断食をすることは健康的なことなのでしょうか?

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断食について

選択肢もない、カロリーも計算しない、料理もしない…これは非常に簡単なことのように思えます。ただ食べ物に「ノー」と言って、体重を急速に落とし、その他の健康的恩恵を受けるために、断食を始めましょう。
そのときに私たちはこんなことを考えます。
・断食は減量のための効果的な方法なの?
・断食によって、心臓病、高血圧、ぜんそく、関節炎、他の自己免疫性の病気などの医学的状態を改善することができるの?

そして最後に、断食は健康的なのでしょうか?断食は数千年前から行われてきましたが、この疑問は未だ重大な医学的議論の主題となっています。WebMDは、ダイエットと断食についてのいくつかの解答を専門家に求めています。

断食と減量

全ての議論を排除すれば、ほとんどの医学の専門家たちはひとつの点で合意しているということに気が付くでしょう。断食は健康的な減量方法ではないということです。
「断食の魅力は減量の速さですが、物質的な減量ではなく、液体を速く失っているということなのです。」University of Pittsburgh Medical Center’s Weight Loss Management Centerの創立者であり局長であるMadelyn Fernstorm学術博士は言います。
「簡単に体重を落とすことができるならば、簡単に体重は元に戻ってしまうのです。普通の食事を再開したらすぐに。」と彼女は言っています。

他の医学的目的で断食を支持している人でも、減量のための断食は支持していません。体重の問題を悪化させてしまうと言う人もいます。
「断食は減量のための手段ではありません。断食によって新陳代謝率が下がり、断食前の食事が断食後にはより太りやすいものになってしまうのです。」Eat to Live:The Revolutionary Plan for Fast and Sustained Weight Loss and Fasting and Eating for Healthの著者であるJoel Fuhrman医学博士は言います。

減量のための断食によって他の健康上のリスクも引き起こされます。
1~2日間断食をすることは、健康であればめったに問題になりません。「すでに健康的な食事をしていない場合、あるいは肝臓疾患や腎臓疾患、何らかの免疫機能不全を抱えていたり、薬剤を服用している場合には、断食をすることは非常に危険です。」フレミントンの家庭医であるFuhrman氏は言います。

ダイエットをしている人にとってさらに悪いことは、減量のための断食は「減量方法の本当のねらいから人々を遠ざけてしまいます。脂肪の摂取量を減らし、1日に5つの果物や野菜を食べ、水を飲んで他の飲み物は飲まないようにし、1日30分歩き、よりたくさん寝ることなどです」University of Pittsburgh School of Medicineの精神医学、疫学、外科医学の準教授であるFernstrom氏はこう言っています。

さらに、腸内洗浄などのような、減量のために断食と組み合わせることのあるその他の慣習も、その行為自身にリスクがあるのです。
「断食とともに、腸管を清潔にするための浣腸を行うことがしばしばありますが、これは非常に危険である可能性があります、」とFernstrom氏は言います。「腸管にはたくさんの良性のバクテリアが存在しています。そのバランスを変えてしまうと、良性のバクテリアも影響を受けてしまいます。」

断食は体の毒素を取り除く?

以下に議論が白熱している点を挙げます。
「断食で体の毒素が除かれるという科学的証拠はありません。体を清潔にするための断食という問題には生物学的根拠はないのです。なぜなら体は実際には何もしなくともそれ自体で良い状態なのですから。」とFernstrom氏は言います。「肝臓は自然のデトックスの中心です。肺、結腸、腎臓、リンパ腺、肌は毒素を取り除きます。」

しかし、医学上の目的で断食をしてきた患者を何人も管理してきたFuhrman氏は、異議を唱えます。
「栄養になるものが少ない食事をしている時には、体は自分自身では毒素を取り除くことができなくなるということは分かっています。そしてこれはほとんどのアメリカ人に当てはまります。自分のことを健康であると考えている人にもです。」と彼は言います。
「アメリカ人の食べる食事の51%は、加工食品やフィトケミカルと抗酸化物の少ない食べ物です。」彼は言っています。「そのため、細胞組織で発達し、アテローム性動脈硬化、加齢、糖尿病、神経損傷、器官の機能低下に繋がる老廃物―AGE(終末糖化産物)―の山が細胞内に見られます。これが全ての医者が医科大学で習う科学と生理学の基礎です。」

Fuhrman氏をはじめとする支持者によると、全体的な食事を改善することと併せて、断食をすることはそのようなAGEの蓄積に対する一つの解決策となるということです。
「断食によって、体は最も効果的にこのような老廃物を取り除くことができるのです。」と彼は言います。「体は断食をするように作られているのです。私たちは毎晩断食をしています。」
断食によって毒素はどのように取り除かれるのでしょうか?1~2日間何も食べないまま過ごしたとき、体はケトース症候群に陥ります。ケトース症候群は体にエネルギーを燃焼するための炭水化物が不足している時に起こるので、体は脂肪を燃焼します。

「そして脂肪は、体が周りの環境から吸収した毒素を蓄えておく場所なのです」とFuhrman氏は言います。

長生きのための断食

「カロリー摂取量が少ない動物は長生きするということを明らかにしている研究は数多くあります。」Fuhrman氏は言います。

ミミズからサルに至るまで様々な動物に対して行われた研究によって、断食と厳しくカロリーを制限した食事を交代で行うということが寿命を延ばす確実な方法であるということが明らかになりました。
「アメリカ人が摂取している余分なカロリーは、彼らの寿命を縮めています。」とFuhrman氏は言っています。
長生きしたいのであれば、Fuhrman氏の最善のアドバイスは「健康的な食事をし、定期的に断食をする」ということです。
「実質的にはより効果的なこの栄養上の取り組みを推奨しないということが医療過誤であると考えられる時が来ているのかもしれません。」とFuhrman氏は言っています。

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