肥満の人のためのアドバイス ― 健康なままで子供を授かるには

その他

《太りすぎ、あるいは肥満と診断されている場合には、妊娠時に様々な合併症を患うリスクがより大きくなります。しかし、正しい食生活と運動習慣を実践することで、元気な赤ちゃんを産むことができます。》

もしあなたが太りすぎ、あるいは肥満なのであれば、妊娠を無事に済ませ、赤ちゃんを健康なままで産んであげることを考えることが大切です。推奨されている以上の体重を有することで、妊娠中に患う様々な合併症のリスクがより高まってしまうのです。幸い、医者と協力して対処を行っていくことで、あなた自身に生じうるリスクを事前に把握し、健康なままで妊娠を終えるための対策を講じることが可能になります。

妊娠時の最初の医療機関への相談

妊娠検査で陽性反応が出た場合、すぐに行きつけの医療機関での診察を受けてください。最初の超音波検査が出来るだけ早く行われることが大切です。というのも、肥満体の場合、排卵が通常よりも不規則になっており、また医者が出産日の想定のためにこれまで用いてきた基準(子宮底や子宮の頂点の位置(高さ)、子宮の大きさ、心臓の鼓動の測定など)の観測が、腹部に過剰に溜まった脂肪によって阻害されてしまうからです。(注意点として、妊娠5週目に入るまでは、胎児の心臓の鼓動が明確に現れていないため、医療機関での超音波検査を受けることができないことが予想されます)

妊娠後最初の診察では、あなたの体重の状態を正確に把握するため、体系指数(BMI)を用いた検査が求められます。また体重過多は妊娠糖尿病(GDM)のリスクを高めてしまうため、妊娠28週目を待たずして先に医療機関でのGDM検査の受診を求められることがあります。この検査で陽性反応が出た場合には、自宅での血糖値のモニタリングが必要になります。反応が陰性であった場合でも、医者による血圧のチェックは継続して行われ、また毎回の健康診断にて尿内のたんぱく質の検出が行われます。加えて、妊娠中、後にGDMの再検査を受けることもあります。

医者と一緒にいる間に、その医者が本当にあなたの健康なままでの目標達成を意欲的にサポートしようとしてくれているのかを、必ず見るようにしましょう。もし不安があったり、その医者や医療スタッフがいかなる理由であれあなたを不快にさせる言動をとった場合には、我慢する必要は全くありません。あなたには、自分に最も適したケアを受ける権利があるのです。ですから、他のママさんや、あなたが信頼を置いている別の医者から、自分に最適な医者を紹介してもらいましょう。もし別の産婦人科に変えると決めるのであれば、その決断は妊娠初期のうちに行うようにしてください。妊娠段階が進むことで、医者から受け入れを拒否される場合もあります。

自分のBMIを把握する

BMIは、その人の身長・体重と体内の脂肪を対照することで計算されます。特定の医療機関にもBMI値を素早く測定できる計算機器が備えてありますが、基本的に、妊娠後最初に受ける診察の場で測定してしまい、自分が以下のどの状態に当てはまるのかを確認することが推奨されます。

・低体重:18.5未満
・普通体重:18.5 ~ 24.9
・肥満(1度):25 ~ 29.9
・肥満(2度~):30以上

妊娠中の体重増量

自身のBMI値を把握することで、妊娠中に自分がどの程度の体重を目指すべきなのか、また自分に推奨されるカロリー摂取量はどの程度のものなのかを判別することができます。これは重要なことで、適切な分だけ体重を増やすことで、妊娠時の合併症のリスクを低減させられるだけでなく、出産後の急激な体重減少の影響を最小限に抑えることも可能になります。特に胎児が最も大きく成長する妊娠後期の時に、推奨体重を目指して増量するようにしましょう。妊娠時の体重の増量水準について、世界保健機関(WHO)の推奨する基準を用いて、専門機関では次のようなガイドラインが公表されています。

・太りすぎ(BMI値25~29.9)の場合:妊娠中全体で15~25ポンド(約6.80キロ~11.34キロ)の増量を目指しましょう。妊娠後期には1週当たり6オンス(約170.10グラム)の増量を意識しましょう。
・肥満(BMI値30以上)の場合:妊娠中全体で11~20ポンド(約4.99キロ~9.07キロ)の増量、妊娠後期には1週当たり0.5ポンド(約225グラム)の増量を目指しましょう。
・妊娠している胎児が双子の場合:妊娠中全体で、太りすぎ(BMI値25~29.9)の場合には31~50ポンド(約14.06キロ~22.68キロ)、肥満(BMI値30以上)の場合には25~42ポンド(約11.34キロ~19.05キロ)の増量を目指しましょう。

妊娠中に減量しても大丈夫なのですか?

アメリカのある専門機関によると、例え「太りすぎ」や「肥満」と診断されている場合でも、妊娠中に体重を落とすことは推奨されない、とされています。しかしながら、もしあなたが医療機関で推奨されているだけの増量を達成できておらず、且つその一方で胎児は大きく成長し続けていると診断された場合でも、帝王切開や「巨大児」のリスクは実際には低いことがあるということが、研究によって分かっています。また中には、体重過多の女性が妊娠中に推奨されているだけの増量を達成できていない場合(通常よりも10ポンド=約4.5キロ程度足りていない等)でも、それが胎児の成長や発達にマイナスの影響を及ぼすことはなく、また出産後の体重維持が続くことも通常より少ない、とする研究も複数あります。ただし、重要な点として、「もし太りすぎあるいは肥満である場合には、妊娠中の増量についてきちんと医者に相談し、自分自身に最適な基準(場合によっては、通常推奨される増量水準よりも少ないこともある)を設ける」ことが大切である、と言うことができるでしょう。

太りすぎ/肥満の人が抱える、妊娠時のリスク及び合併症

医者のアドバイスに注意深く耳を傾け、適切な行動をとっていれば、健康なままで妊娠期間を終え、元気な赤ちゃんを産むことができます。しかしながら、太りすぎ・肥満であることが(特に、健康的なライフスタイルを実践するための対策を何もしていない場合に)、あなたやあなたの赤ちゃんに対して、様々な合併症のリスクを引き起こすことがあります。例えば、

・巨大児/巨人症、または出産時点で通常よりも大きな身体になる症状
・帝王切開(特に腹部の脂肪率が通常よりも高い場合には、手術及び手術後の回復過程がより複雑になる)
・早産
・妊娠糖尿病(GDM)、子癇前症、高血圧症などの妊娠合併症
・神経管欠損を含む、赤ちゃんに見られる脳や心臓機能面の欠陥(これについては、肥満体はその原因として間接的なものに過ぎないこともある)

といったリスクが考えられます。また腹部の過剰な脂肪が原因で、胎児の正確なサイズや位置について医者が確認できなくなってしまいます(それに加えて、自分自身も赤ちゃんの最初の胎動を感じ取ることが困難になります)。また妊娠時の体調不良の問題にも関わってくることがあります ― 残念ながら、体重過多が進んでいればいるほど、妊娠時に不快感を伴う症状も増えていきます。体重が過度に重くなっていることで(妊娠前に既にその状態であったのか、それとも妊娠中の体重増加が原因であるのかに関係なく)、背中の痛みや静脈瘤、腫れ物、胸焼け、その他体調不良を伴う症状が引き起こされる可能性があるのです。

しかし、不安になる必要はありません。あなたやあなたの赤ちゃんに迫るリスクを最小限に抑え、妊娠時の不快な症状を低減するために、あなた自身や医者がとることのできる選択肢はたくさんあります。飲酒や喫煙など、あなた自身の判断一つでどうとでもなるリスクをまず排除することが、最も重要です。食生活のヒントから妊娠中にアクティブに生活するための方法に至るまで、より健康的な生活を送るためのアドバイスを医者から受けるようにしましょう。

健康的な食生活の維持

妊娠中に食べるものは、あなた自身の栄養となると同時に、あなたのお腹にいる赤ちゃんの発達に必要不可欠なものでもあります。したがって、健康的な食習慣を維持することが、健康的に妊娠期間を過ごすために最も重要な要素なのです。推奨される食事量の最低ラインがより少なくなっている場合でも、十分なカロリーを有し、ビタミンやミネラル、たんぱく質を豊富に含んだ食材を組み込んだ食事を日々取っていくことが必要となります。食事の量よりも質を重視し、しっかり噛んで食べることで、摂取カロリーの計算がやりやすくなり、また消費するカロリー量に対して最も効率的に栄養分を摂取することが可能になります。適切な食生活を送るために、以下の簡単なヒントを参考にしてみましょう。

・摂取カロリーを計算する ― お腹の中の赤ちゃんのために余分に摂取する必要のあるカロリー量は、実際には妊娠初期時点で1日当たり50kcal前後、妊娠終盤にかけては1日当たり300kcal程度に過ぎません。医者に相談することで、毎日のカロリー摂取量の目安を設定することができ、また、特にあなたが糖尿病と診断されている時など、場合によっては実際にその時点から摂取カロリーの制限がかけられることもあります。
・栄養士に相談する ― 食事メニューの選択を適切に行う最良の方法の1つとして、栄養士の診断を受け、各週の食事メニューの提案や、あなたが特に摂取すべき食材についての説明を受けることができます。同じ人に定期的に相談することで、食事メニューの選択をより適切に行うことができるようになります(ほとんどの場合、あなた自身で自分の食事の記録をとることが栄養士から求められます。それを基に、毎回の診察で前週の食事メニューの見直しが行われます)。
・水をたくさん飲む ― 普段飲んでいるソーダ等をすべて水に置き換えるだけでも、1日当たりの摂取カロリーの総量をすぐに減らすことができます。フルーツジュースといった高カロリー・高糖分の飲料の消費量を制限することで、大きな効果を得ることが可能です。毎朝のビタミンC摂取が足りていないのであれば、ジュースの代わりにオレンジそのものを選びましょう。グラス1杯のオレンジジュースが111kcalと21グラムの糖分を含んでいるのに対して、オレンジ1個はたったの38kcalしかないのです。
・食物繊維をたっぷりとる ― 食物繊維が豊富に含まれている食品 ― 例えば緑黄色野菜や果物、玄米や全粒粉パンといった全粒穀類など ― を摂取することで、より満腹感を持続させることが可能になります。加えて「便秘や痔、腫脹などの妊娠症状を軽減してくれる」というメリットもあるのです。
・低グリセミック指数食を選ぶ ― 赤身肉や鶏肉、野菜・果物(特に色が濃い緑、赤または橙の種類のもの)を、必ずたくさん食べるようにしましょう ― これらは、「低グリセミック指数食」と呼ばれる食品です。低グリセミック指数食は、高グリセミック指数食(白パンや白米、ジャガイモなど)と異なり、血中グルコース濃度を急激に上昇させることがありません(血中グルコース濃度の上昇は、最終的に妊娠糖尿病(GDM)を引き起こす原因となることがあります)。
・キッチンの食料在庫を十分に確保しておく ― 空になったものや高カロリーなジャンクフード(ポテトチップスやスイーツ、あるいはパスタや白パンといった精製粉食品など)を取り除き、栄養価が高く妊娠時に適した食品を十分に備えておきましょう。こうしておくことで、適切な食事管理がずっと楽になります。
・賢い代替食品選びを行う ― マッシュポテトやフライドポテトの代わりに、サラダを注文しましょう。サラダにはマヨネーズやランチ・ドレッシング(ranch dressing)の代わりに、オリーブオイルやビネガーを軽くふりかけましょう。丸パンは避け、ハンバーガーはパンの代わりにレタスでラップして食べましょう。甘いものが食べたい時には、アイスクリームではなく、ヨーグルトやベリー類を選びましょう。1つ1つの食事を健康的なものに置き換えるだけで、大きな効果が現れます。
・毎回の食事メニューの日記をとる ― 朝食・昼食・夕食・間食に何を食べたのか、毎日記録をとることで、ズルができなくなります。というのも、妊娠中の女性の場合、1日に大きな食事を3回とる代わりに少量の食事を6回とるよう推奨されることが大抵のケースであり、1回の量を少なく、回数を多くする食生活に慣れていかなければならず、記録をとることで自身の食生活を強く意識することができるからです。
・妊婦用ビタミン剤を服用する ― どんなに努力しても、食生活の改善のみでは必要な栄養素の全てを補いきれない場合もあります ― しかし、その際には、妊婦用のビタミン剤を摂取することで、必要な栄養分を補うことが可能となります。
・食欲を抑制するものは避ける ― 食欲を抑制するとされている丸薬や飲料は、妊娠時に摂取すると身体に害を及ぼす可能性があるため、食事メニューからは常に外しておいてください。
・身体を大切にする ― もし普段不健康な食生活をしているのであれば、注意を払い、それによってあなたの1日、1週間、1ヵ月、あるいは妊娠生活そのものを台無しにしてしまわないようにしてください。毎回の食事を、健康的な選択をしていくための新しい機会ととらえ、よく考えるようにしてください。

アクティブな生活を送る

もしあなたがこれまであまり運動をしてこなかったのであれば、妊娠は新たに運動生活を始める絶好の機会です。この9ヵ月間に運動をすることで、次のようなメリットが生まれます。

・便秘や腫れ物の症状を抑える
・背中の痛みを軽減する
・日々の生活のためのエネルギーを得られる
・気持ちがより前向きになる(身体的運動に伴い分泌されるエンドルフィンによる)
・睡眠の質が良くなる
・筋緊張を促進し、体の芯を強化し、耐久力をつけることで、来たる苦痛に備えた身体をつくる(この全てが、いざ出産となった時に役に立つ)

毎日5分程度の運動からはじめ、1週ごとに5分ずつ増やしていきましょう。即ち、妊娠1週目は毎日5分、身体を動かす運動を行い、妊娠2週目には1日10分、妊娠3週目には1日15分、といった具合です。医者から特に指示が出ていない場合には、一般に推奨される1日30分の運動時間に達するまでこれを続けていき、その後は毎日30分の運動を心がけましょう。妊娠時の運動に適したオプションとして、

・ウォーキング(早歩き)
・水泳(体内に水が溜まってしまうのを防ぐ効果がある)
・マタニティヨガ

といったものが挙げられます。また、1日の行動に少しでも多く身体を動かすような選択肢を取り入れるだけでも、消費カロリー量が増え、運動の習慣が自然と身につくようになります。例えば、

・エレベーターの代わりに階段を使う
・バスや地下鉄などで、1つ前の停留所で降り、残りは歩いていく
・買い物の際に、店から遠い場所に車を止めるようにする
・今まで習慣にしていたランチタイムを半分にし、余った半分で近所をウォーキングする

などがあります。

より良い睡眠をとる

質の良い睡眠を取ることは、身体の健康維持にプラスになります ― しかしながら、「太りすぎ」又は「肥満」と診断されるような状態である場合には、睡眠中に異常な呼吸停止が生じる睡眠時無呼吸症候群の発症が見られることがあり、それによって自分では「十分に睡眠が取れた」と思っていても疲労感が一日中続いてしまう、というケースもあります。自分に睡眠時無呼吸の症状が生じていると思った際には、必ず医者に相談するようにしましょう。この症状によって、妊娠糖尿病(GDM)や子癇前症、妊娠後の高血圧症といった別の症状が引き起されるリスクが高まってしまうからです。医者から奨められる対処法としては、一般に以下のようなものが挙げられます。

・枕に関して、より高い位置で頭を支えてくれるものを選ぶ
・マウスピースを用いて、睡眠中、空気の通り道を常に開けておくようにする
・症状が深刻な場合には、シーパップ(CPAP / Continuous Positive Airway Pressure、一定の圧力で連続的に空気を送り込む小型の機械に、フェイスマスクを取り付けたもの)を用いる

モチベーションを保つ

特に、新しい食習慣や運動プランを実践し始めたばかりの段階では、モチベーションを保つのが大変なこともあるでしょう ― 妊娠中であれば、なおさらです。幸い、新しいライフスタイルに慣れるために実践できる選択肢はたくさんあり、それらは難しいものでもありません。

・支援グループに参加する ― 妊娠中で体重過多の女性のみを対象として支援を行っている団体がいくらかあります。地域の病院や産婦人科に相談をすることで、あなたと同じような状況にある他の女性と触れ合い、健康維持のためにあなた自身にぴったりのアドバイスを受けられるような場を紹介してもらうことができます。
・家族に協力してもらう ― あなたのパートナーや兄弟姉妹、子供に力を借りることで、モチベーションを得ることができるだけでなく、あなたの健康管理を通じて、家族全体の健康の促進にも繋がります。
・友達と一緒に運動する ― ウォーキングやエクササイズクラスは、妊娠生活の中で外に出る良いチャンスになります ― 加えて友達と一緒に行うことで、どんな運動でも、1人でやるよりもずっと楽しくなりますよ!
・フィットネスクラスのマタニティクラスを利用する ― マタニティヨガなどのフィットネスクラスを利用することで、あなたと同じゴール(もちろん、元気な赤ちゃんを産むこと!)を共有する他の女性と共に頑張ることができる良いチャンスとなり、またお互いから刺激を受ける絶好の場となります。
・運動中、他に楽しみをつくる ― お気に入りの音楽やTVショー、ポッドキャストなどを保存しておき、エクササイズ中に気分転換として用いましょう。

自分の食習慣や運動生活に変化をもたらすことは、初めのうちは、とてつもなく大変なもののように感じられます。それでも、困った時にはいつでも医者に相談して助けを得ることができる、ということを忘れないで下さい。あなたのパートナーや友達、家族についても同様です。また、あなたの究極の目的は「出産に備えた日々の体重の増加を、推奨される範囲内に抑える」ことであるということを、常に意識してください。それが、妊娠合併症のリスクを低減させ、あなたにとっての幸せの結晶が元気に産まれてくる助けとなるのです。

関連記事一覧