卵管結紮という選択肢〜避妊方法〜

卵管結紮について
もしこれ以上、子供を作る気がなく、コンドームやピルといった短期ではなく、永久に避妊を考えているのであれば、卵管結紮という選択肢があります。
男性のパートナーも、永久的な避妊を望んでいるのあれば、精管切除術(パイプカット)という方法もあります。パイプカットは女性の避妊手術よりも簡単で、リスクも低いと考えられています。しかし、男性が手術を望んでいなったり、他の理由により女性側で手術を考えられているのであれば、以下を参考に、卵管結紮について学んでみてください。
卵管結紮を受ける条件
卵管結紮は永久的な手術とされているため、夫婦の考えとして、これ以上子供を作らないと、完全に確信している人にだけ適応されます。また、帝王切開と同時に、また出産後48時間以内に卵管結紮の手術を行うこともできます。ただそれ以降であっても、いつでも手術を受けることができます。
卵管結紮に適さない条件
もしまだ少しでも、子供を増やしたいという気持ちがあるのであれば、他の避妊法をとられたほうがよいでしょう。
卵管結紮は手術が必要なため、肥満の人や心臓病などの慢性的な疾患を持っている人、また、過去に複雑な腹部手術を受けていた人は、手術ができない場合もあります。
卵管結紮の手術について
卵管結紮は、かつては腹部の大手術とみなされていましたが、現在は外来診察行うことができます。手術は通常、局部麻酔のもと、30分ほどですみます。
手術の前日は、血液が固まりにくくなる薬(アスピリンやイブプロフェン等)の服用を控えるように推奨されるかもしれません。また手術の8時間前以降は、飲食を控えるよう支持を受けるでしょう。
手術当日は、現状妊娠していないことを確実にするため、妊娠検査を行います。手術では、まずおへその近くを少し切開し、子宮と卵管がしっかりと見えるよう、ガスを腹部に送り込みます。それから切開部分にライトと器具を挿入し、卵管を閉鎖します。閉鎖の方法はクリップで留める、避妊リングをかける、チューブを切断する、傷跡を焼いて卵管を閉鎖する、など、医師や病院によって様々です。
手術後の治癒について
卵管結紮の手術は、日帰りで受けることができます。術後は以下の症状がでることがありますが、通常は数日で収まります。
・腹部の痙攣
・ガス、または腫脹
・胃の腫れ、または肩の痛み(処置中に挿入されたガスによる)
・めまい
・疲労
・吐き気
・喉の痛み(全身麻酔を使用した場合は呼吸チューブから)
・ 軽度の膣出血(出産後に手術を受けた場合は、通常の出産後の出血が数日から数週間続くことがあります)
仕事をしているのであれば、無理せず休みをとりましょう。手術後少なくとも1週間は切開部に触れないようにして、切開部の感染を避けてください。日常生活を再開できるまはで、通常2〜5日、性行為は通常、1週間以内には再開できるとされています。
医者に相談するタイミング
次の深刻な副作用が現れる場合は、すぐに医師にご相談ください。
・38度より高い発熱
・気絶や気持ちの悪い気分
・12時間後に持続または悪化する切開部位での出血
・12時間後にも重度の腹痛が持続または悪化する
・出血が激しかったり、他のあらゆる切開部からの出血が持続、または悪化する
卵管結紮の効果は絶対?
卵管結紮は99%以上有効とされています。つまり、今後は避妊の心配がまったく無くなるということです。また、将来の卵巣癌のリスクも低下させると言われています。
術後の妊娠のリスクについて
生理がこなかったり、妊娠検査で陽性が出た場合は、すぐに医師に知らせてください。手術後、妊娠する可能性は非常にわずかですが、中には子宮外で妊娠ケースもあります。ただそれでも、大多数の女性にとっては、卵管結紮は非常にリスクが少なく、安全性の高い、永久的な避妊方法であるといえるでしょう。
また膀胱感染、血管損傷、外科手術後の内出血など、一般的な腹部手術と同様のリスクもありますが、比較的軽微であり、非常にまれでもあります。
過去には、卵管結紮を受けている女性には、うつ病や疲労から月経困難症の増加、閉経早期までの症状を伴う「卵管結紮症候群」を発症する可能性が示唆されたことがありました。しかし後に、この症候群はまったく存在しないことが裏付けられています。