更年期と骨の健康〜骨密度について〜

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女性の骨密度

35歳ごろから骨密度が減少していくというのは、女性にとっては自然なことです。しかし、更年期を迎えると骨の老化は急速になります。

女性は更年期になってから5~7年の間で骨密度の20%を失います。これは更年期後の女性の骨粗鬆症や骨折のリスクを高めます。

なぜ更年期後に骨密度が減少するのか

更年期後の骨密度の急速な減少は、女性ホルモンのエストロゲン値の低下によって引き起こされます。エストロゲンは骨の強度を守ることに役立っているホルモンです。

Menopause Mattersの社長であるヘザー・キュリー医師は言います。「まだエストロゲンが体内にある間は、エストロゲンは骨を健康に保つために非常に有益です。更年期になるときまでには、体内でのホルモンの製造量が減り、これが骨に対して有害な効果をもたらすのです。」

「エストロゲンを通常より若いときに失い、早発閉経期を迎えた場合、後により深刻な影響が起こります。エストロゲンが体内に残っている期間が長ければ長いほど、骨にとってはよいことなのです。」

更年期後でも骨を強く保つ

骨粗鬆症は更年期後により起こりやすくなりますが、骨粗鬆症になっていることに気づかない女性もいます。「骨粗鬆症は何らかの症状を引き起こすわけではありません。骨折が最初の兆候であることもあり、骨粗鬆症に関連した骨折が増えていきます。」とキュリー医師は言います。

更年期後の骨密度の減少を完全に止めることはできませんが、その進行を遅くするためにできることはたくさんあります。キュリー医師はこう言っています。「私は女性たちに、更年期はひとつの警告であると考えるよう勧めています。自分の食事や食生活を見直すよい機会なのです。」

以下に、骨を守るために更年期前あるいは更年期後にできるいくつかの簡単な処置を島します。

・活動的であり続けること
今まで身体的に活発でなかったとしても、更年期後に活動的な生活習慣を身につけることは、骨を守るために役に立つでしょう。
19歳~65歳の成人は、毎週10分間かそれ以上のサイクルで、中程度の運動を最低でも150分以上することが推奨されています。サイクリングや軽いウォーキングなどもこの中に含まれます。テレビを見たり、ゲームをしたり、パソコンをしたりなど、長時間座っていることも避けるべきです。
体重負荷エクササイズとレジスタンス運動は、骨の強度を高め骨粗鬆症を防ぐために非常に重要です。この運動が筋肉や骨に圧力をかけ、それらを強くするからです。
体重負荷エクササイズでは、足が自分の体重を支えます。ランニング、縄跳び、ダンス、エアロビクスのような衝撃力の強い体重負荷エクササイズは、筋肉、骨、関節を強くするために適しており、150分間の中程度の運動にも含むことができます。
レジスタンス運動をすることによって、抵抗力に対してはたらく筋力を使うことができます。政府のガイドラインではこのタイプの運動を週に2回することが推奨されています。例としては、腕立て伏せ、ジムでウエイトでのエクササイズや重量装置を使用することなどが挙げられます。骨を引っ張る筋肉の動きが骨の強度を強くします。

・バランスのとれた食事をする
カルシウムやビタミンDを含んでいる健康的でバランスのとれた食事は、更年期後に健康な骨を維持することを助けます。すぐれたカルシウム源には、緑色の葉ものの野菜(ほうれん草を除く)、ナッツ、種、ドライフルーツ、骨つきの魚の缶詰、牛乳やヨーグルトやチーズといった乳製品などがあります。低脂肪乳製品は脂肪分無調整の乳製品とまったく同じ量のカルシウムを含んでいます。
すぐれたビタミンD源には、脂っこい魚、卵、ファットスプレッド、ビタミンDの栄養価が高い朝食用のシリアルなどがありますが、食べ物だけでは十分なビタミンDをとることが難しい可能性があります。
そのため、すべての成人は、特に冬季(10月~3月)に、日常的なビタミンDのサプリメントをとることを考慮に入れるように勧められています。

・日光とビタミンD
3月や4月の後半から9月末までの日光が肌に当たると、ビタミンDの製造を引き起こします。そのため、この期間はビタミンDのサプリメントをとることはしない方が懸命です。皮膚を赤くさせたり、日焼けさせたりしないよう注意しましょう。

・常識の範囲内で飲酒をし、煙草は吸わない
喫煙は骨粗鬆症のリスクを高めることにつながりますが、同じことが飲酒のしすぎでも言えます。喫煙は心臓病、がん、その他の喫煙に関連した病気のリスクを低下させることにも役立ちます。
女性も男性も日常的に14単位以上のお酒を飲まないよう推奨されています。

ホルモン補充療法(HRT)と骨の健康

HRTは、ホットフラッシュ、寝汗、睡眠障害、関節痛などの一般的な更年期障害に効果的な治療法となることがあります。HRTは、通常更年期前に低下し始めるエストロゲンを元に戻すことによってはたらきます。HRTは骨密度を維持し、骨粗鬆症のリスクを減らすことにも役立ちます。

HRTはすべての女性に適しているわけではなく、治療を受けない方が望ましい女性もいますが、一定の人々に対しては推奨されます。

「早期閉経を迎えた女性はみな、HRTを受けるべきです。骨粗鬆症だけでなく、心臓病や痴呆のリスクも増加しているからです」キュリー医師は言っています。

女性の更年期を迎える平均的な年齢は52歳です。40歳未満で閉経を迎えた場合、早期閉経であると診断されます。

「骨粗鬆症にかかった人が家系に多い場合も、骨の健康のため、そして更年期障害を抑制するために、HRTを受けることを考えるべきです。」とキュリー医師は言います。

HRTのメリットとリスクについて詳細な情報を希望する場合は、医師に相談してください

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