自閉症の初期兆候に関する質問について

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自閉症について

「先日、友人の子供が自閉症と診断されました。自分の子供が自閉症かどうかについて、どうしたらわかるでしょうか?注意を払っておいたほうがよい、自閉症の初期兆候はありますか?突然起こると聞いたことがありますが。」

ハイディー・ムルコフ(Heidi Murkoff、米国の妊娠・子育ての専門家)に尋ねてみました

心配に感じているのはあなただけではないと思います。自閉症スペクトラム障害(ASD)は、保護者にとっては恐ろしく感じるものです。それはこの病気があまり詳しく知られていないからです。医師と科学者は自閉症の原因を突き止めようとしているとことです。この病気は子供や大人における性格の特徴として、社会的交流を行うことが困難で、言語・非言語コミュニケーションの問題、繰り返しの行動、範囲が狭く、過度の関心を持つことなどが言われているものです。

米国の統計では自閉症の患者が増えていることが示されています。8歳になるまでの子供では50人に1人の割合で診断されていて、これは前年の調査では88人に1人の割合だったことから比べると増加しています。女の子と比べて男の子は4倍多いです。しかし、統計が全てのことを物語るわけではありません。専門家の中には、増加の原因は単純に、この病気の関心が高まっており、さらに幅広い範囲の発達障害の範囲が、自閉症スペクトラム障害の一部であると分類されるようになり、より多くの子供が自閉症の診断を受けているからではないかと分析しています。

ウワサでどんな話を聞いたとしても、ワクチン接種で自閉症となるわけではありません。実際、水疱瘡、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)、風疹(MMRワクチン)と自閉症の関連性について発表した研究者たちは、その研究結果を1998年に取り消しています。

テレビの見すぎが原因でしょうか?そんなことはありません。2006年の報告書の事実にも関わらず、コーネル大学の研究者たちは3歳以下の子供がテレビを見る時間が長くなるほど、自閉症になる率が上がることには関連性があるとの報告をしました。しかし、他の研究者たちは、遺伝子や染色体異常、妊娠中の風疹感染、妊娠中の胎児の脳へのダメージなどの自閉症になる潜在的要因があると言っています。研究者は、親の年齢も要因の一つであると言っています。また、ある研究では40歳以上の女性の出産では、25歳以下の女性が出産した時よりも自閉症を持って生まれてくる子供が2倍であると報告しています。さらに最新の研究では、自閉症と統合失調症の20-30%は程度が父親の年齢が高かったことと関連性があるとしています。研究者は、テレビの視聴時間の話をあげる前に、例えば家庭用品内に含まれる化学薬品や殺虫剤に曝される事やウィルスなど、いまだ解明されていない環境的要因により、こうした病気が起きる原因があるのかもしれないと考えています。

自閉症の原因が何であるかについては未だわからないままですが、自閉症の初期的兆候は必ずしも突然始まるわけではありません。自閉症の子供を持つ親は、生後18ヶ月頃に子供の言語の遅れに気づきます。実際、その月齢よりも早い時期に親が危険信号に気が付くことももあります。米国小児学会(the American Academy of Pediatrics)の2007年10月の報告によると、生後18ヶ月以前に、次のような自閉症のかすかな兆候をみることができるとのことです。

子供の名前を呼んでも振り向かない
親が「見て見て!」と何かを指差して言った時に、子供がそれを見ない、または子供が親に自分が興味のある物や事を指差して見せるない
あれこれと意味のない赤ちゃん言葉を話すことがない
笑顔を見せる月齢が遅い
他人と目を合わせることができない
ボールペン、懐中電灯、鍵、フィギュア人形などの固い物に愛着を持ち、毛布やぬいぐるみなど柔らかいものを好まない

この他に、小児科医によって自閉症と診断される判断基準となる、初期的兆候は次のものがあります。

生後12ヶ月までに、赤ちゃん言葉を言わない、指指しをしない、その他のジェスチャーをしない
生後16ヶ月までに何も言葉を発しない
生後24ヶ月までに二つ以上の言葉をつなげた文を言わない
どの年齢においても、言葉を話さない、社会性がない

このような兆候を心配している、または子供に自閉症の初期兆候が見られる場合は、小児科医に相談しましょう。小児科医は標準化されたスクリーニング検査方法を使い、子供が自閉症であるか、またはその疑いがあるかについて判断することができます。自閉症には完治させる方法はありませんが、小さい頃から対処することにより子供の人生は大きく変わります。行動治療法を用いることで、例えば社会性や言語能力を発達させることができ、薬物治療により衝動的行動や多動性を治療することができます。

上記のような症状が見られないけれど、子供が自閉症ではないか心配しているようであれば、落ち着いてみるようにしてください。子供の行動パターンに注意をしてみましょう。健康な子供であっても、時々恥ずかしがったり、よそよそしくすることがあることは覚えておきましょう。小児科医に質問をし、子供と過ごす楽しい時間を心配ばかりで過ごさないようにしましょう。子供は健康である可能性が高いのですから。

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