菜食主義者・完全菜食主義者で、もうすぐ母となる人

妊娠中の食事
妊娠中に健康的な食事を取ることは、妊婦自身の健康と成長中の胎児の健康の両方にとって重要です。
妊娠中は、多彩でバランスの取れた食事を取ることが大切です。そうすることで妊婦自身の健康と胎児の成長や発達に必要な栄養素を得ることが出来ます。
菜食主義者・完全菜食主義者で、未来の母は、十分量の鉄分とビタミンB12(主に肉類や魚にみられる)を摂取する必要があります。
食事中の鉄分
以下は菜食主義者と完全菜食主義者に打ってつけの鉄分供給源です。
・豆類
・青野菜
・全粒粉パン
・卵(卵を食べる菜食主義者)
・栄養強化された朝食用シリアル(鉄分添加)
・ドライフルーツ(アプリコット等)
食事中のビタミンB12
以下は菜食主義者に打ってつけのビタミンB12供給源です。
・牛乳・チーズ(可能な限り低脂肪のものを選ぶ)
・卵
以下は菜食主義者と完全菜食主義者にとってのものです。
・栄養強化された朝食シリアル(可能な限り低糖のものを選ぶ)
・栄養強化されて、甘みを加えられていない豆乳
・酵母抽出品
完全菜食主義者にとってのビタミンB12供給源は限られているため、ビタミン・サプリメントが必要になる可能性もあります。
食事中のビタミンD
人は日光を浴びるとビタミンDが体内で生成されます。この栄養素は菜食主義的食事においては、以下のようなもので見られます。
・卵黄
・ビタミンDで栄養強化された食物(朝食用シリアルやバター)
・栄養補助食品
ビタミンDを含む食物の数はとても少ないので、ビタミンDを本来含んでいる食物或いは栄養強化された食物のみから十分量を確保することは難しいかもしれません。したがって妊婦や授乳中の女性を含める全ての成人は、毎日10mcgのビタミンDを含有するサプリメントを取ることが推奨されるのです。これはとりわけ冬季に当てはまります。
完全菜食主義者は製品中のビタミンDが動物由来のものでないことを成分ラベルで確認する必要があります。
三月下旬から九月下旬までは、ほとんどの人は日光を浴びることで得られるビタミンDで十分な量が確保できるはずです。
食事中のカルシウム
完全菜食主義者は、十分な量のカルシウムをも摂取する必要があります。
これは、完全菜食主義でない人が得ているカルシウムの多くが酪農製品からくるからです。
以下は完全菜食主義者に打ってつけのカルシウム供給源です。
・青葉菜
・豆類
・栄養強化され甘みを加えられていない米、オートドリンク
・全粒粉パン、白パン
・カルシウムで強化された豆腐
・ゴマやタヒニ
・ドライフルーツ
妊婦自身と胎児にとって十分な量の栄養素をどのようにして得るべきかについては助産師や主治医に相談しましょう。
妊娠中に摂取を控えるべき食物
妊婦であれば、取っている食事を問わず、白カビタイプのチーズ(カマンベールやブリ)や青カビタイプのチーズ(ダニッシュ・ブルーやロックフェール)は食べないよう推奨されています。これらのチーズは、流産や死産、或いは新生児に重病をもたらす可能性を持つリステリアという物質を含んでいるのです。
妊婦はパテ(菜食主義用パテを含む)もまた食べないよう推奨されています。これらもリステリアを含んでいる可能性があるのです。菜食主義用パテの中には、生卵を含むものもあり、サルモネラ菌感染のリスクもはらんでいるのです。
妊婦は、生、或いは部分的に調理された卵の摂取は控えるよう勧められます。
授乳と完全菜食主義
完全菜食主義的食生活の一環としてビタミンB12やビタミンDサプリメントを摂取している場合は、授乳中も取り続けてください。
また、他のビタミンやミネラルで必要な全てのものも、多彩でバランスの取れた食事を通して摂取する必要があります。
胎児のためのビタミン
授乳を受けている一歳未満の乳児は8.5-10mcgのビタミンDを含むサプリメントを毎日与えられねばなりません。
調整粉乳を摂取している乳児には、調整粉乳摂取量が一日500mlを下回らない限り、ビタミンDサプリメントを与えてはいけません。これは、調整粉乳がビタミンDで栄養強化されているからです。
生後六ヶ月から五歳までは、調整粉乳摂取量が一日500mlを超えている場合を除いて、ビタミンAやCを含有するビタミン・サプリメントの摂取が推奨されます。
ニーズに合わせて薬局で入手しましょう。
生後六ヶ月頃まで乳児に母乳のみを与え続けることで、胎児を病気や感染から守ることができます。
母乳を飲んでいない乳児は下痢、嘔吐、呼吸器感染に陥りやすくなります。
母にとっては、授乳することによって乳癌の可能性が減少し、卵巣癌のリスクも多少軽減されます。乳児に固形食物を与え始めてからも、多彩な食事の傍らで母乳が与えられ続けることが大切です。
完全菜食主義者で授乳を行っていない母にとっては、大豆由来の調整粉乳が牛乳由来の調整粉乳の唯一の代替となります。大豆調整粉乳を用いる際は助産師、主治医等に相談しましょう。