菜食主義・完全菜食主義の食事について

その他

菜食主義者とは

菜食主義者と完全菜食主義者は赤肉、鶏肉、猟鳥、魚、甲殻類(カニやロブスター)、そして如何なる動物性食品(ゼラチン等)も摂食しません。
菜食主義者は穀物、豆類、ナッツ、種子、果実、野菜、酪農製品、卵からなる食事を取ります。この中でも酪農製品と卵を摂取しない者は完全菜食主義者と呼ばれます。
・乳卵菜食主義
酪農製品と卵の両方が摂取されます。これが最も一般的な菜食主義の食事です。
・乳菜食主義
酪農製品は摂取しますが、卵を食べません。
・卵菜食主義
卵を取りますが、酪農製品を摂取しません。
・完全菜食主義
酪農製品、卵のいずれもも摂取しない上、この他のいかなる動物性食品もとりません。

菜食主義・完全菜食主義を始める際、何歳からが安全か

必要な栄養素を全て摂取できているのであれば、子供でも菜食主義・完全菜食主義の食事を取りながら健やかに育つことが出来ます。
子供は成長するにあたって大量のエネルギーとタンパク質を必要とします。また、菜食主義・完全菜食主義の食事を通して子供が十分な量の鉄分・カルシウム・ビタミンB12・ビタミンDを摂取することも大切です。
子供に肉や魚を抜いた食事(菜食主義)を取らせている、或いは如何なる動物性食品も与えていない(完全菜食主義)という場合は、子供にとって十分なタンパク質供給源がなければなりません。これには、卵、牛乳・チーズ等の酪農製品、大豆製食品、豆類、ナッツ、種子等が該当します。但し、五歳未満の幼児にナッツをそのまま与えてしまうと、喉に詰らせる危険がありますから、すりつぶしたり引いたりしなければなりません。この代わりに滑らかなナッツバターを用いるのも良いでしょう。
一歳未満で授乳を受けている乳児には、一日8.5-10mcgのビタミンDを含有するサプリメントを与えてビタミンD不足を防ぐ必要があります。
乳児用調整粉乳を取っている乳児には、調整粉乳摂取量が500mlを下回っていない限り、サプリメントを与えてはいけません。これは、調整粉乳にビタミンDが含まれているからです。
一日500ml以上の調整粉乳を摂取している場合を除いて、生後六ヶ月から五歳まではビタミンA・ビタミンCを含有するビタミン・サプリメントの摂取が推奨されます。
生後六ヶ月から五歳までの子供にとってビタミン・ドロップは特に重要です。ビタミンB12サプリメントが必要になる可能性もあります。子供がこの年齢層よりも上である場合は、食事の一環としてサプリメントを与えるべきか医師や栄養士と相談しましょう。

乳児・幼児は菜食主義的な食事を取れるか

菜食主義の食事を取っている妊婦で授乳している者は、ビタミンB12を余計に摂取しておく必要があるかもしれません。
子供に菜食主義の食事を取らせている場合は注意が必要です。若い子供は成長に欠かせないエネルギーやビタミンを摂取するために多彩な食物を取る必要があるのです。
完全菜食主義の食事は量が多く、繊維豊富です。これは、子供が十分なカロリーや栄養素を摂取する前に満腹感を覚えてしまう懸念があることを意味します。したがって、サプリメントが必要になるのです。

妊娠中に菜食主義や完全菜食主義を取ることは危険か

多彩でバランスの取れた食事が取れているのであれば、菜食主義・完全菜食主義でも妊婦と胎児の両方にとって十分な栄養素を得ることが可能です。しかしながら、十分な量の鉄分・ビタミンD・ビタミンB12を確保するのは困難かもしれません。
妊婦や授乳中の者を含む全ての成人女性は、一日10mcgのビタミンDを含有するサプリメントを摂取することが推奨されるのです。これはとりわけ冬の期間に当てはまります。また、妊娠することを考えている女性は葉酸サプリメントを妊娠12週間まで取り続けることが勧められます。

菜食主義的食事の健康上の利点とは

菜食主義はとても健康的ですが、食事から肉を取り除いた瞬間に自動的に健康的になるわけではありません。バランスの取れた食事を取る必要があるという点で菜食主義者は他の人と全く違いがないのです。菜食主義者は以下のことに注意する必要があります。
・多彩な果実や野菜を毎日少なくとも五人前摂取する
・じゃがいも、パン、米、パスタ等の澱粉質炭水化物食品を食事のベースとすること(可能な限り全粒粉系を選ぶ)
・酪農製品、或いはその代替食品を摂取する(豆乳やヨーグルト)
このとき、低脂肪・低糖のものを選ぶ
・豆類、卵、その他のタンパク質を取る
・不飽和の油・ジャム・バターを選び、摂取量は控えめにすること
・多量の液体を摂取する(例:一日当たりグラス6-8杯)
脂肪、食塩、砂糖が多量に含まれる飲食物を摂取している場合は、摂取頻度を少なめにして、摂取量を控えめにする必要があります。

菜食主義者と完全菜食主義者はビタミン・サプリメントが必要か

食事を上手に計画し、健康的でバランスの取れた(菜食主義・完全菜食主義的)食事がどのようにして作られ得るかを理解していれば、サプリメントに頼ることなく身体が必要な栄養素を全て確保できるはずです。
但し、食事を適切に計画しないと、必要不可欠な栄養素が欠乏してしまう可能性があります。菜食主義者は十分な鉄分とビタミンB12を取ること、完全菜食主義者は十分量のカルシウム、鉄分、そしてビタミンB12を取ることを忘れてはなりません。菜食主義・完全菜食主義の食事を取る者達の中でも、とりわけ女性が鉄分不足になりやすいと考えられています。

十分量の鉄分を取るには

鉄分の最良の供給源は肉類ではありますが、他にも鉄分豊富な食物はあります。
・エンドウ・ヒラマメ・ソラマメ等の豆類
・ナッツ
・ドライフルーツ(レーズン等)
クレソン・ブロッコリー・若いキャベツの葉等の青葉菜
・玄米や全粒粉パン等、全粒粉系の食物
・鉄分で栄養強化されたシリアル
成人男性が必要とする一日あたりの鉄分量は凡そ8.7mgで、成人女性に至っては14.8mgが必要です。ここで紹介した鉄分供給源を定期的に食事に組み込むことを忘れなければ、鉄分が不足する心配はありません。

十分量のカルシウムを取るには

カルシウムは骨を健全に保ちます。完全菜食主義者以外が摂取するカルシウムのほとんどは酪農製品からきます。ですから、完全菜食主義者はこの他の食物で十分量のカルシウムを確保することが重要です。
以下は完全菜食主義者のための良きカルシウム供給源です。
・栄養強化され甘みを加えられていない大豆、米、オートミルク
・葉の多い緑色野菜(ほうれん草は除く)
・アーモンド
・ゴマやタヒニ
・ドライフルーツ
・豆類
・全粒粉パンや白パン
成人は一日あたり700mgのカルシウムを必要とするため、完全菜食主義者はここで紹介している食材を定期的且つ多量に食事の中で摂取することが大切です。
身体がカルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要です。栄養強化されたマーガリン・バター、栄養強化された朝食用シリアルや卵黄はビタミンDを含みます。また、身体は日光にされされるときにビタミンDを生成します。ビタミンDが使用される度に骨は強くなります。これを効果的に行う方法が運動です。

鉄分・カルシウムを含む食事の例

・缶詰等のインゲンマメ(水分を抜かれ再加熱されたもの)100gは2mgの鉄分を含む
・若いキャベツの葉をゆでたもの80gは1.1mgの鉄分を含む(レーズン大さじ一杯の鉄分と同量)
・アーモンド25gは60mgのカルシウムを含有する
・ゆでたブロッコリー80gは28mgのカルシウムを含む
・全粒粉パン二切れ(80g)は凡そ1.9gの鉄分と85mgのカルシウムを含む

十分量のビタミンB12を取るには

ビタミンB12は本来動物性食品にのみ見られるものなので、完全菜食主義者にとってのビタミンB12供給源は限られます。したがってビタミンB12サプリメントが必要になる可能性もあります。酪農製品や卵を取れば、十分量は確保できます。
以下は完全菜食主義者のためのビタミンB12供給源です。
・マーマイト(ビタミンB12で栄養強化されている)等の酵母抽出物
・ビタミンB12で栄養強化された朝食用シリアル
・ビタミンB12で栄養強化された大豆製品
成人は一日あたり1.5マイクログラムのビタミンB12を必要とします。栄養強化食物の成分ラベルでビタミンB12含有量を確認しましょう。

菜食主義者と完全菜食主義者のためのオメガ三系脂肪酸供給源とは

以下は菜食主義・完全菜食主義に適したオメガ三系脂肪酸供給源です。
・亜麻仁油
・菜種油
・大豆油、大豆製品(豆腐等)
・くるみ
オメガ三系脂肪酸で強化された卵もまた菜食主義者にとっては良い供給源でしょう。
これらの食物から得られるオメガ三系脂肪酸には、脂っこい魚から得られるオメガ三系脂肪酸にみられる健康な心臓の維持・心臓病リスクの軽減といった効果は望めない、ということを示唆する研究結果もあります。
しかしながら、多彩な野菜や果実を毎日少なくとも五人前取り、飽和脂肪が豊富な食物や食塩の摂取量を削減することで心臓を健やかに保つことができるでしょう。

菜食主義者・完全菜食主義者に打ってつけのタンパク質供給源とは

ほとんどの菜食主義者は食事の中で十分量のタンパク質を取っています。以下は菜食主義に適したタンパク質供給源です。
・豆類
・シリアル(小麦、オート、米)
・大豆製品(豆腐、豆乳、大豆ミンチなどの植物性タンパク質)
・ナッツや種子
以下は完全菜食主義以外のためのものです。
・卵
・低脂肪の酪農製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
体細胞を形成・修復する際に必要なアミノ酸を適切に揃えるためにも、異なる供給源から多様なタンパク質を摂取することが不可欠なのです。

クォーン製品は完全菜食主義に適しているか

クォーン製品は必ずしも完全菜食主義に適しているわけではありません。ほとんどのクォーン製品は少量の卵白と牛乳の成分を含むため、完全菜食主義者には適しておりません。
但し、完全菜食主義者向けのクォーン製品もあります。製品のパッケージに、菜食主義に適合しているかどうかが示されているはずです。

運動する場合は特別な食事が必要か

菜食主義・完全菜食主義でも、運動をしながら特別な食事を取る必要はありません。運動をする菜食主義者への食事関連アドバイスは、非菜食主義者へのアドバイスと同様です。
ほとんどの菜食主義者は身体を成長させ回復させるのに必要な十分量のタンパク質を摂取できています。定期的に運動を行うのであれば、米・パスタ等の複合糖質をエネルギー源として摂取しましょう。また、激しい運動を行う場合は十分な液体もとりましょう。

有機果実や有機野菜を取ることはより健康的か

食物に含まれるビタミンやミネラル量は異なります。これは育てられた土壌、収穫された時期や貯蔵の方法などに左右されます。有機食物がより健康的であるということを示す科学的根拠はありません。有機食物を取るかどうかは一個人の選択次第であり、有機食物を取る人の多くは環境への配慮が理由です。
有機栽培かどうかとは関係なく、多量の野菜と果実を取ることが重要です。

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