強い骨を生涯維持するためのコツについて

骨の健康について
骨の健康は、年金と似ている部分があります。若い頃には恩恵を気にすることは難しいですが、早いうちから対策を始めれば始めただけ、後々良いことが起きます。
早くから骨の健康を気遣うということは、投資のようなもので、気遣えば気遣うほど、年をとったときに健康で自立した生活が送れるという配当金がもらえるようなイメージです。
年金と同様、始めるのが遅すぎるということはありません。どんな年齢であっても、骨の健康のためにできることはたくさんあります。
骨を健康に保つということは、骨単独の問題ではありません。「年を重ねたときの生活の質も大きく関係してきます」と、Age UKというイギリスのチャリティー団体に所属するルース・イスデンさんは話します。
「骨の健康を維持するということは、年をとっても趣味などの生活の楽しみを続けられるようにするためでもあります」と彼女は言います。
年をとると、骨が脆くなったり(骨粗しょう症)転倒によって骨を折ったりするリスクが高まります。
骨折が生活を変えてしまう
イギリスでは、65歳以上の三人に一人が、80歳以上にいたっては半数が転倒するといいます。50歳以上の女性の二人に一人、男性の五人に一人が、骨粗しょう症が原因で、手首、腰、脊椎などの骨折を引き起こしています。
骨折したときの年齢が上がるほど、生活が大きく変わってしまう危険性があります。疲労感、自信喪失、自立した生活の喪失、ときには死につながってしまいます。
腰の骨を損傷してしまうと、お年寄りの半数以上が以前の生活ができなくなり、五人に一人が三ヶ月以内に亡くなってしまいます。
お年寄りが自信をなくしてしまい、治療や療養が長引いてしまう一番の原因は、転倒による怪我とも言われています。
対策
こうであってはならない、と話すのは、イギリスのロイヤル・コーンウォール病院のリウマチ専門医であるアントニー・ウルフ先生です。「骨粗しょう症や転倒は、年をとる上で避けられないものではありません。予防法はたくさんあります」と彼は話します。
骨粗しょう症の予防は、早ければ、骨の成長が始まる幼少期からはじめることができ、一生涯続けることができます。「実際は、子宮の中で赤ちゃんの骨が形成される時期から、健康な骨を維持するための対策が始められています」と、ウルフ先生は語ります。「年を重ねても健康な骨を維持するためには、一生かけて骨をケアしなければならないのです」
一生強くて健康な骨を維持するためのコツは、以下の通りです。
・カルシウムを多く含む健康でバランスの良い食生活
・太陽の光、食べ物、サプリメントでビタミンDを補う
・定期的な運動
・喫煙やお酒の飲みすぎ、その他の健康を害するものを避ける
更年期障害、骨粗しょう症、骨折のリスクの高い人にも、上記は効果的です。骨量の減少を防ぎ、転倒のリスクを低くします。
お年寄りが強い骨を作って維持できるよう、食事や運動についてアドバイスをもらうようにしましょう。
骨が形成される年齢
骨が最も成長するのは、20代の前半までです。たとえば、11歳から13歳までの期間に成長した骨量と同じ量が、更年期障害に陥るまでの30年間で失われてしまうと言います。研究によって、10代で体操をやっている子どもは、あまり活発でない同年代の子どもよりも強い骨を持っていることがわかってきました。
若い頃に骨が丈夫だと、加齢によって減る骨量が少なく済みます。35歳以降は、加齢の現象の一つとして、骨量の減りが年々多くなっていきます。
今後10年のあいだに、骨粗しょう症や骨折のリスクがあると思ったら、今から対策を始めるようにしましょう。
転倒を防ぐために
骨粗しょう症の人は骨が弱いですが、骨折の原因は転倒によるものがほとんどです。
転倒の危険性を100%排除することは難しいですが、発生を最小限に抑えるために日ごろからできることはあります。
転倒のリスクが高い人の転倒を予防するために有効な方法は、以下の通りです。
・筋力やバランス感覚を養うトレーニング
・家の中に転倒の危険のある場所や物がないかチェックする
・視力を調べる
・バランス感覚を弱くする可能性のある薬を見直す
「運動や体操は、加齢や病気によって失われた強い骨を少しずつ元の状態に近づけるのに役立ちます」とウルフ先生は言います。
研究によると、筋力やバランス感覚を養う運動を適切に行えば、転倒のリスクを35%から54%減らすことができるといいます。
Age UKによると、こうした運動を行うことで、腰の骨を折ることが原因で亡くなる人を年間7,000人、一日あたり19人減らすことができるといいます。