体重増加を引き起こす9の身体的要因

症状

体重増加の原因

ほとんどの場合、体重が増えてしまう原因は一日の運動や体内機能で消費される以上のカロリーを摂取してしまうことです。
しかしながら、体重増加が特定の健康状態に起因する場合もあるのです。ここでは、体重増加を引き起こす9の身体的問題を紹介します。

甲状腺不全

甲状腺不全(甲状腺機能低下)とは、代謝を調節する上で中心的機能を果たす甲状腺ホルモンの分泌が不十分であることを意味します。甲状腺不全は性別や年齢を問わず起こり得ますが、特に高齢の女性に多く見られます。
「甲状腺ホルモンの分泌量が不十分であると、代謝速度が落ち、体重増加に繋がるのです。」と栄養士のキャサリン・コリンズは言う。この病態は通常レボチロキシンと呼ばれるホルモン補充剤を使用して治療されます。

糖尿病治療

体重増加は、糖尿病の処置としてインスリンを投薬されている人に多く見られる副作用です。インスリンは血糖値をコントロールします。長期に渡って糖尿病を抱えている人は、血糖値が低い状態(低血糖症)を防ぐために必要以上の食事をとってしまう傾向にあります。
「低血糖症予防でスナックを食べ過ぎると、カロリー摂取量が多すぎてしまい、体重の増加に繋がります。」コリンズは言います。

加齢

加齢と共に、人は筋肉量が適度に落ちていきます。これは主として運動量の低下に起因します。筋肉はとても効率よくカロリーを燃焼するので、筋肉量が減ると必然的にカロリー燃焼量も低下します。それまでと同じ量の飲食を行っていて、運動量が低下した場合には、体重増加に繋がる可能性があります。「筋力低下を減らしたいのであれば、身体を動かし続けるとともに、定期的に筋強化訓練を行いましょう。」とコリンズは言います。

ステロイド治療

ステロイド(コルチコステロイド)は、喘息や関節炎などの様々な治療に使用されます。長期に渡ってコルチコステロイド剤を使用すると食欲が増す傾向が見られ、これが体重増加に繋がります。「ステロイドの服用量が多く、使用歴が長ければ長いほど、体重が増えやすくなります。」コリンズは言います。「これは、ステロイドが脳の食欲や飽満の感情を司る部位に作用して空腹感を作り出すからです。」
ステロイド服用期間にも、摂取する食物を慎重に選べば普段以上に食べてしまうことは防げると言います。
ステロイド治療を中止することは良いことではありません。体重増加の心配がある場合は、医師に相談しましょう。

クッシング症候群

クッシング症候群はとても珍しいもので、50,000人に一人の割合でその影響を受けます。これは、コルチゾール分泌量が多いときにおきます。長期に渡るステロイド治療の副作用(医原的なクッシング症候群)、或いは腫瘍が原因(内発的なクッシング症候群)で起こり得ます。
体重増加は、特に特に胸、顔、腹部に広く見られる症状です。これは、コルチゾールが原因でこれらのエリアに脂肪が再分配される故におきます。原因によりますが、典型的な処置ではステロイド使用の減少、停止、或いは腫瘍摘出手術などが行われます。

ストレスと気分の低迷

人の、ストレス、心配、鬱っぽい気分への応じ方は様々です。
体重が減る人もいれば、体重が増加する人もいます。「飲食は対処メカニズムの一環なのです。」コリンズはいいます。「悪循環に陥る可能性があるのです。鬱による体重増加は更に鬱を進行させ、体重は一層増えていくのです。自分が感情のままに摂食に走ってしまうとわかっているのなら、他のタイプの気晴らしを考えねばなりません。それは例えば、運動、趣味、友人との電話、散歩、或いは入浴であるかもしれません。

疲労

いくつかの研究によれば、睡眠時間が七時間未満の人は睡眠時間が九時間以上の人に比べて肥満の傾向が大きいといいます。原因ははっきりとはわかっていませんが、睡眠時間の足りていない人は満腹感を作り出すレプティンの分泌量が少なく、且つ食欲を刺激するホルモンであるグレリンが多く分泌される、という理論があります。
「常に疲労感を覚えている場合は、一日中エネルギーレベルを高く保つためにも高カロリーな菓子類を摂取してしまうことが多くなり、肉体的運動量が少なくなります。こうなるとカロリー燃焼量が減少するのです。」コリンズは言います。

体液貯留

体液貯留(水分貯留)は身体の部位を腫れさせ、これが体重増加と解釈されるのです。これは、身体の中で液体が貯蓄されることが原因でおきます。一般的に見られる体液貯留には、長時間立ち続けた後におきるもの、月経前のものなどがあります。この腫れは足首といった身体の特定部位や、或いは身体全体で起こり得ます。
「より深刻な体液貯留は、息切れを引き起こす可能性があります。」コリンズは言います。「足首が一日中腫れている、深夜に放尿のために起きなければならない、或いは息切れを避けるために複数の枕を使用している場合は、そのような体液貯留が心臓や腎臓の問題を示唆するものである可能性があるので、医師の診断を受けましょう。」

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

PCOSは、女性の卵巣の機能に影響を与える、よく知られた健康状態です。症状には、不規則な月経、妊娠のしにくさ、過剰な量の頭髪や体重増加等があります。PCOSの断定的な要因はわかっていませんが、過剰量のインスリンとテストステロンなどを含むホルモン関連の問題が考えられています。
「PCOSを患っている女性は、典型的には腰の周りの重量が増します。」コリンズは言います。「重量が増えれば増えるほど、インスリンが多く分泌されて、さらなる体重増加に繋がるのです。食習慣の変化や運動、場合によってはオルリスタット等の投薬処置を用いてこの悪循環を断ち切ります。」

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