衛生面において家庭ではどのようなことができるのか?

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家庭での衛生面について

ここでは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌、C. diff(クロストリジウム・ディフィシル)などの感染症が広がるのを防ぐには、衛生面において家庭でどのようなことができるのかをとりあげます。
ワクチン接種と抗生物質治療の進歩により、衛生的な環境を人々は甘受するようになりました。特に家庭では、感染症になる危険性は低いと誤って判断する傾向があります。
しかし、近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ(H5N1)、食中毒、ノロウイルスの流行や、MRSAやC. diffの病院感染などにより、衛生に意識が向けられるようになっています。
1つの感染症がコントロールできるようになると、すぐに別の感染症が現れることはよくあります。専門家は抗生物質が救世主になると予想していましたが、抗生物質は感染症との闘いに終止符を打っていません。 MRSAやC. diffなどの感染症は、病院内外での抗生物質の使用・誤使用によって引き起こされたのではないかと言われています。
微生物学者ののSally Bloomfield教授は、社会が衛生的に好ましい状態になることが抗生物質への抵抗力を高める一番の方法だと述べています。衛生的に好ましい状態とは、感染症が少なく、抗生物質を必要とする患者や疾患が少ないということです。
医療従事者は現在、感染症対策ではおのおのの家庭が重要な役割を果たしていると認識しています。誰でもできる簡単なことで、違いが出てきます。
「おのおのが自宅で行うことが非常に重要なのです。家庭内の衛生状態を良くすることで感染症の拡大を防げれば、地域社会や病院などより広い範囲で拡大することを防げます。
もし手術のために病院に行ったら、何かに感染する可能性が最も高いのはあなた自身です。したがって、MRSAなどの細菌に曝されないように自宅で自分や家族を守って菌保有者にならないようにすることは理にかなっています。
家庭は管理できる場所であり、感染症の拡大を減らすために個人が違いを作ることができる場所です。」

不適切な衛生観念

ウイルス学者のJohn Oxford教授は、人々は家が感染症の感染源だとは考えていないと話しています。
「家は『安全』だと思いがちですが、家で感染症にかかる可能性は実際にあります。ほとんどの人は、手を洗うという単純な行為が感染拡大を防ぐことにどれほど重要なのか考えていません。」
家庭で感染拡大と闘うには、いつどこで感染症が広がる危険性があるか考えるために、細菌のホットスポットに注目してバクテリアを排除する必要があります。
「家全体を殺菌しなければならないわけではありません」とBloomfield教授は言います。殺菌のし過ぎがが近年のアレルギー増加の原因となった可能性が示唆されています。
ただ、Bloomfield教授によると、幼児期に適度に微生物にさらされるとバランスのとれた免疫システムが構築できると示唆されているものの、感染症に罹患したり有害な細菌にさらされなければならないという根拠はありません。
手洗いや食品衛生などの衛生管理とアレルギーの増加との間にどんな関連性があるかは証明されていません。Bloomfield教授は次のように語っています。「汚れは『良い』、衛生的なのは『不自然』という考えがメディアで広がっています。しかしこの考え方は、家庭内での感染症の危険性への国民の認識と、そのようなリスクを避けるために衛生管理をする重要性に、悪影響を及ぼしています。」

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