食後に10分ウォーキングをすると糖尿病対策になる

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食後のウォーキング

「ほかの時間よりは食後に少しをウォーキングするほうが血糖値に良い。」Daioly Telegraphはこのように語っています。
この主張は、毎食後に10分ウォーキングしたほうが、ほかの時間に1日30分ウォーキングするよりも、2型糖尿病患者の血糖値が低下したことを確認した調査に基づいています。
成人41人を対象としたこの研究では、食事の直後に短時間頻繁に歩くと、1回でまとめて30分歩くのと比較して血糖値が約12%低下することが分かりました。被験者があまり運動しない人で、炭水化物摂取量が高い夕食の後が一番効果が見られました。
研究者は食事後のウォーキングがなぜ血液中のグルコースを低下させるのにより効果的だったのかを説明していません。しかし、毎食後の短いウォーキングがインスリン注射の必要性を減らし、体重管理の一助になると信じています。研究者は、現在の身体活動ガイドラインを変更して、食後の運動、特にパン、米、ジャガイモ、パスタなどの炭水化物がたくさんある食事の後には運動を推奨する必要があると述べています。
英国糖尿病協会によると、英国には糖尿病患者が400万人おり、その90%が2型糖尿病です。 2型糖尿病は、体が適切に機能するのに十分なインスリンを産生できない、または体内の細胞がインスリンに反応しない場合に生じます。
この研究の期間は短いため、効果が持続し血糖値や糖尿病が全体的に改善されるかどうかは確かではありません。しかし結果は興味深いものであり、今後の研究によって確認されれば、生活習慣を少し変えるだけで糖尿病の人の生活の質が上がる可能性があります。

この論文は誰が執筆しましたか?

ニュージーランドのUniversity of Otagoの研究者によって行われました。資金は、University of Otagoとニュージーランド人工肢サービスから援助されました。糖化アルブミン試薬はAsahi Kaseiが提供しました。査読の上で、Medical Journal Diabetologiaに掲載されました。
メディアによる研究の報道は概して正確でした。しかし、この研究の被験者は糖尿病患者だったため、Daily expressのようにリスクが「削減される」と言うと間違いかもしれません。

これはどんな研究でしたか?

ウォーキングをする(食事の時間と関係した)タイミングによって、血糖値が下がって糖尿病患者に有益になるかどうかを調べることを目的とした、無作為抽出の異分野にまたがる研究でした。具体的には、毎食後の10分の運動が1回30分のストレッチよりも有効かどうか調べるものでした。
この研究は被験者自らが行動するものである上、被験者のグループ分けは無作為だったので、この研究の構想は目的に適った良い方法です。理論的には、こうすることで被験者間の特性や結果に影響を及ぼしかねない潜在的な要因の違いを相殺でき、研究結果が他の要因の影響ではなく研究で指示した実験によるものであることが確実にできます。
運動が血糖値を下げるので、糖尿病患者は定期的に運動することが重要です。現在、サイクリングや速めのウォーキングなど、週に中程度の有酸素運動を150分行うことが推奨されています。

被験者はどんな人ですか?

18〜75歳の2型糖尿病の成人が被験者です。一般開業医、病院の外来診療所、ローカルな糖尿病コミュニティ、慢性疾患の人向けサービスで被験者を募集しました。妊娠または授乳中の人、必要な身体活動ができない、またはそうしたくない人は含まれていませんでした。
被験者は2つのグループに無作為に割り振られ、実験はそれぞれ14日間続けた後30日間の休憩が入れられました。その後、被験者が行う実験を交換しました。被験者が指示された実験は以下の2つです。
・毎日30分ウォーキング
・毎食後10分ウォーキング
歩行時間や座っている時間、座りがちかどうかなどの運動データは、起床時間中に着用した運動モニター装置を用いて14日間にわたって調査しました。
主な結果は、食事の3時間後に測っていた食事後の血液中のグルコース値(食後血糖値)に表れました。被験者の食事データは食物組成表を用いて分析しました。
どちらのグループの被験者も、実験開始後1日目、7日目、14日目に、以下の検査のために病院に行きました。
1日目―空腹時血液サンプル採取、身体測定、運動計画の処方、運動モニター装着
7日目 -―連続的グルコースモニタリングシステム装着、ポータブルグルコメーター付与、7日間の食事記録をつけ始める
14日目―空腹時血液サンプル採取、身体測定、連続的グルコースモニタリングシステムと運動モニターをはずす、食事記録を提出
どちらの実験でも同じ一連の手順を行いました。

主な研究結果はどのようなものでしたか?

被験者は平均年齢60歳で、平均して10年糖尿病を患う41人の成人でした。
この研究では、食事後にウォーキングした被験者は、毎日1回ウォーキングする被験者よりも食後血糖値が12%低かったことが分かりました。炭水化物摂取量が多かった夕食後に効果が最大になり、22%でした。夕食後は、最も活発に活動する時間帯でもあります。
2つの異なる実験に関連する副作用はありませんでした。 1人は30日の休憩中に死亡しましたが、これは試験に関連していませんでした。

研究者はどのように結果を解釈しましたか?

研究者は、食事後の運動が「食事後のグルコースレベルを低下させるためだった、インスリン処方や食事時の追加のインスリン注射を避けることができる」と結論付けました。
「食事後の運動のメリットを考慮して、特に炭水化物が多量に含まれている食事の場合、現行のガイドラインを修正して食事後の運動について言及すべきであることを示唆しています。」

結論

この無作為抽出の異分野にまたがる調査は、1日1回30分間のウォーキングと比較して、毎食後10分間のウォーキングのほうが2型糖尿病患者の血糖値をさらに低下させることを調査することを目的としています。
この研究では、食後に短く頻繁にウォーキングすると、1回ウォーキングするよりも血糖値が低くなることが分かりました。この知見に基づいて現在のガイドラインを変更し、特に食事に炭水化物が多い場合は食事後の運動を指示する必要があると研究者は考えています。
この研究はうまく構成され、結果を左右する要因を減らすための努力を行っています。
この研究の限界は短期間であることです。食事後のウォーキングの効果が長期的であるかどうかは確信できませんし、血糖値の差(約0.5mmol/l低下)が糖尿病患者に意味ある差をもたらすかどうかはわかりません。
被験者は、実験期間中は監視されていたわけではなかったので、食生活や運動習慣が期間中どのようなものであったかは分かりませんでした。これが全体の知見に影響を与えている可能性があります。
また、この運動習慣が糖尿病ではない人や糖尿病前症の人の、糖尿病のリスクを軽減するかどうかはわかりません。
研究者は食事後のウォーキングがなぜ血液中のグルコースを低下させるのにより効果的だったのかを説明していません。しかし、毎食後の短いウォーキングがインスリン注射の必要性を減らし、体重管理の一助になると信じています。
この研究結果は確かに興味深いものであり、さらなる研究によって正確であることが確認されれば、この単純な生活習慣の変化が糖尿病患者に朗報となることになります。

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