ダイエットに勝つための精神戦略について

ダイエットについて考える
自分をダイエットの成功から遠ざけているものは何でしょうか?恐らく、それは自分が食べているものや運動量だけではないでしょう。ほとんどの人にとって、問題の主要な部分はその人が自分の食事、運動、そして自分自身についてどう「考えて」いるかということなのです。
大いなる期待
人生の最も大きなストレスというものは、満たされていない希望から生まれます。ここに、1週間できっかり1キロ体重を減らすつもりであると考えている人がいるとしましょう。その考えはどこから生まれたのでしょうか?現実的な予想を立てましょう。平均より9から20キロ体重が重い人のほとんどは、「順調に進んだ場合には」1週間で1~2ポンドの減量を期待できます。(しかし物事が常に順調に進むわけではありません。)これを聞いてわくわくするでしょうし、この問題を1度に対処したいと考えるでしょうが、ここではそのようなことについて言っているのではありません。自分の身体が与えてくれるものにふさわしい体重の落とし方を学びましょう。
「これじゃあ遅すぎる。私はもっと速くダイエットをしたい。」と思うかもしれません。そのような考えの人は、後々苦しむことになってしまいます。近道をすると、きっと自分の望んでい結果を得ることになってしまうでしょう。近道は結果を生み、忍耐は進歩を生むのです。
再構成と回復
では、ダイエットが順調でないときにどう対処すればいいのかについてお話しましょう。人生は偶然に起こります。ダイエットがうまくいっていて、20キロ減量しようとしているうちの5キロを落とすことができているかもしれません。しかし人生は攻撃をしてきます。母親が病気になったり、夫がうつになったり、自分自身が仕事で深刻な問題を抱えるかもしれません。人生には障害物があるので、それを予想しましょう。そうすれば、その障害に対処するための準備をより周到にしておくことができるでしょう。健康的な体重を長きに渡って維持するために最善を尽くしている人のことを、私は「再構成の達人」と呼んでいます。
どうやって再構成するのでしょうか?まず、複数の出発点があることを予想しましょう。今週はとてもうまくいったかもしれませんが、冬が来れば外で運動するという計画はなし崩しになってしまうかもしれません。何かが起こったとしても、絶望したり、困惑したり、くじけないようにしましょう。心の片隅でプランA、B、Cを用意しておきましょう。Aは素晴らしいもの、Bはまあまあなもの、Cはそれほど良くはないもののできそうなものです。Aは外でウォーキングをすることであるかもしれませんし、Bは「もし雪が降ったら、ジムでトレッドミルで運動しよう」というものかもしれませんし、Cは「ジムに行けなかったら、家の階段を20分上り下りしよう」というものになるかもしれません。プランAに固執してしまう人が、成功できない人なのです。そのような人はどんな生活習慣の変化にも耐えられないと思ってしまいます。
自分自身の最悪の敵
人は否定的なことを言い過ぎる傾向にあります。私の患者の一人はワシントンのダウンタウンで弁護士をしており、弁護士と結婚をし、3人の子供を授かりました。彼女のやりくりを想像できるでしょう。私のところへやってきた時、彼女はたったの44歳でしたが、身長は167センチで、体重は110キロもありました。申し分のない状態であるとは言えませんでした。しかし、彼女は私とともにダイエットをはじめ、1カ月に1~2キロ体重を落とすという減量プランにこつこつ取り組みました。その結果、彼女は89キロまで体重が減りました。まだダイエットの途中ではあるものの、23キロの減量に成功したのです。彼女は今までとは全く違う、新しい女性へと生まれ変わりました。けれども、彼女は私に何と言ったと思いますか?喜んで「すごいわ!」というのではなく、「まあ、どうしてこんなに長い時間がかかったの?」と言ったのです。
彼女は完全に論点がずれていました。私は、23キロの減量をするために25年かかったとしても全く気にしません。彼女は何度か停滞期になることもありましたが、体重が増えるということはありませんでした。最もストレスの多い時期に、体重を増やしてしまうということがなかったのです。彼女にそのことを伝えると、「自分がそんな風に考えていたなんて知らなかった」と言いました。自分を責めないようにしましょう。オリンピック出場選手のトレーニングをしていたとき、私は彼らにうんざりするような日やついていない週をどのような乗り切ったのかと尋ねました。きまって、彼らは自分を責めるようなことはしていませんでした。彼らはそれが何だったのかを理解し、単純にそれを乗り越えていたのです。
自分自身と話す
そのようなことをするためには、ネガティブな独り言をポジティブな独り言へと変えましょう。新しい励ましの言葉を考え、自分のレパートリーに加えるのです。私は時々、自分に「うんざりする日を過ごしているけれど、がんばって。あなたはうまくやっている」と言うことがあります。自分自身に話しかけるための言葉を見つけましょう。
私の別の患者は糖尿病のリスクが高く、血糖値とコレステロール値はひどいもので、彼女は非常に不安に思っていました。しかし、その不安な気持ちもそれほど長くは続きませんでした。朝はやる気に満ち溢れていても、午後3時までには、自動販売機の前まで行って食べ物に夢中になってしまうのでした。
私はこう言いました。「あなたは健康に関するリスクと糖尿病について私に話してくれましたが、明らかにそれでは十分にやる気を起こすことができていません。あなたのことを本当に苛立たせているものについて話してください。」彼女は言いました。「この間母親に、私がこれ以上太ったらOmar the Tentmaker’sで買い物をし始めなければいけなくなると言われました。私はこの素敵なスーツを持っているのに、12号なので着ることができないのです。」
つまり、午後3時に、自動販売機で健康的なお菓子か愚かな食べ物かを選ぶ際に、この女性のやる気を起こすものは、糖尿病やコレステロールについてではありませんでした。適切なやり方で食事をすることを選んだ場合には、その答えはスーツということになります。悪いやり方で食事をした場合には、その答えはOmar the Tentmaker’sになることしかできないのです。スーツに尊敬の念を払うことによって、彼女は糖尿病から一歩遠のいたのでした。これが私の「現実的になれ」というルールの一つです。健康は大切ですが、それをより個人的なものにしてしまうのです。うわべだけのもののように見えるかもしれませんが、彼女にとっては非常に価値のあることでした。
「それ」に到達することはない
体重を13キロ落として、目標の体重に達したからといって、そこであぐらをかいていていいというわけではありません。「私は目標に達した。普通になれるんだ」と考えている人がいたとすれば、ここで私からお知らせがあります。普通であるということは、毎日健康的な食事をし、運動をしていかなければならないということです。実践を積むことによって実際にはこれは容易になっていきますが、このようなことをしなければならないという事実を無条件に受け入れなければなりません。そこに話し合いなどはないのです。自分の新しい生活習慣という新たな段階へ進み、自分をさらに良くしていくのみです。