肺炎球菌ワクチンについての基礎知識

その他

肺炎球菌ワクチンとは

肺炎球菌ワクチンは、深刻で潜在的な致死性のある肺炎球菌感染症を予防します。

肺炎球菌感染症は、肺炎レンサ球菌というバクテリアによって引き起こされ、肺炎、敗血症(血液中毒とも呼ばれる)、髄膜炎につながる可能性があります。最悪の場合、生涯残る脳の損傷や、死にさえ至ることがあります。

肺炎球菌ワクチンを受けるべきなのか

肺炎球菌感染症は誰でもかかるおそれがある病気です。しかし、深刻な病気になるリスクがより高いため、NHSに加入していれば肺炎球菌ワクチン摂取を受けることができる人もいます。以下のような人々が対象です。
・乳児
・65歳以上の成人
・重度の心臓あるいは腎臓疾患などの、長期的な病気にかかっている子どもや成人

肺炎球菌ワクチンはどのくらいの頻度で投与されるのか

乳児は、8週間、16週間、1歳の3回に分けて肺炎球菌ワクチンを投与されます。

65歳以上の人は1度の肺炎球菌ワクチンを受けるだけでよく、これは生涯予防力があります。インフルエンザの予防接種のように毎年投与する必要はありません。

長期的な病気にかかっている人は、一度だけの肺炎球菌ワクチン接種で済むかもしれませんし、5年ごとのワクチン接種を必要とするかもしれません。これは彼らの経験している病状によって異なります。

肺炎球菌ワクチンのさまざまなタイプ

肺炎球菌ワクチンのタイプは、年齢や健康状態によって異なります。2つのタイプはこのようなものです。
・小児用肺炎球菌ワクチン(PCV):NHSの小児予防接種プログラムの一環として、2歳以下の子どもに予防接種をするために使われます。
・肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV):65歳以上の人、あるいは長期的な病気のために高いリスクのもとにある人に投与されます。

肺炎球菌感染症のおそれがある子どもは、2歳以上であればPPVワクチンを投与することができます。2歳以下の子どもには効果がないと考えられています。

肺炎球菌ワクチンはどのようにはたらくのか

どちらのタイプの肺炎球菌ワクチンも、身体が肺炎球菌に対する抗体をつくることを促進します。抗体は病原体や毒素を中和するために身体で作られるタンパク質です。細菌に感染したとき、病気になるのを防ぎます。

90種類以上の肺炎球菌バクテリアが特定されていますが、その中のたった8~10種類だけが最も深刻な感染症を引き起こします。

小児用ワクチン(PCV)は13種類の肺炎球菌バクテリアを予防し、成人用ワクチン(PPV)は23種類を予防します。

肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌感染症の予防に50~70%効果があると考えられています。

PPVもPCVも不活性、つまり死菌ワクチンであり、生きた組織はまったく含んでいません。予防している病気を引き起こしてしまうということはないのです。

肺炎球菌ワクチンを投与されるべきでないのはどのような人か

時々、以下のような理由によって、予防接種を遅らせたり、あるいは完全に予防接種を受けないという選択をしなければならないことがあります。

・ワクチンアレルギー:過去に何らかの予防接種に対してよくない反応があった場合、医師に相談しましょう。アナフィラキシー反応という慢性的なアレルギー反応があった場合、予防接種を受けることを避けるのが最もよい選択です。しかし、発疹などのような軽度の反応だけであれば、たいていの場合はワクチン接種を受けても安全です。

・予防接種予定日の発熱:予防接種をする日に少し気分がすぐれないと感じたら、ワクチン接種を避けることが安全です。しかし、発熱を伴っているというようなより重度の病気の場合、回復するまで予防接種を遅らせることが最善の選択です。

・妊娠している/母乳育児をしている:妊娠中や母乳育児をしている間に肺炎球菌ワクチン接種を受けることは安全であると考えられています。しかし、予防策として、妊娠している場合は、子どもが生まれるまで予防接種を待ちたいと思うかもしれません(ワクチン接種を受けるメリットが胎児へのリスクを上回る場合を除く)。

肺炎球菌ワクチンの副作用

多くのワクチンと同じように、小児用、成人用の肺炎球菌ワクチンは、以下のような軽度の副作用を引き起こすことがあります。
・軽度の発熱
・注射を打った場所の赤み
・注射を打った場所がかたくなる、あるいははれる

ごくわずかに起こる深刻なアレルギー反応の危険性を除けば、小児用、成人用のいずれのワクチンにも副作用はありません。

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