ザ・ファストダイエット(The Fast Diet)について

約束
この場合の「Fast」というのは、スピードに関することではありません。「断食する(fasting)」ということです。
このダイエットは英国で始まったものですが、基本的に週2回断食することによって、極めて徹底的にカロリーを減らすというものです。これは全ての人にとって安全であるというわけではないので、このダイエットを行おうと考えている場合には、医者に相談しましょう。
The Fast Dietという本の中では、妊娠している場合や標準体重に達していない場合、摂食障害や糖尿病になったことがある場合には断食するべきではないこと、そして薬剤を服用している場合にはまず医者に相談するべきであることが述べられています。このダイエットは、子供、10代の若者、体の弱いお年寄り、体調が優れなかったり熱がある人にも推奨されていません。
Michael Mosley医学博士とMimi Spencer氏によって書かれたThe Fast Dietの背後にある基本的なコンセプトは、週に5日は普通の食事をし、その他の2日はカロリーを厳しく制限した食事をするというものです。Mosley氏は、医者に「標準より数ポンド太りすぎているだけであるものの、コレステロール値は高く、血糖値はあさっての方へ向いている」と言われた時に、この「一時的な断食」によるダイエットを試しました。彼は、断食は難しいことであるということは知っていたが、空腹による苦しみは想像していたよりも早く消えてしまったと述べています。断食によって感覚や知能が鋭くなったとも感じたそうです。さらに、このダイエットは彼の望んでいた結果を全て与えてくれたということです。
ウェブサイトでは、Academy of Nutrition and Dieteticsが、一時的な断食によるダイエットによって慢性的な病気を予防することができるかもしれないという証拠はあるものの、さらなる研究が必要であると述べています。Academy of Nutrition and Dieteticsは、「現実的な長期解決法ではない」という理由から、このダイエットを推奨していません。このアカデミーは、「断食の変化によって短気になったり、日中の眠気や夜間の不眠に繋がったり、脱水症状が起こってしまう可能性すらある」ということも指摘しています。
食べられるもの、食べられないもの
週に5日は普通の食事をし、他の2日は断食をします。断食をする日は2日連続にならないようにしましょう。断食する日の間に少なくとも1日は普通の食事をする日を挟みましょう。
断食をする日の間は、食事をすることはできますが、食べ過ぎてはいけません。女性は1日に500カロリー、男性は600カロリーを摂取するようにしましょう。この数値は通常推奨されているものよりはるかに少ないです。年齢、性別、どのくらい活動的であるかなどによって、3~4倍多くカロリーを摂ることができます。
The Fast Dietでは、断食の日には、脂肪の少ないタンパク質、野菜、果物を食べ、2回の少量の食事とお菓子をいくつか食べることを推奨しています。
断食の日に摂取する500カロリーの中には、生のブルーベリーの入ったオートミール(朝食)、タンジェリンオレンジ(おやつ)、鶏肉と野菜を炒めたもの(夕食)が含まれるかもしれません。水をたくさん飲むことになるでしょうし、お茶やコーヒー(ミルクや砂糖の入っていないもの)、ソーダ水などのカロリーのない飲み物も飲むことになるかもしれません。
普通の食事をする5日間には、どんなものでも食べることができます。驚くことに、このダイエットについて研究を行った研究チームは、このダイエットをしている人は、断食をしない日でもがつがつ食べることはなかったということを発見しました。
The Fast Dietは、断食をしている日にアルコールを飲まないように強く推奨しており、また断食をしていない日にアルコールを飲む場合は、適度な量しか飲まないようにと提示しています。そして、減量目標に到達した場合でも、その体重を維持するために週に1度は断食する日を設けることを推奨しています。
努力レベル:中
料理と買い物:断食をしない日にはいつものように料理や食事をし、断食をする日には極めて制限された料理を食べることになります。本には、断食をする日のためのメニューとレシピがほぼ1ヶ月分載っています。
加工食品:必要ありません。
直接面談:必要ありません。
運動:The Fast Dietは運動することを推奨していますが、ウェブサイトでは、断食する日には持久力トレーニングをたくさんやろうとせず、気分が悪くなったら運動を止めるように忠告しています。
食事制限があったり食べられないものがある人でもできる?
このプランはベジタリアンやビーガン用に調整することもできます。断食をする日にはグルテンを含まない食事が必要となります。ただし、本の中ではこのような食事のための特別なプランは紹介されていません。
その他に知っておくべきこと
費用:食料雑貨類にかかる費用のみです。
支援:自分自身でダイエットを行うこともできますが、オンライン上のファーラムではたくさんのヒントを得たり話し合ったりすることができます。
Michael Smith医師の言葉:効果はある?
多くの健康の専門家たちは断食を勧めていませんが、もしやろうとするならば、このプランを考えた人は適切に断食を行っています。週に数日間500~600カロリーしか食べない日があるというのは辛いことでしょうけれど、実行することのできるものです。
専門家がカロリーを減らさないように言う理由のひとつは、それによって新陳代謝が遅くなり、体重減少を更に困難なものにしてしまう可能性があるということです。しかし、研究によって、時々断食をすることはダイエットにとっては効果的な方法であるかもしれないということが明らかになっています。さらに、毎日ではなく数日間カロリーを減らすことで筋肉が失われずに済み、ほとんど脂肪のみを落とすことができるかもしれないのです。
Mosley氏のチームは、断食をしていない日には皆むやみやたらに食べないということを発見しました。別の研究ではそれが正しいかもしれないということを示唆しています。しかし、断食をしていない日にダイエットのための努力を絶対にサボらないようにできるかどうかは、結局は自分自身に懸かっているのです。
特定の健康状態に影響する?
糖尿病である場合、このダイエットプランは絶対に適していないものです。これは危険なものである可能性がありますし(特に薬を服用している場合)、血糖値を安全でないレベル―さらには死に至るレベル―まで下げてしまう可能性があります。
その他の状態については、血圧やコレステロールなどを含む心臓病のリスク要因をいくつか改善するかもしれないと示している早期の研究もあります。ただし、体重を落とす減量プランであればどれでも、このような効果がある可能性が高いです。
断食をするダイエットに挑戦する前には、医者に相談しましょう。この方法は体に余計なストレスをかけてしまうおそれがあります。
最後に
断食に興味があるなら、The Fast Dietはふさわしい方法です。本気の自制力を必要とすることになりますが、挑戦する気持ちがあるならば、きっと効果があるでしょう。これは決して全ての人に向けて言っているものではないため、注意を無視することのないようにしましょう。
このダイエットを長期的に続けて行くことも骨の折れることかもしれません。しかし、これが自分に適しているか知るために十分に試してみることは価値のあることでしょう。自分や自分の体がこの方法に疲れてしまった時のために、別のプランも用意しておきましょう。