脂肪について知っておきたいこと〜さまざまな脂肪について〜

脂肪について
食事で脂肪、特に飽和脂肪を摂りすぎると、コレステロール値が上昇し、心臓病の危険性が高まります。摂取脂肪量を減らし、一定程度の飽和脂肪は不飽和脂肪で置き換えるべきです。
近年メディアは、心臓病、糖尿病、肥満などの主要な病気の原因についての議論を、「脂肪が悪いか、砂糖が悪いか」の論争に変えています。しかし問題は、脂肪と砂糖のどちらを選ぶかではないはずです。どちらも減らす必要があります。
飽和脂肪の摂取量を減らすことは、心臓病、脳卒中、そのほかの循環器系疾患の危険性を軽減する1つの方法にすぎません。他の危険因子には、塩分や糖分が高すぎるものを食べたり、肥満や喫煙、運動不足などがあります。
心臓の健康に関しては、脂肪や糖分などの個々の栄養素よりも、全体的な食事に焦点を当てるほうがよいです。バランスの取れた栄養価の高い食事は、循環器系疾患の発症リスクを減らす最善の方法の1つです。
全ての脂肪が悪いわけではありません
少しだけなら、脂肪は健康でバランスの取れた食事に必要です。脂肪はオメガ3のような必須脂肪酸(体内で合成できない脂肪酸)の供給源です。脂肪はビタミンA、D、Eの吸収を助けます。これらのビタミンは脂溶性であり、脂肪の助けを借りてしか吸収できません。
摂取した脂肪は、消化されて脂肪酸と呼ばれるより小さな単位の脂肪に分解されます。身体の細胞が使わなかった、またはエネルギーにならなかった脂肪は、体脂肪に変わります。同様に、体内で使われなかった炭水化物とタンパク質も体脂肪になります。
どんな脂肪もエネルギーが高いです。1グラムあたり、炭水化物とタンパク質は4kcal(17kJ)ですが、脂肪は飽和または不飽和のいずれの場合でも9kcal(37kJ)です。
食品に含まれる主な脂肪は飽和脂肪と不飽和脂肪の2種類です。大部分の油脂は飽和脂肪と不飽和脂肪の両方をさまざまな比率で含みます。
健康的な食事をするために、飽和脂肪やトランス脂肪酸を多く含む食品や飲料を減らし、その一部は不飽和脂肪に置き換えるようにするべきです。
脂肪、炭水化物、たんぱく質のいずれからにせよ、必要以上のエネルギーを頻繁に摂取すると、肥満になるリスクが高くなりコレステロール値が上昇する可能性があります。
飽和脂肪
飽和脂肪は、甘くて美味しい食品の多くに見られます。それらのほとんどは肉や乳製品など動物由来ですが、パーム油など植物由来のものもあります。
飽和脂肪が多い食品には以下のようなものがあります。
・肉の脂身
・ソーセージやパイなどの肉製品
・バター、ラード
・チーズ、特にハードチーズ
・クリーム、サワークリーム、アイスクリーム
・お菓子とチョコレート菓子
・ビスケット、ケーキ
・パーム油
・ココナッツオイルとココナッツクリーム
コレステロールは主に体内の肝臓で作られ、低密度リポタンパク質(LDL)か高密度リポタンパク質(HDL)として血液中に運ばれます。食事から得る脂肪の種類によって、血液中のLDLコレステロールとHDLコレステロールの値は変わります。
食事で飽和脂肪を摂りすぎると、血中のLDLコレステロール値が上昇する可能性があります。それが原因で動脈に脂肪が沈着し、心臓や脳への血液の流れを妨げて心臓病や脳卒中の危険性を増加させます。
一方、HDLコレステロールには、コレステロールが過剰なところから取り除きコレステロールを処理する肝臓に運ぶという健康によい効果があります。
脂肪と砂糖を食べすぎると、主に肝臓で作られた脂肪物質であるトリグリセリド値が上昇する可能性があります。トリグリセリドの血中濃度が高くなっても動脈狭窄が起きます。
飽和脂肪ガイドライン
平均的な男性は、1日に摂取する飽和脂肪は30g以下にすべきです。
平均的な女性は、1日に摂取する飽和脂肪を20g以下にすべきです。
子どもはそれよりも少なくしましょう。
トランス脂肪
トランス脂肪は、肉や乳製品など動物由来の一部の天然食品に少しあります。また、水素化植物油中に含まれています。
飽和脂肪と同様にトランス脂肪は、血液中のコレステロールレベルを上昇させる可能性があります。このため、トランス脂肪酸は食事から得られるエネルギーのうち2%(kJ / kcal)を超えないようにすることが推奨されています。成人の場合、これは1日約5g以下です。
不飽和脂肪
心臓病の危険を低くしたいなら、脂肪の摂取量を減らし、飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えるのが一番です。飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えるとコレステロール値が低下することは証明されています。
不飽和脂肪は主に植物由来の油に含まれ、多価不飽和脂肪あるいは単不飽和脂肪として存在しています。一価不飽和脂肪酸は、HDLコレステロール値を維持しLDLコレステロール値を低下させて心臓を保護します。
一不飽和脂肪は以下の食品に含まれます。
・オリーブ油、ナタネ油、またはそのスプレッド
・アボカド
・アーモンド、ピーナッツなどのナッツ類
多価不飽和脂肪はLDLコレステロール値を下げるのに役立ちます。飽和脂肪を多価不飽和脂肪に置き換えることも、トリグリセリド値を低下させるのに役立ち得ます。
多価不飽和脂肪には主にオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の2種類があります。一部のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は体内で合成することができないため、食事中で少量摂取する必要があります。
オメガ6脂肪酸は、菜種やトウモロコシ、ヒマワリ、ナッツなどの植物の油に含まれています。オメガ3脂肪酸は、サバやニシン、マス、イワシ、サーモン、新鮮なマグロなどの油性魚に含まれています。野菜に含まれるオメガ3脂肪は、魚に見られるものと同じような心臓保護効果は持っていないと考えられています。