分娩後の会陰部痛が起こったときの対処法について

会陰部痛について
会陰部が痛むのは、分娩後によく起こりうる症状の一つですが、症状を和らげることは可能です。
出産で一番辛いのは、産むときだと思っている人が大半だと思います。ですが、出産後も、痛みと闘わなければならないことが多いのです。3,000g前後の赤ちゃんが小さな穴から出てくるということは、会陰部の不快感につながりますし、場合によっては裂けてしまうこともあります。陣痛の苦い記憶を忘れようとしている中でも、会陰部が敏感になったり、刺激を受けやすい状態にあるのです。
完治するまでの時間と、会陰部の痛みの程度は、出産したときの状況によって異なります。一般的に見られる症状は、次のとおりです。
・経膣分娩で会陰部が裂けなかった場合:出産後、会陰部全体と、直腸が腫れます。3~5週間程度、不快感が続く傾向にあります。
・会陰部が裂けた、もしくは会陰切開をした場合:傷は一週間から10日ほどで治りますが、痛みや敏感になる期間は6週間以上続く可能性があります。
・一度帝王切開を経験した人が経膣分娩をする場合:いきんだ時間と発露(分娩中に赤ちゃんの頭が会陰からみえたまま引っ込まなくなる状態)に近い状態が続いた時間によっては、出産後に不快感を覚えることがあります。
次のようなことは、出産の方法に関わらず、分娩後の会陰部痛を和らげるのに効果的です。
・清潔に保つ
排尿中と排尿後には、ウォシュレットで洗い、尿が裂けた部分を刺激しないようにしましょう。
・冷やす
腫れと痛みを和らげるために、手術用のゴム手袋に氷を入れたものや、保冷剤などを患部に当ててください。出産後24時間は、数時間おきに冷やしてください。
・温める
20分程度の半身浴を一日に数回したり、携帯カイロを当てると不快感が和らぐことがあります。
・圧迫しない
会陰部を圧迫しないために、できる限り体の側面を下にして寝るようにし、長時間立ちっぱなしや座りっぱなしを避けるようにしてください。クッション(ドーナッツ型のものだとなおよい)や浮き輪(痔に悩む人がよく使う)に座ると楽かもしれません。座る前に、お尻の筋肉をきつくします。
・しめつけない
特に下着がきついと、患部が擦れたり刺激されるため、治りが遅くなります。会陰部の通気性がよくなるように、洋服の質などにも工夫するようにしましょう。
・普通に過ごす
排便のときに痛む場合は、水分をたくさんとり、便秘を予防しましょう。また、食物繊維を多くとることで、腸の緊張を和らげます。担当医に便秘を解消するための薬や便をやわらかくするための薬について相談してみても良いでしょう。
出産後、痔になったり、肛門が裂けてしまう人もいます。痛みの程度は軽い人からひどい人までいますが、ケアをし、時間がたてば治ります。