性の皮膚の健康プログラム長(the department of dermatology at Northwestern University’s Feinberg School of Medicine)であり、准教授のべサニー・シュロッサー(Bethanee Schlosser)は言います。「私は患者に効果がでたかどうか判断するまで、最低でも3ヶ月ピルを飲むようにと言っています。研究では、プラセボと比較して、顕著な効果が経口避妊ピルからは得ることができていることが発見されています。多くの患者は半年でさらに効果がありました。これは一晩では効果がでるものではありません。」
女性の中には、経口避妊ピルを使いたくないという人もいるでしょう。また、喫煙者やその他の病気のリスクが高く、ピルを服用すべきでない人もいます。そうした女性や、経口避妊ピルでもあまりニキビには効果がない人は、スピロノラクトンという薬剤を処方されることがあります。
スピロノラクトンは、利尿剤であるため、頻繁に尿意を感じることになります。男性ホルモンの受容体もブロックしてしまうため、皮脂産生を刺激し、にきびの原因となる、ホルモンの上昇を調節することができます。スピノラクトンは米国食品衛生局からニキビ治療薬として承認されているものではなく、ジェネリック薬品であるために、承認過程で必要な治験のためにお金を出すという気が製造業者にはないため、おそらく承認はされることはないと思われます、とシュロッサーは言います。しかし、多くの皮膚科医はニキビの治療に効果があるということに賛成しています。
症状がひどく、しつこいニキビには、レーザー・光療法などの治療方法もあります。そのオプションは主に以下の二つの方法です。
光線力学的療法
「ニキビができている患者の顔、胸、背中に処方薬剤を塗り、光やレーザーを照射して薬剤を活性化させる方法です。」とタウブは言います。「薬剤はバクテリアを殺菌するだけではなく、皮脂腺の大きさと活動を控えることもできます。バクテリアを殺菌すること自体はあまり重要ではなく、数ヵ月後にはバクテリア自体はまた戻ってきてしまいます。」
アイソレイズ療法
皮膚吸引とブロードバンド光照射を混合した方法です。皮膚吸引は毛穴の汚れをきれいにし、余分な皮脂を取り去ります。また、光照射は、ニキビの原因となるバクテリアを殺菌し、皮脂腺の活動を削減することに役立ちます。