食中毒の原因について〜感染の種類〜

食中毒について
食べ物は、製造、加工、調理のどの段階においても汚染されることがあります。
例えば、次のような原因で汚染されます。
十分に調理されていない(特に肉類)場合
5度以下で冷蔵保存しなければならない食品が正しく保存されていない場合
長時間、調理済みの食べ物が放置されている場合
嘔吐や下痢をしている人やそのような人に接触した人が触れた食べ物を食べた場合
二次汚染(食べ物や物の表面や機器などから有害なバクテリアが広がる場合)
例えば、二次汚染が起きるのは、生の鶏肉をまな板で調理した後に、そのまな板を洗わずに調理が不要な食べ物(例えばサラダ)をその上で調理してしまうと、まな板から有害なバクテリアがサラダに移ってしまいます。
こうした二次汚染が起こるのは、調理済みの食べ物の上に生肉を保存した場合に、肉から出た汁が下にある食べ物に付いてしまうことで起きることがあります。
感染の種類
食べ物の汚染はバクテリアで起きることが多いのですが、ウイルスや寄生生物によって起きることがあります。主な汚染源を以下に示します。
カンピロバクター菌
英国では、カンピロバクター菌は最も食中毒の原因となっている菌です。バクテリアは通常、生肉や調理が十分ではない肉(特に鶏肉)、低温殺菌処理していない牛乳や未処理水にいます。
カンピロバクター菌によって起きた食中毒の潜伏期間(汚染された食べ物と症状がでるまでの間の時間)は、通常2-5日間です。通常、症状は1週間以内しか続きません。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は、生肉や調理が十分ではない肉、生卵、牛乳、その他の乳製品によく見られるものです。
潜伏期間は通常12-72時間の間です。症状は通常4-7日程度です。
リステリア菌
リステリア属細菌は、冷凍食品、パック詰めされたサンドイッチ、調理済みのハムやパテ、ブリやカマンベールなどのソフトチーズなどを含む調理済み食品にみられるものです。
こうした食品は全て、賞味期限内に消費すべきです。これは特に妊婦の女性には重要で、妊娠中にリステリア感染症(リステリア症)に罹ると、妊娠合併症や出産時の合併症を起こす可能性があり、これにより流産になる可能性があります。
潜伏期間は2-3日から7日間と様々です。症状は通常3日間程度で治まります。
大腸菌
大腸菌は、人間を含む、動物の腸内に存在している菌です。ほどんどの菌株は無害ですが、深刻な病状の原因となる有害な菌株もあります。
大腸菌による食中毒は、調理が不十分な牛肉(特にひき肉、バーガー類、ミートボール)を食べた時や低温殺菌処理していない牛乳を飲んだ時に起こります。
大腸菌が原因で起こった食中毒の潜伏期間は通常1-8日です。症状は2-3日から7日程度続きます。
シゲラ菌(赤痢菌)
シゲラ菌は、汚染された水で洗った食べ物を汚染します。通常、汚染された食べ物を食べてから7日以内に症状が出て、症状は7日間程度続きます。
シゲラ菌によって起きた感染症は、細菌性赤痢として知られています。
ウイルス
下痢や嘔吐の原因となるウイルスで、よくあるものはノロウイルスです。これは汚染された食べ物や水を通して、ヒトからヒトへ容易に移ります。生の貝類、特に牡蠣は汚染源になる可能性があるものです。
潜伏期間は通常24-48時間で、症状は通常2-3日で消えます。
小さな子供の場合は、汚染された食べ物からの食中毒感染でよくある原因ウイルスとして、ロタウイルスがあります。症状は通常7日間続き、5-7日間で症状が治まります。
寄生虫
英国では、寄生虫による食中毒が起きることは稀です。発展途上国では寄生虫による食中毒はよく起こることです。
汚染された食べ物で広まる可能性がある、寄生虫感染症には以下のものがあります。
ランブル鞭毛虫症は、ランブル鞭毛虫と呼ばれる寄生虫が原因で起こる感染症です。
クリプトスポリジア症は、クリプトスポリジウムと呼ばれる寄生虫が原因で起こる感染症です。
アメーバ症は、赤痢アメーバと呼ばれる、単細胞性寄生虫(アメーバ)が原因で起こる赤痢の一種です。
寄生虫によって起きた食中毒症状は、汚染された食べ物を食べてから10日以内で通常おきますが、症状がでるまでに数週かかることもあります。
治療をしない場合は、時には数週間、数ヶ月と症状が長期間続く場合もあります。