スキニージーンズの症例報告でメディアが大騒ぎ

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スキニージーンズの症例報告

「スキニージーンズは健康に悪い」との報告を受けて、英国のメディアはお祭り騒ぎをしました。
この報告の論調からすると、流行の最先端をいく大群が揃ってスキニージーンズ関連の健康上の問題を抱えていると思うかもしれません。実際は、たった1つの症例報告で大騒ぎが発生しました。
その症例とは、オーストラリアのある女性がスキニージーンズを履いて長時間しゃがんだ後、足首が極度に弱ったというものです。彼女は転倒して自分の力で起き上がれなくなり、ジーンズを切って回復するまで4日間入院することになりました。
この女性はコンパートメント症候群と呼ばれる病気を発症したと考えられています。コンパートメント症候群とは、筋肉の束で囲まれた部分に圧力がかかって筋肉や神経の機能に悪影響を及ぼすものです。例えば圧挫損傷の結果として、または組織のふくらみを締め付けてしまうプラスチック製ギプスを着用している人に起こることがあります。
多くの人がスキニージーンズを着ていること、このような重大な問題が報告されるのは初めてであることを考えると、発生は稀である可能性が高いです。長期間しゃがむことが分かっている場合は、快適性と安全性のためだけにも、よりゆるいズボンを履く方が常識的にはよいでしょう。また、定期的に休憩をとって足のストレッチをきちんとするようにしましょう。

この症例報告は誰が執筆しましたか?

この症例報告は、オーストラリアのRoyal Adelaide Hospitalの研究者によって書かれたものです。資金提供源は特に報告されておらず、研究者らは利害関係を報告していません。査読された上でJournal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatryに掲載されました。
多くのニュース媒体がこの記事を取り上げました。
BBCニュースとGuardianは、しゃがんでいたことが主要な原因であり、スキニージーンズがさらに悪化させたことをはっきり述べました。Daily Mailはスキニージーンズに焦点を当て、スキニージーンズが「脚の筋肉への血液供給を大幅に減らし、筋肉を腫れさせて隣接した神経の圧迫を引き起こす」可能性を示唆しています。この記事はあまり正確とは言えません。医師は、女性の足への血液供給は正常であり、長時間しゃがんでいたことが問題の始まりで、スキニージーンズはそれを悪化させたと考えているからです。Daily Mailは記事の後半になるまでしゃがんでいたことについて言及していません。

これはどんな研究でしたか?

これは、足首に重度の衰弱を呈して病院に運ばれた女性のこと、医者の発見、彼女がどのように回復したかを記述する症例報告です。
医者は自分が見た稀な症例や、医学文献にまだ記載されていない現象の報告を発表することがよくあります。このような報告は、以前に観察されたことのない稀な病気や珍しい副作用、合併症を記述するのに役立ちます。ただし、一人の人物しか取り上げられていないので、これらの症例を引き起こす原因を特定することや、その発生頻度を知ることは難しいでしょう。

報告内容はどのようなものですか?

女性の症状と調査の結果について医者は説明しています。

主な報告結果は何でしたか?

35歳の女性は、足首が極度に衰弱して転倒し、自ら立ち上がることができなくなって入院しました。
医者は、入院する前日に彼女が親戚の引っ越しを手伝っおり、戸棚をきれいにするために何時間も座っていたことを知りました。彼女はこの作業の間スキニージーンズを履いていて、スキニージーンズが日中履いている間にきつくなっているように感じました。家に帰るときに足の感覚がなくなっていること気付き、床から足を上手く上げることができなくなりました。その結果つまずいて転倒しました。彼女はその後見つかるまで、床で倒れたまま数時間を費やしました。
医者が彼女を診察したときは、下肢が腫れてジーンズを切らなければなりませんでした。彼女の足首は弱くなって足の動きが悪く、足の感覚や下肢の側面の感覚も低下していました。彼女の腰と膝は正常な筋力を示しました。
彼女の足を通る神経の1つが、電気信号を足に適切に伝えていないことが分かりました。検査の結果筋肉に損傷が見つかり、筋肉に多大な圧力がかかったときに起こる「コンパートメント症候群」と呼ばれるものあることがわかりました。また、脚の下の神経に問題がありました。
女性は静脈内輸血をして脚は徐々に回復しました。4日後、彼女は病院から退院し、自力で歩くことができるようになりました。

研究者はどのように結果を解釈しましたか?

女性が発症したような神経の異状は、長時間しゃがむなど神経が膝に押し付けられることが原因になることがあると知られてます。その女性がしゃがんでいたことがおそらく問題の始まりであり、ふくらはぎの腫れを引き起こしたと考えています。この腫れがふくらはぎの他の神経に問題を引き起こし、スキニージーンズが腫れた足にさらに圧力をかけて、これをさらに悪化させたと思われます。スキニージーンズで太ももの神経が圧迫される症例は報告されていますが、下肢の神経に異状が出たこのケースは、「タイトなジーンズを着用する際の新しい神経学的合併症」だと研究者は言っています。

結論

本研究では、スキニージーンズを履いて長時間しゃがんでいたことが足首の衰弱につながったと述べています。
このような1つのみの症例では、何が原因であるかを確実に特定することは困難ですが、医師は症例に付随する状況を見て、どのように説明できるかを考えます。おそらく問題を引き起こしたのは長時間しゃがんでいたことだと結論づけましたが、女性の足が腫れ始めたあとは、スキニージーンズが悪化させたと思われます。
多くの人がスキニージーンズを着ていること、このような重大な問題が報告されるのは初めてであることを考えると、発生は稀である可能性が高いです。長期間しゃがむことが分かっている場合は、快適性と安全性のためだけにも、よりゆるいズボンを履く方が常識的にはよいでしょう。また、定期的に休憩をとって足のストレッチをきちんとするようにしましょう。「ファッションの犠牲者」になりたくはないでしょう。

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