消化性潰瘍についての基礎知識〜症状、治療〜

消化性潰瘍とは?
消化性潰瘍は、胃の内面または小腸の上部(十二指腸)の痛みを帯びた領域です。最も一般的には、ピロリ菌の感染によって引き起こされます。ほかの原因としては、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用が挙げられます。まれなケースでは、がん性および非がん性の腫瘍によって引き起こされる可能性もあります。
症状
小さな潰瘍のうちは症状がありませんが、徐々に胃の痛みを感じるようになります。痛みは通常、数分から数時間持続し、数日間または数週間続きます。主に食間か夜間に始まり、食後や制酸薬を服用した後に沈静化します。 その他の症状は次のとおりです。
満腹感
普段通りに水分をとるのが困難
食べてもすぐ空腹感を覚える
軽度の悪心
夜に目を覚ますレベルの胃痛
あまり一般的でない症状には以下があります。
腹部の膨満
げっぷ
食欲不振
血便または黒い便
胸の痛み
疲労感
体重減少
嘔吐
原因
消化性潰瘍を引き起こす原因は、主にピロリ菌の感染によるものです。別の一般的な原因は、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用で、まれなケースでは、がん性および非がん性の腫瘍によって引き起こされる可能性があります。
・消化性潰瘍はどのように診断されますか?
まず、問診があります。アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの薬を飲んでいる場合は、必ず伝えてください。また身体検査も行います。腹部の膨張を確認した場合は聴診器で腹部の音を聞き、痛みや圧痛を検査するために胃を叩きます。
すぐに薬を処方されることもあります。潰瘍は治療の数週間後に改善するケースがありますので、検査は不要です。
薬で効果がない場合、上内視鏡という検査を行うかもしれません。この検査は患者に麻酔をし、細い可撓性のチューブを喉に挿入します。このチューブの端にある小さなカメラが、食道、胃および十二指腸の内面の検査を可能にします。また、ピロリ菌検査のために胃内層のサンプル(生検)を採取する場合もあります。血液検査、呼吸検査、便検体検査もピロリ菌検査に有効です。
・消化性潰瘍は予防や回避が可能ですか?
専門家の多くはストレスや過多な刺激物が潰瘍につながると考えていましたが、今ではそれは事実と異なるということが明らかになっています(既に潰瘍がある場合は、ストレスや特定の食品がそれを悪化させる可能性があります)。
喫煙は消化性潰瘍のリスクを高めることがわかっています。喫煙する場合は、禁煙方法について医師に相談してください。また、アルコールも潰瘍悪化につながります。男性はアルコールを1日2ドリンク、女性は1日1ドリンク以上飲んではいけません。
なお、NSAIDsの長期使用も、胃の内面を損傷し、消化性潰瘍発症のリスクを高める可能性があります。どのくらいの頻度で服用すべきかについては、医師に相談してください。
消化性潰瘍はどのように治療されますか?
消化性潰瘍の治療薬は複数あります。潰瘍の原因を特定後、どの薬にするか医師が決定します。
ピロリ菌が潰瘍を引き起こしている場合、おそらく「トリプルセラピー」という治療法が採用されるでしょう。これは2種類の抗生物質とサブサリチル酸ビスマスを組み合わせる方法です。ピロリ菌は頑固なので、処方された薬は必ず全て服用してください。
また、酸を中和し胃の内層を保護するため、ほかの薬が推奨されるかもしれません。薬の例は以下のとおりです。
エソメプラゾールやランソプラゾールのようなプロトンポンプ阻害剤
ファモチジンやラニチジンのようなヒスタミン受容体遮断薬
スクラルファートのような保護剤
なお、NSAIDsを服用して消化性潰瘍を引き起こし、かつピロリ菌感染がない場合は、NSAIDの服用を中止あるいは減量し、痛みを緩和する別の薬に切り替える必要があります。
消化性潰瘍になってからの日常生活
ほとんどの場合、約8週間以内で治癒しますが、再発の可能性があるのでリスクを減らすよう注意しなければなりません。
喫煙する場合は、禁煙方法について医師に相談してください。また、潰瘍の原因となる食品(酒、コーヒー、脂肪の多い物、チョコレート、刺激物など)は避け、バランスのとれた食事をし、夜遅くの食事は避けてください。
NSAIDsの代替品については医師に相談してください。また、たくさんの水で薬を全て飲んでください。
医師に相談すべき質問
私の潰瘍の原因は何ですか?
私が服用している薬の副作用は何ですか?
私の潰瘍治療にはどのくらい時間がかかりますか?
私はどのようにピロリ菌に感染したのですか?
別の潰瘍になるリスクがありますか?
痛みの緩和のために、どんな薬を飲めばいいですか?