妊娠中期について知っておきたいこと

妊娠中期について
この三ヶ月間は、おなかの中で成長する赤ちゃんにもいろんな変化が起きますし、なによりも妊娠初期症状がおさまって安心するのもこの頃でしょう。妊娠中期に起こり得ることについてまとめました。
妊娠中期は、多くの女性が、初期、後期と比べて最も楽な時期だと感じるようです。この時期に突入すると、良いことを経験するでしょう。それは、妊娠初期症状のほとんどが和らぐか、場合によっては完全になくなります。吐き気がおさまったり(久しぶりに、食べ物のにおいも味も良いと感じるようになるでしょう)、体力も回復し、乳房も、膨らみは続きますが敏感ではなくなるでしょう。何より、妊娠中期の終わり頃までには、それまでは食べ過ぎた後のぽっこりおなかのようだったおなかも、徐々に妊婦らしく大きくなっていきます。
妊娠中期とはいつからいつまでを指しますか?
妊娠中期は、14週から27週の終わりまでの時期を指します。
妊娠中期の赤ちゃんの成長
妊娠中期の赤ちゃんは、とても忙しいです。18週になれば、鶏モモ肉と同じくらいの重さになり、あくびやしゃっくりもできるようになり、小さな指先に指紋ができるようになります。21週ごろになると、新しく出来上がった腕や脚を動かすようになり、胎動を感じることができます。また、23週ごろには、どんどん体重が増えるようになります。その4週間後までには、体重が倍になります。妊娠中期の終わりに差し掛かると、2ポンドの人間をお腹の中で抱えていることになります。
この期間にお腹の赤ちゃんに起こるわくわくするような変化は、他にもあります。
・毛、皮膚、爪
15週ごろになると、赤ちゃんの細い髪の毛が出てくるようになり、22週ごろにはまつげや眉毛も出てきます。この頃の赤ちゃんの皮膚は、産毛で覆われており(妊娠後期に入って脂肪がついてくるまでの間、自分で自分を暖める毛皮のような役割を果たす)、19週までには胎脂(酸性の羊水から皮膚を守るための、脂と角質でできた層)で覆われます。どちらも、産まれる前になくなります。
・消化器官
赤ちゃんの消化器官は、妊娠初期の終わりまでにほとんど発達します。中期になると、子宮から出た後の外の生活の準備をするために、吸ったり飲み込んだりし始めます。さらに、赤ちゃんは、羊水を通して、お母さんの食べたものの味が分かると言います。研究によると、妊娠中のお母さんの食生活は、産まれてからの赤ちゃんの食の好みに影響するとされています。妊娠中にいろんな種類の野菜や果物を摂るなど、健康的な食生活がすすめられる理由はここにもあるのかもしれませんね。また、おなかの中の赤ちゃんの排泄機能も出来上がってきます。栄養は胎盤を通して赤ちゃんに送られますが、羊水を飲み込んでいますから、40分に1回はおしっこをしていると言われています。
・五感の発達
赤ちゃんの耳や目が正しい位置に来ます。22週ごろには、においを嗅ぐことができ、目も見えるようになり、音も聞こえるようになります。目も開き始めます。
・心臓
17週になると、赤ちゃんの心臓は自発的にではなく、脳からの指令によって動くようになります。このことから、20週には聴診器で心音が確認できるようになります。25週には、毛細血管が発達してきて、体中に酸素を含む血液を送れるようになります。
・脳
24週になると、心臓を動かしたり手足を動かしたりするのに加え、脳からの指令によって瞬きもできるようになります。
身体に起こる変化
この時期は、胸焼けや便秘といった症状が持続する場合もあります。お腹が大きくなり始め、妊娠ホルモンも増加するのに伴い、他にも初めて直面する症状が出るでしょう。
・血液の循環が良くなるのに伴い、鼻などの体中の粘膜が詰まるようになります。初めていびきをかくこともあるかもしれません。妊娠中に服用しても問題ない薬もいくつかあります。
・くるぶしや足の軽い腫れを経験する妊婦さんは、4人に3人いるとも言われています。これは、22週ごろに始まり、出産するまで続きます。症状を和らげるためには、なるべく体を動かすようにしましょう。座っているときも足を動かすようにしたり、長時間立ったり座ったままでいることを避けたり、ずっと同じ体勢で寝ないように心がけましょう。
・歯茎が敏感になったり、血が出ることも珍しくありませんが、歯茎が赤く、頻繁に出血する場合は、歯肉炎の可能性がありますので、歯医者さんに診てもらいましょう。歯肉炎は比較的軽い疾患ですが、治療せずに放っておくと深刻な症状を引き起こすことがありますので、注意してください。
・こむら返りは、通常妊娠中期によく起きるようになり、妊娠後期まで続きます。ホルモンバランスや体重の影響のほかにも、カルシウムやマグネシウム不足が原因のことがあります。栄養バランスに気をつけて、健康な妊娠生活を送りましょう。
・赤ちゃんに血液を送り込んでいるため、低血圧が原因でめまいを起こすことがあります。必要以上に心配せず、一回の食事の量を減らしてこまめに食べるようにし、水分補給をしっかりすることで、症状が和らぐでしょう。
・おなかが大きくなることで、それをサポートする靭帯がのび、おなかの下の方が痛むことがあります。
・脚の静脈瘤や痔の症状は、妊娠前にそのような症状がなかった場合は、出産後に和らぎます。
以上のような症状が出るのは自然なことで、一時的なものです。身体的な症状以外にも、不安やイライラ、忘れっぽくなる、おなかが大きくなることにフラストレーションを感じるなどの精神的な変化もありますが、これも同じことが言えます。
妊娠中期には、夫婦の寝室でも、大きな変化が起きるかもしれません。妊娠によって、体の変化や、疲れや吐き気といった、ムードを壊す症状の影響で、性生活が崩壊してしまう場合もあります。一方、下半身の血液の循環がよくなることで、これまでになく性欲が増す女性もいます。忘れないでほしいのは、不満を解消するためにはコミュニケーションが重要になるということです。セックスもコミュニケーション方法の一つです。また、セックスによって胎児が傷つくこともなければ、旦那さんを感情的に傷つけるということもないということを忘れないでください。
体重の増加
妊娠中期の数ヶ月間が、妊娠中に体重が増え始める時期になるでしょう。赤ちゃんの成長を助けるために、食欲が増す傾向にあります。妊娠初期につわりの影響で吐き気や食欲不振に苦しんでいたなら、食欲が復活する、という表現が適切かもしれませんね。妊娠が発覚したときに標準的な体重だった場合、妊娠中期は、一週間あたり1ポンドを目安に増やしていき、増加量を妊娠中期全体で14ポンド以内に抑えるようにしましょう。
検査が必要な症状
不思議なことに、妊娠中期に入ると、その後の3ヶ月間は比較的にスムーズな妊娠生活を送ることができます。しかし、すぐに医者に連絡すべき症状がでることもあります。膣からの激しい出血、ひどい腹痛、38℃以上の熱が出た場合などは、直ちに医者に連絡してください。
また、通常妊娠24~28週ごろに発症する妊娠性糖尿病の症状にも注意が必要です。異常な喉の渇きや、頻繁に、また大量に尿が出る、ひどい疲労感、いびきなどが、主な兆候です。また、急な体重増加、顔や手のひどい腫れ、視界の変化などが起きたら、子癇前症の可能性がありますので、医者に相談してください。
妊娠中期にした方がいいこと
この時期は、よく食べて、定期的に体を動かし、たくさん休みましょう。妊娠中期にした方がいいことの代表例は以下の通りです。
・定期健診を日常生活の一部にしましょう。この時期の定期健診では、毎回、体重、子宮の大きさ、基底部の高さ(子宮の下から上まで)、赤ちゃんの心音を確認し、すべて順調にいっているかどうかを調べます。
・3D、4Dエコーを受けてみましょう。18~20週ごろになると、赤ちゃんの大きさを測り、内臓の発達具合をチェックし、羊水の量を確認したり、希望すれば赤ちゃんの性別を教えてもらうことができます。この検査は、おなかの中で成長する赤ちゃんを見るのを楽しむためのもので、医者にしかできない検査です。
・糖分の検査を受けましょう。妊娠中の女性の10人に1人は妊娠性糖尿病を発症するとされています。そのため、American Congress of Obstetricians and Gynecologists (ACOG) は、24~28週までにすべての妊娠中の女性が検査を受けたほうが良いとしています。尿の中に基準値より多くの糖分が検出されたとしても、それだけでは妊娠性糖尿病とは判断されません。より詳しい検査をして初めて、診断されます。妊娠性糖尿病と診断された場合、食事の計画をするのを助けてくれる栄養士を紹介してもらえるでしょう。また、血糖値を常に記録しなければなりません。
・出生前診断について医者と相談しましょう。まだ受けていなくて、特定のリスク要因がある場合、クワトロテストなどの遺伝子検査をすすめられることがあります。こうした検査は血液を採取してみて、ダウン症などの染色体異常や先天性異常のリスクが高いかどうか調べるためのものです。この検査が陽性の場合、より正確な診断ができるように、羊水検査をすすめられるかもしれません。羊水検査では、羊水が抽出され、遺伝子異常がないかどうか検査します。こうした出生前診断を受けるかを決めるのは妊婦さん本人です。そのため、まずはそれによってどのようなことがわかるのか、また、メリットは何なのか、自分で調べたり医者に質問してみましょう。検査を受けるかどうか考えるのには神経を使いますし、受けることが怖いと感じることもあると思いますが、大半の赤ちゃんは健康な状態で産まれてくるということを頭に入れておきましょう。
・予防接種を受けましょう。インフルエンザの時期に妊娠している場合は、インフルエンザの予防接種を受けましょう。
・マタニティーウェアを選びにいきましょう。この頃からおなかが目立ってきますので、必要になってくるでしょう。
・寝るときは横向きがおすすめです。妊娠中期は、初期や後期と比べると睡眠がとりやすくなります。この時期は、だんだんと子宮が大きくなってきて、大静脈(下半身から心臓まで血液を戻す静脈)を圧迫するため、循環を妨げてしまう恐れがあります。横向きに寝ることで、それを防ぐことができるでしょう。
・赤ちゃんの性別を事前に知らせてもらうかどうか決めましょう。妊娠中期、20週ごろのエコー検査で性別は判断できます。それまでに、出産前に性別がわかることのメリットとデメリットを考えておきましょう。
・運動することの優先度を上げましょう。妊娠中に体を動かすことのメリットについてはすでにご存知かと思いますが、もしまだ実践できていなくても、遅すぎるということはありません。妊娠中におすすめの、あなたに合った体の動かし方を見つけてみてください。ただし、おなかが大きくなり始めていますので、危険な運動は避けるようにしてください。
・カロリーの摂取量を増やしましょう。妊娠前に標準的な体重だった場合、妊娠中期にはそれまでの食事に300~350kcalほど余計にカロリーを摂取するようにしましょう。思っていたほど多くないと思うかもしれませんね。
・体重を記録しましょう。この時期になると、一定量ずつ体重を増やしていかなければいけないので、体重を毎週記録することを医者からすすめられるかもしれません。
・マタニティーフォトを撮るのもおすすめです。実際の撮影は、妊娠後期まで待っていたいと思うかもしれませんが、この時期から計画して予約しておきましょう。また、思い出としてスマホでおなかの様子を自撮りするのもいいかもしれません。
・夫婦で旅行を計画するのもいいでしょう。妊娠初期は、つわりでそれどころではなかったでしょうし、後期に入ると航空会社によっては制限をかけるところもありますので、今が一番いいチャンスです。赤ちゃんが産まれる前に、最後に二人だけで旅行をしてみてはいかがでしょうか。
・赤ちゃんの名前を考えましょう。まだ時間はありますが、まだ決めかねている場合は、候補を引き続き考えておくのがいいと思います。
・妊婦教室に行ってみましょう。呼吸法を教えてもらえるような教室は、妊娠後期にならないと受けられないものもありますが、近所で自分に合った教室がないか、調べてみましょう。
・出産後の子育て方法について検討し始めましょう。とくに、産休のあとにまた仕事に復帰する予定の人は、そのあいだ子どもの面倒をどのように見てもらうのかを考えましょう。保育園、ベビーシッター、家族など、選択肢はさまざまです。
・妊娠後期を楽しみに待ちましょう。妊娠中期が終われば、いよいよ妊娠後期です。赤ちゃんの誕生の日もそう遠くはありません!